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富士フイルム、4K/8Kの長期保管も想定した45TBの磁気テープ
2021年9月8日 19:00
富士フイルムは、従来比1.5倍の最大記録容量45TBを実現し、大容量データのバックアップやアーカイブに使える磁気テープストレージメディアの規格「LTO Ultrium」の第9世代に対応した「FUJIFILM LTO Ultrium9 データカートリッジ(LTO9)」4種を発売した。価格は各オープンプライス。
- LTO FB UL-9 18.0T Re-Writableタイプ 5巻×4
- LTO FB UL-9 WORM 18.0T WORMタイプ 5巻×4
- LTO FB UL-9 18.0T ECO Re-Writableタイプ 20巻×1
- LTO FB UL-9 18.0T LP20 Re-Writableタイプ 20巻×1
データの書き換えが可能な「Re-Writableタイプ」と、データ改ざんや誤消去を防止するため、データを1回のみ書き込み可能な「Write Once, Read Many(WORM)タイプ」を用意。Re-Writableタイプは1巻毎のプラスチックケース等を省いたシンプルな包装のECOパックとライブラリーパックも用意している。
富士フイルム独自の「NANOCUBIC技術」により、微粒子化したバリウムフェライト磁性体(BaFe磁性体)を均一に分散し、テープ表面のうねりや厚みムラのない平滑な薄層磁性層を塗布している。また、12.65mmのテープ幅において8,960本のデータトラックに記録するなど記録密度を向上させることで、LTO8の1.5倍となる最大記録容量45TB(非圧縮時18TB)を実現した。
4K・8K映像の登場やIoT・DXの進展、AIを用いたビッグデータ解析の普及などにより、世の中のデータ量は爆発的に増加したほか、「コールドデータ」をはじめ、蓄積されたデータを次世代技術の開発などに活用する動きも急速に進んでおり、これらのデータを安全・安価に長期保管したいというニーズに対応する。
LTO9は、最大1,000MB/秒(非圧縮時400MB/秒)の高速データ転送も可能で、高い利便性を発揮。高品質な再生信号と低いエラーレートを実現し、材料設計を最適化することで、磁気ヘッドの高精度なトラッキングと優れた走行耐久性も実現。安定的なデータの読み書きが可能となるなど、高い信頼性も備えている。
磁気テープは、ネットワークから隔離したエアギャップの状態でデータ保管が可能で、サイバーアタックなどによるデータ破損・消失のリスクも低く抑えられることから、磁気テープは大手データセンターや研究機関などで長年にわたり利用されている。
また、データ保管時に常時通電する必要がなく、HDDと比べてデータ保管時の消費電力が大きく抑え、低コストで大容量のコールドデータを保管できるほか、CO2の排出量も95%削減できるため、環境負荷を大幅に低減する製品としても注目されている。