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NHK BS4K/8Kはどんな番組が観られる? 洋画やアニメも順次4Kで放送
2018年11月13日 18:38
NHKは、新4K8K放送が始まる12月1日を間近に控え、実際に4K8K放送で観られる注目番組などを紹介したほか、放送に関する報道陣からの質問に答えた。
NHKのBS4Kは、9日に掲載した新4K8K衛星放送の特集記事で紹介した通り、「4Kチューナー内蔵テレビ」または「4K解像度のテレビ+外付け4Kチューナー」を用意して、既存の「BS/110度CSデジタルアンテナ」で受信/視聴できる。
BS8Kの視聴には、アンテナや混合器、ブースター、分配器などの機器、ケーブルなども新4K8K衛星放送の周波数(3,224MHz)に対応している必要があるため、住んでいる建物/設備などによっては改修が必要となる場合がある。
なお、NHK BS4K/8Kともに、受信料は従来のNHK BSの衛星契約(地デジ契約含めて2カ月払いで4,460円~)で観られるため、追加料金は不要。
4K/8Kチャンネルの違い。番組表も対応予定
NHK BS4K(チャンネル番号1)は、「超高精細映像の“入り口”となるチャンネル」と位置づけられており、6時から24時までの一日18時間にわたり、原則として全て4K画質で制作した番組を放送。月曜日から金曜日までの平日は、曜日ごとにジャンルを決めて放送する「ジャンル編成」となる。
ゴールデンタイムには、「ダーウィンが来た!」、「BS時代劇」、「日曜美術館」、「小さな旅」など、人気番組の4K版を放送。週末はBS4Kオリジナル番組などを編成。土曜の夜の「4Kスペシャル」では、開局の12月1日に、世界初となる南極からの4K生中継を実施する。
【4Kチャンネル編成イメージ】毎日6時~24時
月曜
エンターテインメント(音楽、伝統芸能など)
火曜
サイエンス(自然、科学、宇宙など)
水曜
ドラマ(ドラマ、映画など)
木曜
カルチャー(文化、教養、教育など)
金曜
ライフ(紀行、地域、暮らしなど)
土曜
4Kオリジナル番組などを編成
日曜
特集(大河ドラマやNHKスペシャルなどの特集中心)
平日22~23時台
8Kベストウインドー(8K看板コンテンツを4K画質でも放送)
BS8K(チャンネル番号2)は、10時から22時10分まで、毎日12時間あまり放送。8Kは特に企画を厳選して、質の高い番組を丁寧に制作する方針で、定時枠を基本とした編成ではなく、番組の内容に応じて臨機応変に編成していくという。平日午後の時間帯(14~18時頃)には、「スタジアムの興奮を体感できる」というスポーツ中継を随時編成する予定。
土曜と日曜は「ほぼ全面新作」としており、土日の昼は、パブリックビューイングなどの番組を用意。日曜のゴールデンタイムは、夜7時から、集中的に多彩なジャンルの新作番組を編成。平日などそれ以外の時間は、日曜に番組を観られなかった人や、もう一度観たいという要望に応えるため「8Kセレクション」として再放送する予定。
【8Kチャンネル編成イメージ】毎日10時~22時10分
月~金曜
10時~14時頃、18時頃~22時 8Kセレクション(再放送)
14時頃~18時頃に随時 スポーツ中継
土曜
昼パブリックビューイングなど
「みんなで楽しめる」編成
日曜
ゴールデンタイム中心に、新作番組や8Kならではの番組
テレビの電子番組表(EPG)の表示方法は現時点では調整中だが、2KのNHK BSなどと同様に、BS4KとBS8Kの番組が分かるようになる予定だという。
また、災害時などについては、基本的に現在のNHK BSプレミアムに準じる形で、テロップを表示したり、緊急番組への変更などを行なう。その場合は情報伝達を優先するため、画質は2K(HD)となる。
9割以上ピュア4K8K。人気の洋画やアニメも順次4Kに
各放送の基本的な編成について、9割以上が撮影など制作時点で4K/8K機材を使った“ピュア4K/8K”だが、「4Kは1日18時間、8Kは12時間10分毎日放送する。ソフトがないと放送が成り立たないが、全て新作にするとコストも要員も足りないため、工夫して編成を成り立たせている」(編成主幹の大里智之氏)という。
