ニュース

ドコモ、ウインドサーフィン4K映像を5G伝送でリアルタイム上映。遠くの選手も大迫力

 NTTドコモは、5月10日~15日に開催された「ANAウインドサーフィンワールドカップ横須賀大会」において、28GHz帯における第5世代移動通信方式(5G)を用いた、海上での4K映像の無線伝送実験に成功したと発表した。5Gを活用し、マリンスポーツなど観客から離れた位置で競技する選手の動きを、迫力ある映像で届けるパブリックビューイングサービスを想定している。

「ANAウインドサーフィンワールドカップ横須賀大会」のパブリックビューイング上映会場

 今回の実験では、海上に停泊させた小型船舶に5G移動局を設置し、同船舶上に設置したカメラやドローンのカメラで撮影したウインドサーフィン大会の競技映像を、陸上の5G基地局に向けて無線伝送、パブリックビューイング会場で放映した。

実験の構成

 具体的には、小型船舶上においてHEVCエンコードした映像素材を、MMT送信装置で符号化/IPパケット化。舶上の5G移動局から、海岸のホテル屋上に設置した5G基地局に向けて上りリンクを用いて無線伝送した。船舶は、ウインドサーフィン競技のコースに合わせて基地局から300m~1kmの範囲の海上に停泊。デッキ上に設置したカメラやドローン搭載カメラで撮影した4種の2K映像を集約して4K映像を生成した。映像伝送の設定ビットレートは誤り訂正符号を含み80Mbps。伝送された映像は、ホテル内のオペレーションルームに設置したHEVCデコーダとMMT受信装置を介し、映像スイッチャーで放映する素材をスイッチング。パブリックビューイング会場に配置された大型ビジョンでリアルタイムに放映された。

ホテル屋上に設置した5G基地局と、船舶に搭載した5G移動局
船舶のデッキ上の5G移動局

 4つの映像を集約した4K映像の伝送には、上り80Mbps程度のデータレートが必要となるため、4G(LTE)では伝送が困難だった。5Gは4Gに比べて高い周波数帯を用いるため、長距離伝送にはビームフォーミングが必要となり、さらに移動通信をサポートする場合、ビーム追従機能も必須となる。また、海上の船舶は波の影響により基地局に対し垂直方向に大きく揺れたり、停泊するために転回するなど、陸上の無線伝送環境とは大きく異なるという。

 今回は基地局および移動局の双方に実装したビームフォーミング技術を前提に、2段階のビームサーチによる高効率かつ高精度の3Dビーム追従技術を駆使。海上でも安定した無線伝送を可能とし、最大1.1Gbpsの上りリンク伝送を実現した。ウインドサーフィン選手を多角的に捉えた迫力ある映像を、パブリックビューイング会場でリアルタイム放映することに成功したという。

競技映像撮影中の船舶

 実験の成果は、5月23日~25日まで東京ビッグサイトで開催される「Wireless Technology Park 2018」内のパビリオン「5G Tokyo Bay Summit 2018」で展示予定。