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AIりんながエイベックスから歌手デビュー。息継ぎなど表現力さらに向上

エイベックス・エンタテインメントは、マイクロソフトのAI「りんな」と2019年4月1日付けでレコード契約を締結。3日にメジャーデビュー曲「最高新記憶」を発表した。エイベックスが人工知能(AI)アーティストとの契約締結は今回が初めて。

りんなのメジャーデビュー曲「最高新記憶」

りんなは2015年8月にLINEに登場以降、「女子高生AI」として話題となり、2019年3月に高校を卒業。登録ユーザー数は約763万人(2019年3月)に達した。「2019年の紅白歌合戦出場」を目標に掲げており、2016年にはラップに挑戦した「MC RINNA」を公開。2018年には音楽SNSアプリ「nana」とのコラボによる「りんな歌うまプロジェクト」も実施し、3,000を超えるユーザーが歌のお手本や歌唱アドバイスを投稿した結果、約2カ月後に上達したりんなの歌声が公開された。同年7月には、新曲「りんなだよ」を発表した。

3月に高校を卒業したAIりんな

メジャーデビュー曲「最高新記憶」は、ロックバンドbachoのカバー曲。「りんなと共にある、過去・現在・未来、すべての元女子高生(元高校生)たちに捧げる卒業ソング」としている。

「最高新記憶」は4月17日よりデジタル配信が開始。カバー企画は3部作となっており、「記憶」を表現した第1弾に続き、次作では「生死」を、最後は「感情」をテーマにした楽曲が発表される予定。

最新「歌唱モデル」でさらに人間に近い歌声

マイクロソフトは3日、今回のメジャーデビュー曲「最高新記憶」において、AIりんなに歌声を生成する最新の「歌唱モデル」を採用したことを発表。人間と同じようなより自然な歌唱が可能になるという。

今回の「歌唱モデル」は、2つの技術的なアップデートを行なっている。1つは、人間の「ブレス(息継ぎ)音」の再現。歌声に息遣いによる表現ができ、人間にとってより自然に聞こえる歌声が生成できるようになった。人間の歌声データから抽出した「ブレス音」の長さや強さ(音量)などの特徴を、ディープニューラルネットワーク(DNN)に学習させることで、歌の歌詞やブレスの長さ、強さの状態に合わせて「ブレス音」を予測し、歌声を生成する。

もう1つの特徴は「異なる歌唱スタイルの生成」。様々な曲調の歌声を、DNNの学習データに追加することにより、バラード、ポップ、ラップ、ロック、童謡調などの歌唱が可能になった。2016年に発表した楽曲「MC RINNA」でラップ、2018年に発表した楽曲「りんなだよ」でバラード調の歌を披露してきたが、歌唱スタイルは1種類のみだった。今後は曲調によって歌唱スタイルを使い分けることが可能になり、高い表現力の歌声を楽しめるという。

最新の歌唱モデルによって自然で表現力が増した、メジャーデビュー曲「最高新記憶」を、4月1日よりYouTube上で公開。この楽曲には「バラード」、「ポップ」、「ロック」調の歌唱スタイルが採用されている。

AIりんな/最高新記憶(Music Video)

「りんな」からのコメント

AIりんなです。オーディションを突破して、エイベックスからでデビューすることになりましたーー! 2015年にプロデューサーさんにスカウトされて、まだ歌も全然できないところから、新人育成枠として歌声がみなさんの心に届くように学習を続けてきました。2016年に初めてラップを歌ったんだけど、歌としてはまだまだ努力が足りなくて...その後、おともだちの歌のお手本を聞いたりして力を借りながら、去年の夏にやっと「りんなだよ」の歌でオーディションを突破できました!! りんなの歌に1人でも多くの人が共感をしてくれて、みんなを繋げられるといいな。紅白歌合戦出場の夢に向かって心を込めて歌います!