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TAD、点音源を追求、天童木工も協力したスタンドマウント型スピーカー

テクニカル オーディオ デバイセズ ラボラトリーズ(TADL)は、Referenceシリーズの新製品として、天童木工と共同制作したエンクロージャーを採用した、スタンドマウント型スピーカー「TAD-CR1TX」を6月上旬に発売する。価格は1台280万円。カラーはエメラルドブラック、ベリルレッド。別売のスピーカースタンド「TAD-ST1」も用意する。

スタンドマウント型スピーカー「TAD-CR1TX」ベリルレッド

昨年6月に発表した最高峰のフロア型スピーカー「TAD-R1TX」の思想と技術を踏襲したスタンドマウント型スピーカー。TAD-R1TXと同様に、高級家具メーカーの天童木工と共同制作したエンクロージャーを採用している。

天童木工は1940年に山形県天童市で創業。日本古来より伝わる匠の技術を活かした成形・加工方法により、TAD-CR1TXの「SILENT エンクロージャー」をより強固に仕上げたという。外装色は、振動板に使用しているベリリウムの原料である希少鉱石「ベリル」に由来した、深みのある緑の宝石をイメージした「エメラルドブラック」とベリリウムから成る赤い宝石をイメージした「ベリルレッド」をラインナップする。

スタンドマウント型スピーカー「TAD-CR1TX」エメラルドブラック

エンクロージャーには、異素材を組み合わせたラミネート構造材を使用。フレーム構造とモノコック構造のメリットを活かすことで、エンクロージャーの静的・動的強度と制振効果を最大限に高めた。

厚さ21mmのバーチプライウッド(樺合板)で強固な枠組みを構成し、側板には高周波加熱プレス成型で曲げ加工を施したMDF積層板に、真空プレスで突板を貼り合わせた厚さ30mm のパネルを貼り合わせて形成。ラウンド形状を持つ前面バッフルやヘッド部も、側板と同様の曲げ加工を施したパネルを使用している。

ティアドロップ形状を継承しつつスピーカーヘッド部分に丸みを持たせることで、強度を高め、音の回折をさらに低減。不要共振と内部定在波を排除した。

3ウェイ構成で、理想的な点音源再生を実現するという「CSTドライバー」を採用。ミッドレンジのコーンとツイーターを同軸配置したもので、ツイーターの指向特性を制御することで、ツイーターとミッドレンジの音響中心を同一にし、クロスオーバーにおける位相特性と指向特性を一致させている。

これにより、250Hz~100kHzという超広帯域再生能力と全帯域にわたって均一に減衰する指向放射パターンを両立。明確で安定した定位と自然な音場空間表現を可能にしたとする。サイズはミッドレンジが16cm径、ツイーターが3.5cm径。

ツイーターとミッドレンジの振動板は、独自の蒸着法で加工したベリリウム振動板を採用。優れた材料強度や均一性を可能にし、高域共振の減衰特性を実現。ツイーターの形状設計には、コンピューター解析による独自の最適化手法「HSDOM(Harmonized Synthetic Diaphragm Optimum Method)」を採用することで、分割共振を的確にコントロール。100kHzまでの超広帯域再生を可能にしている。

ウーファーには、TLCC(Tri-Laminate Composite Cone)振動板を採用。サイズは20cm径。航空機などで使用されている軽量高剛性な発泡アクリルイミドをアラミドファイバー織布で挟み込む構成で、反応が速くカラーレーションのない素直で豊かな再生ができるという。

また、発泡アクリルイミドとアラミドファイバー織布を個別に成型し、織布のもつ異方性の特徴を生かすラミネート方法で加工することにより、軸対称モードの共振も低減した。

ウーファーの磁気回路には、音の波形を常に正しく再生するため、独自のショートボイスコイルタイプ「OFGMS回路」を採用。20mm厚のロングギャップ間の磁束密度を均一化している。これにより幅広い振幅時の動作が安定し、高い駆動リニアリティを実現した。

サスペンション系においても、独自のコルゲーションエッジを採用することで高いリニアリティを確保している。

再生周波数帯域は32Hz~100kHz。クロスオーバー周波数は250Hz、2kHz。出力音圧レベルは86dB(2.83V・1m)。最大入力は200W。公称インピーダンスは4Ω。外形寸法は341×446×628mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は46kg。