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リボン振動板で全面駆動、異色のモニターヘッドホン「SR1a」クラウドファンディング

エミライは、リボン振動板で全面駆動するユニークなモニターヘッドフォン「SR1a」の製品化に向けたクラウドファンディングをmakuakeでスタートした。目標金額は224万1,000円だが、7月16日18時現在で260万円以上を集めている。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は449,000円前後(税込)だが、439,000円で購入できるプランなどを用意している。製品は「2019年9月末までにお届け予定」としている。

「春のヘッドフォン祭 2019」で参考展示された「SR1a」

「春のヘッドフォン祭 2019」で参考展示され、ユニークな構造と優れた音質で話題となった。米国のプロ用音響機器メーカーであるrequisite AUDIO ENGINEERINGと、セルビアの高級リボン振動板メーカーとして定評のあるRAALとのコラボプロジェクト・RAAL-requisiteが生み出した製品で、最高性能を誇るリボン振動板を理想的な形で使いこなしたヘッドフォンを目指して、10年以上に渡る研究開発を経て誕生したという。製品の企画・開発は米国の本社で、製品の製造はセルビアのファクトリーで行なわれている。

従来のヘッドフォンでは克服が難しかったという構造的な課題を、リボン振動板と完全開放型のヘッドフォン構造の併用で、「平坦な周波数特性と高速な過渡応答特性、そして正確な音場表現を可能にした」という。

「SR1a」
全てリボン振動板で構成されたヘッドフォン「SR1a」

リボン振動板は、磁界の中に置かれた一枚の薄いアルミ箔などのリボン状にした導体に電流を流すことで、リボン自体に運動の力が生じて振動板として振る舞い、これが音となって耳に伝わるというもの。

振動版がきわめて軽く、電気信号から振動へとエネルギーが変換される際のロスも少ないので、微細な電流の変化にも対応。一般的なヘッドフォンよりも微細な音が再生できるほか、音の抑揚(ダイナミクス/時間軸上の過渡応答)も優れるとする。

SR1aは、このリボン振動板だけを使ったヘッドフォンで、RAAL-requisiteのTrue-Ribbon振動板を搭載。密閉されたチェンバーベースを必要とせずに、「全帯域に渡って本来あるべき音場を形成するため、前面と背面の両方のオープンエアバッフル構造」にしたという。自社開発のリボンドライバーは、30Hz~30kHzの帯域幅を再現するポテンシャルを持つ。

自然な音場を再現するという「Earfieldテクノロジー」も投入。「これまでにない精度で広大なサウンドフィールドを再現する」という技術で、耳の周囲を全く塞がないデザインにすることで、「従来のヘッドフォンでは不可避だったハウジングの反射による音響効果や櫛形のフィルタリング効果の影響を受けない自然な音場を再現する」とする。

駆動するためには、スピーカードライブ用のアンプが必要。ただし、リボン振動板はインピーダンスが低く、アンプに直接SR1aを接続すると、アンプが破損する可能性がある。そこで、SR1aには「Ribbon/Amplifier Interface」という別体のユニットが付属。これを介する事で、SR1aがアンプに対して6Ωのインピーダンスを持つスピーカーと同じように振る舞う。

付属の「Ribbon/Amplifier Interface」

そのため、「Ribbon/Amplifier Interface」は「アンプ - スピーカーケーブル - インターフェース(Ribbon/Amplifier Interface) - ヘッドフォンケーブル - ヘッドフォン(SR1a)」の順に接続する必要がある。能率は91dB/1W、出力音圧レベルは111dB(最大)。本体の重量は425g。

なお、オーディオケーブルブランドのBriseAudioがSR1a専用に開発した低インピーダンス伝送対応のヘッドフォンケーブルも販売予定。メーカー推奨の導体抵抗値は0.2Ω未満だが、「BriseAudio特製ケーブルはこれを余裕をもってクリアしている点が特長」だという。

導体には高機能高純度銅を使用、これを8芯構造を採用。構造から素材まで細部にこだわっているほか、ベースとなっているケーブルの構造は、ハイエンドヘッドフォン向けの高音質リケーブルとして開発されたもので、ハイエンドヘッドフォンが、表現可能な領域をカバー出来ることを開発条件として、中低域の表現、厚みや諧調の豊かさ、中高域の余韻に特に拘り設計されている。