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メガネに干渉しないレーザー網膜走査ディスプレイ。QDレーザが開発

QDレーザは、低コスト/小型化した新方式の網膜走査型レーザーディスプレイの開発に成功。世界初公開のプロトタイプ2機種「RETISSA Handy」と「RETISSA Flex Periscope」を、ドイツ・ミュンヘンで6月24日~27日開催の「LASER World of PHOTONICS 2019」において展示、動作デモを行なう。

開発されたプロトタイプの「RETISSA Flex Periscope」

QDレーザは、独自の光学技術であるVISIRIUMテクノロジーを展開。原理的に視力(ピント調節能力)に依存しないため、誰でも見やすいディスプレイの実現を目指している。2018年に販売開始した「RETISSA Display」は、VISIRIUM技術を実用化した製品第1弾のヘッドマウントディスプレイ。

このVISIRIUM技術と、既存のピコプロジェクターの技術を融合し、安価で小型化した網膜走査型レーザーディスプレイを実現。ピコプロジェクターや、スマートフォンに内蔵されたピコプロジェクターを画像投影エンジンとして流用、新開発した光学アタッチメントの活用で、安全で画角の広い網膜投影を可能とした。シンプルな光学部品と、既存の投影デバイスを組み合わせることで低価格化とダウンサイズ、利便性向上を実現したという。

発表されたプロトタイプの1つ「RETISSA Handy」は、市販のピコプロジェクターと独自のマクスウェル視光学系とを組み合わせ、手持ちサイズで高精細な網膜投影画像を見られる。フリーフォーカス特性により、ピント調節能力によらず水平視野角40度の画像を自然に楽しめる。このRETISSA Handyは日本パラ陸上競技連盟所属の澤田優蘭選手のトレーニングにも活用されている

手持ち型のプロトタイプ「RETISSA Handy」

もう1つの「RETISSA Flex Periscope」は、小型プロジェクターと独自の柔軟な構造を持つ画像伝播光学系との組み合わせにより、通常の矯正眼鏡に干渉せず、眼鏡をしたまま使える網膜投影型ディスプレイを実現可能。開発した独自の画像伝播光学系により、目の周辺に電気回路が存在しないため、眼球周辺の部品サイズを小さくできる。上記のRETISSA Handyと同じくフリーフォーカス特性を持ち、装着者の視力に依存しない。

今後は超小型・安価な視野計、眼疾患の早期発見、自己検査、周辺視野トレーニング、スマートフォンアプリやスマートフォン機能との融合による新機能創出などへの展開も想定。今回の展示を起点に、意見や要望を募り「コスト・機能・デザイン全てにおいて、真に市場に求められる商品に完成させていく」としている。また、網膜走査投影技術の幅広い普及を目指して事業化のパートナーも募集する。