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ソニー初の8Kチューナ搭載テレビ「Z9H」。技術結集で“史上最高ブラビア”
2020年2月7日 10:00
ソニーは、8Kチューナーを搭載した8K液晶テレビ「BRAVIA Z9Hシリーズ」を3月7日より発売する。85型の1サイズを用意し、型名は「KJ-85Z9H」。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は200万円前後。
NHK BS8K放送が視聴・録画できる8Kチューナーを2基搭載した同社旗艦モデルで、ソニー初の8Kテレビ。'19年に北米・中国エリアで発売された8K対応液晶テレビ「Z9G」をベースとしながら、4K8Kチューナーの搭載や放送向け画質チューニング、自動音場補正機能などを追加した日本特別仕様となる。
海外では、98型(実売6万ドル)と85型(同1万ドル)の2サイズ構成だったが、国内では85型を投入する。クリエイターの制作意図を忠実に再現するというコンセプトのもと、独自の評価基準を満たした最高峰モデル「MASTER Series」の称号も冠する。
同社担当は「4Kがもたらす美しさの体験価値は“臨場感”や“包み込まれる”といったような、パネルのこちら側の体験価値、あくまで映像からもたらされる感覚だった。我々が8Kで追求したのは、現実世界さながらの圧倒的かつ繊細な光の輝きを作り出すことで、パネルの境界を感じさせない感覚。まるで自身の手で“触れられそう”と錯覚してしまうほどの、かつてない体験と美しさを目指した。Z9Hは、ソニーが持つ技術を結集し、これまでのものとは比べものにならない史上最高クオリティの8Kテレビに仕上げた」としている。
3年振りの復活、パネル制御「バックライトマスタードライブ」搭載
8K/7,680×4,320ドットの倍速液晶パネルを採用。搭載する高画質プロセッサーは、4Kテレビなどにも搭載されている最上位グレードの「X1 Ultimate」。「X1 Ultimateは、実は8Kをめがけて開発されたプロセッサー。開発後、ハイクラスの4K有機ELブラビア、4K液晶ブラビアに先行投入していた」と説明する。
X1 Ultimateがリアルタイムに映像を分析。被写体ごとに最適な高精細化処理を施す「オブジェクト型超解像」、超解像処理とノイズ低減のデータベースを組み合わせた「デュアルデータベース分析」、14bit相当の階調処理を行なう「Super Bit Mapping HDR」、そしてSDR映像をHDR相当に高コントラスト化する「HDRリマスター」などの最適処理を施す。
開発陣が目指したという“光の輝き”を実現しているのが、独自のバックライト制御技術である「バックライトマスタードライブ」。'17年発売の4K液晶テレビ「BRAVIA Z9D」シリーズで1度採用されていた技術で、これを8Kパネル用にリビルドして導入した。
最大の特徴は、直下に配置したLEDがモジュール単位で完全独立駆動すること。複数のLEDをブロック単位に制御する一般的なバックライトシステムに比べ、より緻密なコントロールが可能としている。LED個数は非公開。Z9Dシリーズ以降のモデルに搭載しなかった理由は「コスト」という。
パネル部はLEDを集光させる独自の光学設計を施すことで、ハローの抑制とコントラスト性能を向上。さらに映像の暗い部分の余剰電流を明るい部分に集中(最大20倍)させて、ピーク輝度をブーストさせる独自の高コントラスト化アルゴリズム「8K X-tended Dynamic Range PRO」との合わせ技によって、透過率が低く明るさを出し難い高密度な8Kパネルにおいても「他社に無い圧倒的な明るさを実現した」としている。
2Kの放送番組からゲーム、ネット動画など、様々な素材を超解像処理で8K化する「8K X-Reality PRO」を搭載。ソニーが持つ8Kデータベースにより、あらゆる映像を高精細にアップコンバートできる、とする。
このほかにも、色域を拡張して鮮やかな色を再現する「トリルミナスディスプレイ」や、バックライトをエリアごとに制御・発光時間を最適化して動画解像度を改善する「X-Motion Clarity」、斜めから観た場合でも高コントラストを実現する独自の光学設計「X-Wide Angle」を搭載する。
対応するHDR規格は、Dolby Vision、HDR10、HLG。4KブラビアのA9GやZ9Fなどに搭載されている、Netflix画質モードやNetflix Calibrated Mode、IMAX Enhancedもサポートする。
