ニュース
パナソニック、AIで画音を自動調整するハイエンド4Kビエラ「JX950」
2021年3月26日 13:15
パナソニックは、ビエラ(VIERA)の新製品として、AI技術を使い自動で画質・音質を調整するハイエンド4K液晶テレビ「JX950シリーズ」を4月23日より発売する。65型「TH-65JX950」と、55型「TH-55JX950」の2機種をラインナップ。価格はどちらもオープンプライスで、店頭予想価格は65型が約35万円前後、55型が約27万円前後。
2020年8月に発売した、“プレミアム液晶ディスプレイ”搭載の最上位4K液晶「HX950シリーズ」の後継機。
'21年モデルのJX950では、コンテンツに応じて、テレビが自動で画質と音質を調整する「オートAI画質」「オートAI音質」機能を新搭載したほか、バックライトと信号処理改善による画質向上、HDMI2.1の4K120p対応、業界初の4K放送ダブル録画、音声操作の拡張(Googleアシスタント/Alexa)などが前機種からアップデートされている。
なお、同時発表の4K液晶ビエラ「JX900シリーズ」、「JX850シリーズ」は別記事で紹介している。
シーンに応じ自動で画音質を調整する「オートAI」
JX950シリーズ最大の特徴が、AI技術を用いて自動で画質・音質を調整する「オートAI画質」、「オートAI音質」機能の搭載。これは、番組情報を参照して、映画やスポーツなどの映像・音声モードを切り替えるのではなく、シーンに応じて、ビエラが画と音の処理を自動で最適化する機能。オートAI画質とオートAI音質は別々に動作させることが可能で、たとえば映像は「フィルムシネマ」、音声は「オートAI」とモードを掛け合わせることもできる。
同社担当は「既に他社でも自動調整機能を搭載するテレビは存在するが、ビエラにおいても'21年モデルから搭載する。自動で画質や音質を調整する機能は、ビエラでは初」と話す。
オートAI画質の仕組みとしては、放送や映画など100万超の映像シーンからなる学習用データベースをAI学習させ、まるで人間の脳のように何を見ているのかを認識できるという「シーン認識アルゴリズム」を生成。同アルゴリズムがシーンを認識し、シーン毎に「ヘキサクロマドライブ」「AI HDRリマスター」「4Kファインリマスターエンジン」などの高画質化技術を統合的に制御し、映像を部分ごとに自動で最適な画質に調整するという。
たとえば、映画の暗いシーンは細部までコントラスト豊かに描き、晴天のスポーツのシーンは芝生の色まで明るく色鮮やかに表現。「ユーザーは画質モードをオートAI画質にしておけば、コンテンツに応じて画質設定を切り替えることなく、理想的な画質でコンテンツをお楽しみいただける」としている。
オートAI高画質は、10段階で効果の強弱を調整可能。またシーンの分析は放送番組に限らず、ネット動画やHDMI入力されたコンテンツにも適用できるという。
オートAI音質においても、シーン判別に応じて理想的な音場と音質に自動的に調整。スポーツのシーンではスタジアムの臨場感を、ライブなら会場の迫力さながらに、ニュースのシーンは音を画面中央に定位させて声をはっきりと聞き取りやすく調整する。
「Dolby Vision IQ」と「HDR10+ ADAPTIVE」対応。4K120pも
'21年モデルでは、バックライトと信号処理改善による画質向上も実現。
バックライトに関しては、制御アルゴリズムをより緻密化。前モデル同様、バックライトエリア制御と信号処理のエリアコントラスト制御を組み合わせた「Wエリア制御」を搭載するが、今回は高コントラストのHDR映像信号の情報をより細かく解析し、バックライト制御に活用するよう変更。結果、特に暗部で、より豊かな階調表現が行なえるようになったという。
またHDR解析情報のバックライト制御へのフィードバックを、従来より対応するHLGやHDR10、HDR10+に加え、Dolby Visionでも実現している。
信号処理では、3D-LUTを採り入れた高画質技術「ヘキサクロマドライブ」がアップデート。HDR10/HDR10+入力時、シーンに応じてHDRトーンマッピング処理を動的に変化させる技術を採用し、高輝度域でも色鮮やかで、階調豊かな映像を実現したとする。
同社によれば「トーンマッピングは'20年モデルにおいても搭載していたが、“光が得意”な1種類の処理だったため、高輝度部で色抜けが発生し易かった。'21年モデルは“色が得意”な信号処理を組み合わせた2つを動的に変化させることで、明部の鮮やかな色もリアルに再現できるようになった」という。
HDR機能としては、新たに「Dolby Vision IQ」と「HDR10+ ADAPTIVE」に対応。Dolby Vision、またはHDR10+コンテンツの映像を表示する場合は、部屋の明るさに合わせてテレビが自動で画質調整するため、視聴環境に左右されずにコンテンツの映像を最も最適な状態で鑑賞できるという。対応するHDR規格は従来通り、HLG、HDR10、HDR10+、Dolby Visionの4種類。
映像モードも拡張されており、一部の4K有機ELビエラで採用していた「フィルムシネマ」(Filmmaker Mode)、「キャリブレーション」、「プロフェッショナル」が新たに追加された。
HDMI2.1対応も大幅に強化。従来はeARC、ALLMのみだったが、新たに4K120p入力をサポートし、PlayStation 5やXbox Series X、AMD製PCカードの4K120p映像を表示できるようになった。信号の処理時間を短縮することで通常モードよりも映像表示までの遅延を低減しており、すばやい操作を要求されるゲームも快適に楽しめるという。
