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TVを“クラウド録画”業界初チューナー。ピクセラ「Xit AirBox/Base」

左からワイヤレステレビチューナー「Xit AirBox」、「Xit Base」

ピクセラは、業界で初めてテレビ番組をクラウドに録画できる機能を備えたワイヤレステレビチューナー「Xit AirBox」(XIT-AIR120CW/XIT-AIR120CW-EC)を12月3日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は18,800円前後。地上/BS/110度CSデジタル放送のWチューナーを内蔵。HDDは内蔵していないが、契約した専用クラウドストレージに録画することで、テレビやスマホ、タブレットなどで録画番組を視聴できる。

さらに、地上/BS/110度CSデジタル放送のトリプルチューナーを搭載し、2番組同時録画可能、HDMI出力を備えてテレビと接続しても使える「Xit Base」(XIT-BAS1000T-MK)もラインナップ。Xit Baseは、Xit AirBoxを制御する機能も搭載しており、2番組以上の同時録画を予約した際に、自動的にXit AirBoxに録画を振り分け。これにより、Xit AirBoxを増設していく事で最大8番組の同時録画が可能になる。11月17日から応援購入サイトMakuakeにて注文受付を開始。一般販売価格は29,800円の予定だが、100個限定で35% OFFや、30% OFFなどのプランが用意されている。

左から「Xit AirBox」、「Xit Base」

なお、Xit AirBoxはpopIn Aladdin公式サイトでも販売する。型番は「XIT-AIR120CW-Z」。

Xit AirBox「XIT-AIR120CW」

Xit AirBox「XIT-AIR120CW」

8月に販売した「XIT-AIR110W」の後継機で、地上/BS/110度CSデジタルチューナーを各2基搭載。アンテナ線と接続したXit AirBoxを、自宅のLAN内に追加することで、スマホやタブレットなどからテレビ番組が視聴できるようになる。なお、ダブルチューナーだが2番組同時録画はできず、1番組録画、1番組視聴となる。

さらに、市販のUSB接続HDDを接続し、HDDレコーダーとして使うことも可能。HDDは8TBまで対応できる。クラウドに録画する際の映像は、トランスコードし、ビットレートを抑えたものになる。ビットレートは標準画質で約5Mbps。

Xit AirBox「XIT-AIR120CW」の背面

最大の特徴は、クラウド録画に対応し、HDDを別途用意しなくても録画ができるところ。製品利用開始後に、お試し期間として「PIXELA CLOUD」プランAを無償で1カ月利用できる。このプランAはストレージ容量25GB(TV番組の録画時間に換算すると約10時間分)で、月25GBまで帯域も保証するが、それを超えると伝送帯域が保証されなくなる。

無償期間終了後、月額費用が必要となるが、録画データが引継可能で帯域を保証する「PIXELA CLOUD」プランB(ストレージ300GB=録画時間目安133時間、通信制限75GB、月額990円)およびプランC(ストレージ1,024GB:録画時間目安455時間、通信制限150GB:約60時間分/月額2,100円)を提供する。

また、クラウドストレージ「TeraBox」を展開するフレックステックの「TeraBox」プランも用意。録画データを引き継ぐ事はできないが、通信制限は無制限で、1TB(1,024G/録画時間目安455時間)までのストレージを無償で利用できる。

発表会の配信には、フレックステックの末木社長も登壇した

権利を保護しながらクラウド録画を実現するため、Xit AirBoxとクラウド上の録画データを紐付ける認証技術を導入。認証されれば、クラウドのストレージから、録画番組を再生できる。Windows、Mac、Android、iPhone/iPad、Fireタブレット、popIn Aladdinからも視聴できる。なお、Xit AirBoxはHDMI端子を搭載していない、

製品が視聴チャンネルや番組再生位置を記憶しているので、端末をまたいで番組の続きを楽しめる。

専用視聴アプリ「Xit」は、テレビ視聴をより楽しめるよう、直感的な操作性になっており、番組タイトルの横にサムネイルを表示したり、視聴者数をリアルタイム表示する視聴ランキング、スムーズに操作できる番組表なども用意。スマホでテレビを視聴しながら、Webブラウザを表示する「ながら見」機能も利用可能。

外形寸法は、約35×115×123mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約190g。デザインはシンプルに仕上げており、「黒子としての役割を追求した」という。本体正面が優しく光り、使用の状況を知らせる。

Xit AirBoxのサイズ感

Xit Base「XIT-BAS1000T-MK」

Xit Base「XIT-BAS1000T-MK」

「創業以来39年間で培ったノウハウを詰め込んだ、テレビの視聴体験を革新する次世代型テレビチューナー」として開発されたもの。「テレビは持たないけど、年末年始や災害時など、たまにリアルタイムにみたい時がある」、「キッチン、お風呂、寝室、電車、キャンプ場など自宅内外でテレビがみたい」、「動画サイトのように、テレビ番組も好きなシーンだけ見たい」、「たくさん録画したいけど、ハードディスクの買い足しや整理は面倒」といった声に応えるモデルとして開発された。

