レビュー

あの照明型プロジェクタがフルHD&短焦点化で“欠点なし”「popIn Aladdin 2」

popIn「popIn Aladdin 2」。99,800円

2018年11月に発売されたシーリングライト一体型のプロジェクター「popIn Aladdin」。一般的なプロジェクターと異なり、天井照明として取り付けられるので、棚やテーブルなどに設置したり、部屋中に配線を張り巡らせたりする必要がなく、手軽に映像の投影ができることで多くの注目を集めた。

さらに「popIn Aladdin」は、独自のOSを内蔵しているため、レコーダーやスマートフォンなどを使わず、ネットに接続するだけで、NetflixやDAZN、Amazonプライムビデオなどの定額動画配信サービスの視聴ができるのも便利だった。

また、子供向けの絵本の読み聞かせアプリや動物図鑑など、様々なアプリを内蔵。映像をリビングの大きなスクリーンに投影して、映画などを楽しむだけでなく、子ども部屋などの壁に直接投影して映像を楽しむと言う、これまでのプロジェクターとは異なる使い方も提案して支持を得た。

初代モデルとの違い。本体も少し薄くなっており、専用の短焦点レンズを搭載する

そして今回登場したのが、2世代目となる高画質モデルの「popIn Aladdin 2」だ。初代モデルの解像度は1280×720ドットの720pだったが、popIn Aladdin 2は1,920×1,080pのフルHD画質に進化。より高精細に映像を表示することができるようになった。実際に「popIn Aladdin 2」を使う機会を得たので早速設置してみた。なお、⼀般発売は6月中の予定で、一般販売価格は99,800円(税・送料込)だ。

解像度以上に設置の自由度アップがうれしい

popIn Aladdin 2の設置方法は前モデルと共通だ。取り付けたい部屋にあるシーリングライトを外し、そこに付属の引掛シーリング専用アダプターを取り付け、popIn Aladdin 2を設置する。高い位置での作業になるので、脚立などを用意し、できれば2人以上で作業するのが安全だ。

この時に注意するのがレンズの向きだ。映像を投影したい壁に向かって、正面になるよう、本体の向きを調節しよう。本体の設置が完了したら電源を入れ、リモコンのペアリングや映像の位置調整などを行なっていく。

新開発のフルHD単焦点レンズを搭載。DLP方式を採用する

popIn Aladdin 2の進化点の一つに投写距離がある。popIn Aladdinシリーズは、天井にシーリングとして取り付ける製品であるため、どうしても本体の設置位置を調節できない。そのため、プロジェクターのレンズから壁までの距離で、投写サイズは決まってしまうのだ。

そこでpopIn Aladdin 2では、新しい単焦点レンズを開発。前モデルと同一距離での投写サイズを2.8倍大きくした。例えば、従来モデルで100型で投写するためには、壁まで2.82mの距離が必要だったが、popIn Aladdin 2では壁まで1.78mの間取りで100型が投写できるようになった。

付属の引掛アダプターとリモコン
本体の背面。中央の穴にアダプターを装着して天井に固定する
天井の金具にアダプターを取り付け
本体をカチッというまで押し上げる。このときにレンズの向きも合わせておく。電源を装着し、カバーを取り付ける
初期設定が完了すると、無事壁に映像が投影できた

今回、実際に設置した著者の仕事部屋では、壁までの距離は約150cmだった。この場合、投影できた映像の横幅は約213cmで、90型強の大画面だ。従来モデルだと、50型前後だったので、この差は非常に大きいと言える。4畳や6畳ぐらいの個室でもより大画面が投影できるというわけだ。

下にあるのが55型の液晶テレビ。90型オーバーの投写サイズのデカさがわかる

この短距離で大画面投写できるようになったことに加え、popIn Aladdin 2はより使い勝手もアップした。例えば投写する壁に、ドアやクローゼットがあるなど、何か制限がある場合だ。

popIn Aladdin 2には、映像の四隅の位置をそれぞれ個別に設定できる使いやすい台形補正機能を搭載している。この機能を利用して、扉などをよけて映像を投写できるのだ。

映像の投写位置の自由度もアップ。上下の可動域は18度から32度に広がっている
台形補正も左右40度に対応。四隅を個別に調整できるので設定は簡単
壁面にドアなどがある場合も手軽に設定できる