このほかの主な映像処理は、前モデルを継承。
AIによる機械学習で素材をHDRのような高コントラスト映像に変換する「AI HDRリマスター」や4K/HLG放送の高コントラスト化処理、HDR10規格のUHD BDコンテンツを高コントラスト化する「ダイナミックメタデータクリエーション」、入力された映像信号のオリジナル解像度を判別してディテール処理を最適化させる「素材解像度検出 4Kファインリマスターエンジン」、そして映像内で物体が動く量を検出・背景と分離して破綻のない倍速補間を行なう「オブジェクト検出 倍速表示」などを変わらず搭載している。
4K/3,840×2,160ドットの倍速・IPSパネルを用いながら、輝度とデザイン性を高め、自社工場で高精度に組み上げた“プレミアム液晶ディスプレイ”を採用。
バックライトの強化、およびディスプレイ内部の部材構成を最適化し、液晶ビエラ史上最高クラスの高輝度と高いコントラスト性能を実現。またパネル面とフレームの段差をなくしたフラット構造による、スタイリッシュなデザインとした。
背面にイネーブルドスピーカー搭載
高さ方向の音表現も可能にする、立体音響技術Dolby Atmosに対応。最新の音声処理システムを搭載することで、テレビ本体のスピーカーのみで立体音響を再生。従来のステレオ音声も立体音響に変換できる。
スピーカーは、イネーブルドスピーカー、フルレンジスピーカーを組み合わせたもので、実用最大出力60W。テレビ背面上部に搭載したイネーブルドスピーカー(15W×2)が、音を天井に反射させることで立体的で臨場感ある音を再生。音像を画面中央に持ち上げる役目もする。
環境を計測する「Space Tune Auto」も搭載。リモコンに搭載したマイクを使い、テレビで再生したテストトーンを計測。天井や壁からの距離や反射の影響などを解析し、視聴環境に合わせた最適な音質補正を自動的に行なう。
独自の転倒防止スタンドを搭載。 スッキリとしたディスプレイ部にデザインをマッチさせるため、スイッチの構造を見直し、薄型デザインの転倒防止スタンドを新たに開発。底部の吸着システムを使い、転倒を防いでいる。スイーベル機能も搭載。テレビを好みの向きに変えられる。
業界初の4K放送ダブル録画を実現
BS4K・110度CS4Kチューナーを2基、地上/BS・110度CSチューナーを3基搭載しており、別売のHDDを接続する事で裏番組録画が可能。2K放送、または4K+2K放送の2番組同時録画に加え、JX950シリーズでは4Kテレビ初となる“4K放送ダブル録画”を実現した。
2画面機能も4K放送に対応。2K/4K放送+2K放送、2K/4K放送+BD/録画番組視聴が可能になった。ただし、4K放送の2画面表示はできない。
お部屋ジャンプリンクを使った4K放送番組の受信に引き続き対応。全自動4Kディーガなど“4Kお部屋ジャンプリンク対応サーバー”を組み合わせることで、ディーガ内の4K録画番組を4K解像度のまま受信・再生できる。また全自動4Kディーガとの組み合わせで、過去の録画番組と未来の放送予定番組を番組表からチェックできる「過去未来番組表」も4K放送に対応する。
新メニュー画面とデザイン一新のBluetoothリモコン
放送やネット動画など、あらゆるコンテンツを快適に楽しめるよう、メニュー画面やリモコンを大幅にリニューアル。
新しいメニュー画面では、操作頻度の高い各種設定がピックアップされており、2画面表示や字幕操作も新メニューから簡単に行なえるようになった。
新リモコンでは、デザインとキーレイアウトを刷新。操作性を高めるために、リモコンのエリアを放送視聴操作、基本操作、録画コンテンツを見るための再生操作、ネット動画視聴操作の4つにゾーニングして配置したという。
リモコン中央にあるマイクボタンを押して発話すると、音声でコンテンツの検索やテレビの基本操作が行なえる。従来のビエラ音声操作に加え、新モデルではGoogle アシスタントとAmazon Alexaに対応。音声操作を行なう際は、いずれかを選択・設定して利用する。
またテレビとの通信には赤外線ではなく、Bluetoothを採用。これにより、テレビにリモコンを向けることなく操作できるようになった。
ネット動画視聴のニーズに答え、配信サービスのダイレクトボタンを増設。従来のABEMA、Netflixに加え、Amazon Prime、Hulu、U-NEXT、Rakuten TVのボタンを新設している。
ダイレクトボタンを設けた映像配信サービス以外にも、TVer、YouTube、dTV、デジタル・コンサートホール、DAZN、TSUTAYA TV、スカパー! オンデマンド、Paravi、TELASA、DMM.com、ひかりTV 4Kなどが視聴できる。
HDMI入力端子は4系統で、HDMI 1~2が40Gbps(最大4K120p)、HDMI 3~4が18Gbps(最大4K60p)入力に対応。HDMI 2はeARCをサポート。
【お詫びと訂正】記事初出時、48Gbpsと記載しておりましたが誤りでした。お詫びして訂正します。(3月26日16時)
HDMIの他には、ビデオ入力×1、光デジタル音声出力×1、サブウーファー端子兼用ヘッドフォン×1、LAN×1、USB×3を備える。USB1端子のみUSB 3.0に対応。無線LANを内蔵。Bluetoothは送受信をサポートし、テレビの音を2台まで同時送信できる。
消費電力と年間消費電力量は、65型が254Wで、144kWh/年。55型が219Wで、130kWh/年。
スタンドを含めた外形寸法と重量は、65型が145.1×34.8×89cm(幅×奥行き×高さ)で、約39.5kg。55型は123.1×34.8×76.6cm(同)で、約28.5kg。