チューナーは、新4K8K衛星放送が受信できるBS8Kチューナー、BS4K・110度CS4Kチューナー、地上/BS/110度CSチューナーを各2基搭載(視聴用と録画用)。外付けのUSB HDD(別売)を接続することで、各放送で裏番組の録画が可能。BS8K番組を録画中の時のみ、8Kで録画した番組を同時に再生することはできない。オートチャプター機能は非搭載。
放送画質について、技術担当は「初の8Kチューナー搭載機ということもあり、実際の放送番組を観ながら、画質を徹底的に追い込んだ。搭載されている技術や仕様こそ、海外モデルと一緒だが、チューニングに関しては全くの別モノ。Z9Hで8K、4K放送を観れば、これまで観てきた画質とはレベルが違うことが体感できるはず」と話す。
上下4カ所にミドルレンジ・ツイーター搭載した80W 2.2chサウンドシステム
2.2chサウンドのAcoustic Multi-Audioを搭載。
画面の上下4カ所に、ミドルレンジスピーカーとツイーターを組み合わせたユニット、そしてパネル背面にLR用のサブウーファーを2基設置することで、最大出力80Wのパワフルかつ音の定位感を向上させるサウンドシステムとした。
4カ所のユニットは正面向きに設置されているが、スリット加工を施したベゼルデザインと一体化させており「存在を感じさせないインビジブル配置で、目の前に展開される画と音の一体感による映像体験に没入できる」という。
S-Masterデジタルアンプを採用。バーチャルサラウンド技術の「S-Forceフロントサラウンド」や声の音量だけをコントロールする「ボイスズーム」、音声補正技術の「クリアフェーズテクノロジー」ほか、背面のコネクタを使ったセンタースピーカーモードも搭載。Dolby Atmos音声の入力にも対応する。
8K/60p 4:2:0 10bitのHDMI入力をサポート。ケーブル1本で8K伝送
Android TV OSで、映像/音楽配信サービスや写真鑑賞やゲームアプリ、音声検索などが可能。
Appleデバイスを使った連携機能に対応。映像や写真などのデータをBRAVIAでストリーミング再生したり、端末画面をBRAVIA上にミラーリングする「Works with Apple AirPlay 2」、iPhoneのSiriを使ってBRAVIAを音声操作する「Works with Apple Homekit」をサポートする。AirPlay 2とHomekitは、後日アップデートで対応する。
Appleデバイス以外にも、スマートフォンからのコンテンツ操作が行なえる「Chromecast built-in」、付属リモコンかハンズフリーで本体に発話して音声操作を行なう「Google アシスタント built-in」、Amazon Alexa対応機器から音声操作できる「Works with Alexa」などをサポートする。ソニールームリンク(DLNA)は、クライアント機能のみ。
リモコンは、向きを気にせず操作できる無線式(Bluetooth)を採用。動画配信サービスのダイレクトボタンは、Hulu、Netflix、U-NEXT、TSUTAYA、YouTube、Abema TVの6つに変更。これまでの「アプリ」ボタンが、IMAX Enhancedコンテンツを配信するTSUTAYA TVに切り替わった格好。
このほかにも、GYAO!、Amazonビデオ、Niconico、dTV、スカパー! オンデマンド、ビデオマーケット、TSUTAYA TV、DAZN、Rakuten TV、FOD、TVerなどの各種動画配信サービスが楽しめる。高速CPUを採用することで、ネット動画アプリの起動、各種切替においてサクサク操作が可能、としている。
HDMI端子は4系統。「HDMI 4」の入力は、8K/30p 4:2:0 8bitなどに対応し、ケーブル一本で8K伝送できる。8K/60p 4:2:0 10bit(40.1Gbps)などの信号は後日アップデートで対応。8K信号を入力する際は、プレミアムハイスピードHDMIケーブルを使用する必要がある。対応する4K信号は、4K/60p 4:4:4、4:2:0、および4K/60p 4:2:0 10bitなど。eARCもサポート。
【訂正】記事初出時、“「HDMI 4」の入力は、8K/60p 4:2:0 10bit(40.1Gbps)などに対応”と記載しておりましたが、後日アップデートでの対応となりました。(2月7日19時)
HDMI入力以外は、ビデオ入力×1、光デジタル音声出力×1、ヘッドフォン出力×1、センタースピーカー入力×1のほか、3系統のUSB端子、LAN端子(100BASE-TX)を装備。無線LANはIEEE 802.11ac/a/b/g/n。
消費電力は945W。スタンドを含む外形寸法/重量は、191.3×43.2×122.6cm(幅×奥行き×高さ)/75.8kg。