8Kは多くがHDR対応。4KのうちHDRの割合は現時点で明らかにしていないが、SDRの番組も混在する予定。音声は、8Kの多くが22.2chで一部は5.1chの番組もある。4Kは基本的に5.1chが中心となるが、ステレオの場合もある。
12月1日の開局特番は、BS4K/8Kで同じ内容を放送。世界初となる4Kで南極から生中継し、リポーターは朝ドラや大河などにも出演している俳優の大野拓朗。BS8Kでは南極からの中継は4K映像からアップコンバートでの放送となる。
同じく世界初となるイタリアからの8K生中継では、ローマの人気の観光スポットを訪ね、食や文化、歴史などを紹介する。出演は北川景子ほか。
開局特番の放送時間は、12月1日(土)10:00~11:00(10:02~10:30は総合テレビも)と、19:00~22:10(19:30~20:43は総合テレビも)。19:30~20:43の放送は、V6の井ノ原快彦が番組MCを務める。
8Kの注目番組は、12月1日午後1時10分から放送する「8K完全版 2001年宇宙の旅」。70mmのオリジナルネガフィルムを8Kスキャンした“ピュア8K”マスターによる同作品の8K放送は世界初となる。詳細は8日に掲載した試写レポートでお伝えしている通り。
「世界三大オーケストラの響き」では、ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウの公演を22.2chで放送する。「宝塚スペシャルシート」は、5組の新作を収録。トップスターのインタビューなども交えて紹介する。
「8Kスーパーライブ」では、乃木坂46や、コブクロ、Perfume、西野カナ、MISIAなどが登場する。スポーツは、サッカーワールドカップやオリンピック、大相撲、NHK杯フィギュアなどを放送予定。
4Kの注目番組は、地上波やBSプレミアムよりも早く放送する1月6日午前9時からの大河ドラマ「いだてん」。映画は、黒澤明、小津安二郎、溝口健二による35mmフィルムの名画を4K化した「4Kシアター」を12月~'19年1月に渡って放送。こうした往年の名作だけでなく、比較的新しい洋画の人気作なども、1月以降に順次放送予定としている。
アニメの4K放送は具体的なタイトルは明らかになっていないが「来年度4月から放送予定」としている。
映像配信サービスの「NHKオンデマンド」でも4K放送の番組を追加予定。開始時期などは未定だが、4K番組は4K画質で「少しずつ配信する」という。8Kについては検討中としている。
4K8Kで番組制作に変化も
これまで地上波やBS1/BSプレミアムで親しまれてきたNHKの番組は、一部が既に4Kでも制作されており、2K/4Kの“一体制作”を進めることでコスト削減などの効率化を実現している。しかし、それだけでは“高画質な再放送”となってしまうため、オリジナル4K番組を積極的に編成。大河ドラマ以外にも、地上波や従来のBSより先行して放送する番組も予定されているという。
4K8Kならではの制作も進めており、例えば前回の紅白歌合戦は、「NHKホールで観ているような紅白」をテーマに、地上波などでは観られない舞台転換の様子なども4K8K(当時の試験放送)で観られるようにしたという。2K画質だと司会者の顔が小さくなって判別できなくなってしまうが、4K8K解像度だと“引いた絵”でも出演者などが分かりやすいことから、4K8Kの広がりに合わせて制作方法の変化も進むと見られる。
放送技術局 SHV技術推進 副部長の増田裕康氏によれば、HDRによって撮影の仕方も変化があるとのことで、「日陰と日なたは、白飛び/黒つぶれがあるため別々のカメラでスイッチングしていたのが、HDRでは両方を1枚の絵で観られるようになり、スイッチングの煩雑さがなくなりつつある」と説明。また、22.2ch音声については、映像における8Kと4Kの違いとは異なり、ポストプロダクションの時間も大きく変わらないため、多くの8K番組で採用できているという。
開局の12月1日が近づくにつれて、新放送の紹介イベントなどでNHKに寄せられる問い合わせも、より具体的な番組内容に関するものが増えているという。編成局専任局長の内山達氏は、公共放送であるNHKとして「短期的に考えるのではなく、防災や医療、記録、という視点も持って取り組み続ける」と説明。前述の大里氏によれば「東北の震災を8Kで記録するプロジェクトも始まっている」としている。