ニュース
オルトフォン、ダイヤモンド・カンチレバーの最上位MCカートリッジ「MC Anna Diamond」108万円
2019年8月5日 07:45
オルトフォンジャパンは、無垢単結晶ダイヤモンド・カンチレバーを使用したMCカートリッジのフラッグシップモデル「MC Anna Diamond」を発売する。価格は108万円。
昨年、創立100周年のアニバーサリー・モデルとして世界限定100個で発表された「The MC Century」。それから1年、「今後のオルトフォンが理想とするサウンドを世に示すための極めて重要なモデルにつき、ダイヤモンド・カンチレバーの特性に合わせて内部を一新。MC AnnaをベースとしつつもCenturyの技術を全面的に取り入れ、100年先への指針として新たに生まれ変わった究極のMCカートリッジ」として開発されたのが、新製品の「MC Anna Diamond」。
The MC Centuryは、史上初となる無垢単結晶のダイヤモンド・カンチレバーを採用し、ハウジングや発電系についてもコスト・採算・生産性を度外視して最新・最高の技術を投入して作られた。その中で、ダイヤモンド・カンチレバーを使用したカートリッジを量産するための知見が得られ、デンマークのオルトフォン本社が量産タイプのハイエンドモデルでもダイヤモンド・カンチレバーの採用を実現するべく開発していたという。
ダイヤモンドのエンブレムが刻印されたボディハウジングは、オルトフォンが得意とするSLM(セレクティブ・レーザー・メルティング)テクノロジーを用いて、最高硬度のチタン粉末をソフトウェア制御されたマシンでレーザー焼結。三次元的な立体成型によって作成している。
これにより、高精度かつ軽量で、優美な曲線を持つボディとなり優れた防振効果を発揮。また、振動の周波数によっては異なる素材の併用するため、TPE(サーモ・プラスティック・エラストマー)と呼ばれる軟質素材を成形したボトムカバーを装着。プレーヤーやレコード盤面から上がってくる振動への対策としている。
ムービングコイルは、MC Anna・The MC Centuryから引き継がれた空芯コイル。特別に設計された、ハイテクポリマー素材の非磁性体十字型アーマチュア(巻芯)は強度と剛性に優れ、鉄芯タイプのようにマグネットからの影響も受けない。軽量であるため、カンチレバーやスタイラスを含む振動系全体の実効質量を減少にも貢献している。
これにより、スタイラスが読み取った音声信号はダイヤモンド・カンチレバーによってコイルに伝達され、軽質量かつ強靭な空芯コイルはマグネットの磁気に引っ張られることなく自由に動作。「微細な信号も余すところなく再現する」という。また、十字型アーマチュアの先端はボビン状になっており、この突起部分が円筒形のダンパーゴムの縁に触れることでダンパーがアーマチュアを保持する力を高め、細かな角度ずれやブレを防ぎ、「ステレオ的な見通しの向上・高いトランジェント特性が得られる」とする。この技術は「ワイド・レンジ・アーマチュア・ダンピングシステム」と名付けられている。
なお、ダンパーゴムはダイヤモンド・カンチレバーの採用に伴って最適化され、適正針圧が2.4gに変更。カンチレバー先端のスタイラスチップには、最高のダイヤモンドスタイラスという「オルトフォン・レプリカント100」を使っている。
出力電圧(1kHz,5cm/sec.)は0.2mV、チャンネルバランス(1kHz)は0.5dB、チャンネルセパレーション(1kHz)は25dB。適正針圧2.4g。トラッキング角度は23度。内部インピーダンスは6Ω。