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ヤマハ、ネットワーク再生を強化したAVアンプ2機種。7.1ch「RX-V585」は73,000円

 ヤマハは、ネットワーク再生機能用のモジュールを刷新し、PCM 192kHz/32bitやDSD 11.2MHzファイルの再生にも対応したAVアンプ2機種を5月下旬に発売する。価格は、5.1chの「RX-V485」が62,000円、Dolby AtmosやDTS:Xにも対応した7.1ch「RX-V585」が73,000円。カラーはいずれもブラック。

Dolby AtmosやDTS:Xにも対応した7.1ch「RX-V585」

 V585は、Dolby AtmosとDTS:Xの両方に対応。RX-V485はHDオーディオまでの対応となる。共通する特徴として、HDR映像のDolby Visionとハイブリッド・ログ・ガンマ(HLG)に対応。 HDMI 2.1で拡張されたARC「eARC」もサポートする。

「RX-V585」

 ネットワークオーディオ再生用のモジュールを刷新。新たに、Wi-Fiの2.4GHz、5GHzのデュアルバンドに対応し、DSD 11.2MHzまで(従来は5.6MHz)、PCMは192kHz/32bit(従来は192kHz/24bit)までの大容量ハイレゾデータも、安定して再生できるようになった。ただし、32bitについてはinteger音源のみで、float音源は非対応。

 背面のアンテナは2本搭載し、内部のアンテナ配線もよりダイレクトに背面のアンテナへと繋がるように見直している。さらに、「MusicCast」対応の複数機器から再生できる機能も強化、同時接続台数も従来の10台から20台に増加した。

5.1chでHDオーディオまでの対応となる「RX-V485」

 HDMI端子は4入力、1出力搭載。全入力がHDCP 2.2に対応しており、4K/60p 4:4:4 10/12bit映像の伝送に対応。Ultra HD Blu-rayのHDRやBT.2020映像の伝送にも対応する。

 全チャンネルディスクリート構成で、最大出力はV485が135W×5ch(6Ω)、RX-V585が135W×7ch(6Ω)。

 搭載するDACはマルチチャンネル用ではなく、音質にこだわり2ch用の「PCM5101A」×複数基の構成を採用。

 V585のサラウンド再生では、「バーチャル・サラウンドバックスピーカー」機能が利用可能。サラウンドの2chデータを使い、サラウンドバックの音をバーチャルで創り出す技術で、5.1chのスピーカー環境において、6.1ch以上のサラウンドデータを入力した際に利用できる。

 5.1chスピーカー環境時にシネマDSPをかけると、サラウンドの仮想音源と、センタースピーカーから出る音のクロストークキャンセルを用いて、フロントの上方向にフロントハイスピーカーをバーチャルで再現する「VPS」(バーチャル・プレゼンス・スピーカー)も利用可能。

 このVPSと、前述のバーチャル・サラウンドバックスピーカーを組み合わせて、5.1chスピーカー構成に、例えば7.1chの音声を入力し、背後のサラウンドバックの音と、上方向の音を創成し、9.1chの仮想再生を行なう事もできる。

 シネマDSPは、“高さ”方向の音場データを加え、立体的なサラウンド空間を実現する「シネマDSP 3Dモード」に対応。音楽再生プログラムでは天井や床の反響音まで計算することで、ホールの空間を再生可能。映画用プログラムでは、映像とサラウンド音場の一体感を高めている。

 視聴環境最適化システムの「YPAO」も用意。部屋の環境音を測定し、デジタル音場処理技術で補正する。計測結果を基に、シネマDSPプログラムも最適化する「DSPエフェクトノーマライゼーション」も利用可能。

 無線LAN機能を備え、ネットワークプレーヤー機能を用意。WAV/FLAC/AIFFの192kHz/32bitまで、DSDは11.2MHzまで再生可能。USB端子も備えており、USBメモリなどからデジタル再生する事もできる。Spotify Connect、Deezer HiFiにも対応する。

 スマートフォンなどからアンプの操作ができる「AV CONTROLLER」が利用できるほか、独自のMusicCastにも対応。家の中に設置した複数のMusicCast対応機器を一括して操作したり、対応機器間での音楽コンテンツの共有なども可能。

 MusicCastでは、トリガー再生も可能。AVアンプの電源をONにすると、リンクしている全MusicCast対応機器の電源が自動的にONになり、AVアンプからのコンテンツを再生できるようになり、アプリを使わずに家庭内の様々な場所から音楽にアクセスできる。

 Bluetooth 4.2にも対応。圧縮された音楽データの再生時に、16kHz以上の不足している高音域などを補完するミュージックエンハンサー機能を、Bluetoothと組み合わせて利用できる。

RX-V485
RX-V585

 HDMI以外の入出力として、音声入力は、アナログステレオ×4(RCA×3/ステレオミニ×1)、光デジタル×1、同軸デジタル×2を用意。映像入力はコンポジット×3。

 出力は、V585がコンポジット×1、サブウーファ出力×2、ヘッドフォン出力×1。V485がコンポジット×1、サブウーファ出力×1、ヘッドフォン出力×1を装備する。

 消費電力はどちらも260W。外形寸法は、435×327×161mm(幅×奥行き×高さ)、重量はV485が7.8kg、V585が8.1kg。AM/FMチューナも搭載する。

付属のリモコン

音を聴いてみる

 「RX-V585」を2chソースを再生すると、低域の沈み込みの深さ、音場の広さといった、基本的な再生能力の面で進化しているのが感じられる。ネットワーク経由でハイレゾ楽曲を再生しても、非常に音質は高く、ネットワークオーディオを楽しむには十分なクオリティだ。

 こうした音質面の基本的な能力の進化には、負帰還回路(NFB)や、バイパスコンデンサの変更など、細かな部分の刷新も効いているそうだ。マルチチャンネルでも、空間の広さや奥行き、低音の深さ、そこに定位する音像の明瞭さで、従来モデルRX-V583からの確かな進歩を実感できる。Atmosなどのオブジェクトオーディオのサラウンドでこそ、こうした基本的な能力の高さは重要になってくる。

 ヤマハのAVアンプと言えば、シネマDSPが特徴だが、ミュージカル映画の「シカゴ」をDolby Atmosで聴いた後、シネマDSPの「ドラマ」で聴くと、違いが面白い。空間の広さや、定位の明瞭さという面ではTrue HDの方が優れているが、シネマDSPの「ドラマ」ではサラウンド全体のまとまりが良くなり、画面との一体感が増す。

 ステージの熱気に全身が包まれる感じが「ドラマ」の方が心地よく、ミュージカル映画のような、音楽がメインとなる作品の場合、「なにがなんでもAtmos」ではなく、シネマDSPを使い、より好みなサウンドを追求してみるというのも面白いだろう。