HDMI出力を備えており、テレビにHDMIケーブルで直接接続し、レコーダーとして使用可能。外付けUSB HDD接続用の端子も備えており、8TBまでの別売HDDが利用可能。

Xit Base「XIT-BAS1000T-MK」の背面

前述の通り、Xit AirBoxと同様に「クラウド録画」に対応。地上デジタル放送だけでなく、BS/110度CSデジタル放送にも対応。チューナーを3基搭載し、2番組同時録画をしながら、別の番組を見ることができる。さらに、Xit AirBoxを増設していく事が可能で、6台用意すると最大8番組の同時録画が可能。複数のXit AirBoxに録画された番組を、Xit Baseから一元管理できる。

クラウドに録画したデータは、家の無線LANだけでなく、4G/LTE、5Gなどのネットワーク環境からも受信・視聴が可能。リモート経由で番組予約もできる。

視聴端末はテレビのほか、Windows、Mac、Android、iPhone/iPad、Fireタブレットなどで再生可能。端末をまたいで、番組の続きを楽しめる。スマホ向けアプリで、テレビを視聴しながらインターネットができる「ながら見」機能を搭載。

これまでも、宅内で録画した番組を屋外から視聴できる製品は存在したが、宅内にある録画した製品から、スマホなどに録画番組を転送するため、表示に時間がかかり、ネットワーク状況によっては視聴できない場合もあった。しかし、テレビ番組をクラウドに保存する事で接続性が安定。録画番組を再生するまでのレスポンスも良好だという。

録画した番組を効率的に楽しむための、見どころアシスト機能を搭載。録画一覧画面で番組の話題をすぐに把握できる「キーワードプレビュー」、盛り上がりシーンを30秒でプレビュー表示する「ハイライトプレビュー」、番組を2分に凝縮再生する「ダイジェスト再生」などを用意する。

思い出共有アプリ「Riremo」を使い、スマホで撮影した写真や動画をアップロードして管理したり、テレビの大画面で楽しんだり、離れた場所に住んでいる家族や友人とシェアする機能も備えている。

外形寸法は、縦置き時で約74×160×178mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約420g。

業界で誰もやってこなかった録画領域のクラウド化

ピクセラの藤岡毅副社長

配信された発表会の冒頭、ピクセラの藤岡毅副社長は、Xit Baseの開発プロジェクトが立ち上げから2年かかっている事を紹介しながら、プロジェクトチームに対して「これからのピクセラの基礎になるような製品を作ること」、「ピクセラの、今後のホームAV事業の支える技術要素を詰め込んだ製品を作ること」という2つのミッションを課したという。その2点から、製品名をXit Baseと名付けた。

さらに、「なぜ、これまで当社を含めテレビの録画領域のクラウド化を、業界で誰もやってこなかったのか。そこには著作権保護への配慮と、クラウドストレージのコストというハードルがありました」と説明。「音楽や写真など、なんでもクラウドに保存できるこの時代に、クラウドに録画番組を保存するなんて簡単な事に感じるかもしれませんが、録画データは音楽や写真と比較にならないようなデータ容量になり、ストレージコストも莫大になってしまう。そうなると、お支払いいただく製品価格も高価になってしまう。それでは、“気軽に使っていただくチューナー”としてふさわしくない」と語る藤岡副社長。

そのハードルをクリアするため、「革新的な商品価値に共感くださったパートナーであるフレックステックさんにご協力いただくことで、なんとかコストの壁を超えることができました」と語り、Xit AirBoxとXit Baseを紹介した。

発表会では、popInの程涛社長をゲストに招き、藤岡副社長とトークショーも実施。藤岡氏は、“若者のテレビ離れ”も指摘される昨今だが、「コロナ禍でお家時間が増えた事で、テレビの関心が高まっているのではないか、それに伴い、もっとどこでも自由に見たいという需要がもっと高まったと感じている。それに応えるのが今回の新製品」と説明。

程氏は、「popInの購入者の半分が(ピクセラのチューナーを)使っていて、その20%が毎日テレビを使っている」というデータを紹介し、テレビ自体に再び注目が集まっているという。

また、来年にかけてテレビ各局がネット同時配信を本格化する事について、藤岡氏は「テレビ番組はテレビで見るものと、従来はデバイスが限定されていた。しかし、これから視聴者層、視聴者数が大きく変わる。テレビとネットの“いいとこ取り”をしたコンテンツが出てくるのではないか」と期待を語る。

さらに、Xit AirBoxとXit Baseについては「今までのテレビの見方、楽しみ方を大きく革新できるもの。好きなタイミングで、好きな場所で、好きな人と、思う存分テレビを楽しんで欲しい」と語り、程氏も「ぜひpopIn Aladdinの前で、好きな人と楽しんで欲しいですね」と続けた。

popInの程涛社長とのトークショーも