設置した部屋の側面には右側にクローゼットがあった。このため、「映像の台形補正」機能を利用して右側の角の位置を変えることで、壁の白い部分だけに投写できる。

ただし、台形補正機能は角単位で行なう仕様のため、アスペクト比は手動で合わせる必要があった。画質を緻密に追い込みたい場合は、注意が必要だ。

台形補正機能で角の位置を調整していく
縦の投影位置も調整。アスペクト比の調整は手動になる
投写イメージ

LEDシーリングライトとしても進化

LEDシーリングライトとしても進化している。従来モデルでは調光6段階、調色6段階の設定だったが、popIn Aladdin 2ではそれぞれ100通りの設定が可能。

プリセットとして「昼光色」「電球色」「昼白色」「常夜灯」が用意されており、明るさと色合い、それぞれ100段階のスライダーを操作して好みの色を作ることができる。

さらに設定した明かりや、プリセットから4つまでを選んで登録できる。選んだ色は、リモコンのライトモード切替ボタンを押すだけで切り替えられる仕組み。明かりの順番も設定できるため、使用頻度が高い順に並べられる。

LEDシーリングライトとしての仕様は最大4,300mlで、8畳用なのは変わっていないため、広いリビングを一灯で照らすのは難しいが、プロジェクターとしてだけではなく、照明器具としての機能もアップしている点が評価できる。

ライト設定では、4モードの明かり設定が選択できる
明るさと色合いを100段階のスライダーから10000種類の色設定ができる
リモコンの十字キー右上の「ライトモード切替ボタン」で設定した順番に明かりを切り替えられる

フルHD & 短焦点化でもはや“欠点なし状態”に

従来モデルである「popIn Aladdin」は2018年の発売以降、累計販売台数4万6,000台に達し、ホームプロジェクター市場でトップの売り上げを実現している。とはいえ、従来モデルは画質や投写サイズの面で物足りなさもあった。popIn Aladdin 2はその部分をすべて修正しアップグレードした製品だ。

popIn Aladdin 2に搭載している多くのアプリ。主要動画サービスや子ども向けの知育アプリも充実している
大きく時計を映し出す「壁時計」も、慣れると生活の中で当たり前の存在になっていく

レンズから壁までの距離が1mを切る狭い部屋でも、手軽に60型を超える大画面が投影でき、投影距離1.6mが確保できれば100型の大画面が投写できる。

さらにフルHD化により精細感もアップ。より大画面で映しても、きめ細かく映像が表示できるようになった。このフルHD化と短焦点化により、popIn Aladdin 2はより“死角がないプロジェクター”へと進化した。

映像以外の進化点もある。例えば本体側面に搭載するharman/kadon製のスピーカーは5W+5Wから8W+8Wへとパワーアップ。より迫力のあるサウンドが体験できる。

本体側面に8W+8Wのスピーカーを搭載。Bluetooth接続もでき、スピーカーモードで利用可能

搭載するソフトウェアには新しいものが追加されている。例えば「アラジンタイマー」では「おはようタイマー」と「おやすみタイマー(大人・子ども)」を用意。起きる時間になると爽やかな映像と鳥のさえずりなどを流して、起床を促してくれたり、寝る時間になると快眠を促す映像に切り替わる仕組みだ。個人的には「おはようタイマー」が非常に気持ちよかった。

新たに搭載された「おうちでヨガ」。多くのコースを楽しめる
もちろん、YouTubeも利用可能
「Aladdin Timer」の設定画面。おはようからおやすみまでスマートに使える

また、大画面でのヨガが楽しめる「おうちでヨガ」アプリも登場。画面に従って体を動かすだけで手軽にヨガが体験できる。YouTubeのダンスやヨガ、トレーニング動画なども体験したが、100型近い大画面でこれらのコンテンツを投写すると、あたかもスタジオにいるような感覚で体験できる。没入感が高く、サボりにくさを感じた。これを大画面のおかげだと言えそうだ。

このほか、地上デジタル放送や録画した番組などは、「つながるTV」アプリを利用して、DLNA対応のレコーダーと連携して視聴できる仕組み。また、Miracast機能も搭載しているため、対応スマートフォンの映像を映し出すことも可能だ。

DLNAクライアント「つながるTV」を利用することでレコーダーの映像が楽しめる。

popIn Aladdin 2があれば無機質な白い壁が、映画やライブ、スポーツの名シーンを映し出すスクリーンになったり、家族の写真や世界の絶景を映し出すアルバムになる。また、壁一面に表示される時計などもデザイン性が高い。

普段は画像や風景、時計などを投写。子どもがいる家庭なら子供用のアプリを利用し、週末は大画面で映画やスポーツを楽しむことができる。

popIn Aladdin 2は、100型サイズの大画面を、カジュアルな使い方で楽しめる大画面プロジェクターと言える。

コヤマタカヒロ