ニュース

デノン、天井反射でAtmos対応の音質“全振り”サウンドバー

サウンドバー「DHT-S517」

デノンは、Dolby Atmosに対応し、天井に音を反射させるDolby Atmosイネーブルドスピーカーも内蔵したサウンドバー「DHT-S517」を1月下旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は59,800円前後。サウンドバー部分に加え、ワイヤレスサブウーファーもセットになっており、合計では3.1.2chシステムとなっている。

サウンドバー「DHT-S517」設置イメージ
「DHT-S517」付属のワイヤレスサブウーファー

デノンのサウンドバーは、エントリーモデルながらピュアなサウンドにこだわった「DHT-S216」、コンパクトながらネットワーク再生が可能でワイヤレスサラウンドスピーカーも追加できる「DENON HOME SOUND BAR 550」などをラインナップしている。新モデルの「DHT-S517」は、価格帯としてはDENON HOME SOUND BAR 550の下位モデルとなるが、サイズは550より小ささを追求してはおらず、ネットワーク再生機能も搭載していない。

その一方で、7基のユニットを搭載したスペース的に余裕のある設計や、ワイヤレスサブウーファーがセットになっていること、さらに天井に音を反射させるDolby Atmosイネーブルドスピーカーも内蔵するなど、音質やサラウンド効果の向上を追求した3.1.2chモデル。「思い切った価格帯ながら、550にも負けないくらいの臨場感と高音質を楽しめる製品に仕上げている」という。なお、ネットワーク再生機能は備えていないが、Bluetooth受信は可能なので、Bluetoothスピーカーとして使うことはできる。対応コーデックはSBC。

「DHT-S517」
下が「DHT-S517」、上が「DENON HOME SOUND BAR 550」

サウンドチューニングは、デノンのサウンドマスター山内慎一氏が担当。サウンドバー部分には、前面に25mm径のツイーターと、120×40mmの楕円形ミッドレンジを各2基搭載。さらに25mm径のフルレンジスピーカーもセンタースピーカーとして中央に1基搭載。音のクリアさを重視し、アルミニウム振動板を使っている。

デノンのサウンドマスター山内慎一氏
スケルトンモデル
120×40mmのミッドレンジ
25mm径のフルレンジスピーカーもセンタースピーカーとして中央に1基搭載

これに加え、天面の左右に66mm径のDolby Atmosイネーブルドスピーカーを内蔵。角度をつけた配置になっており、部屋の天井に向けて音を放出、天井に音を反射させることで、上からの音を表現する。DSP処理のみで行なうバーチャル再生よりも、リアルな3Dサラウンドを再現できるとする。これに、左右方向の広がりをもたせるバーチャルサラウンド処理も組み合わせている。ただし、左右の広がりに音の反射は使用していない。

天面の左右に66mm径のDolby Atmosイネーブルドスピーカーを内蔵

なお、Dolby Atmosイネーブルドスピーカーは、取り付ける角度や、トップスピーカー用のサウンドがイネーブルドスピーカーに送られているかなど、Dolbyでのテストをクリアして認証を取得している。

発表会には、Dolby Japanの大沢幸弘社長から製品発表を祝福するコメントも届いた

筐体は、各ユニットを強固に支え、正確に駆動するための設計を採用。FEM(有限要素法)による解析を用いて、高剛性で共振しにくい構造を実現したという。さらにエアフローも最適化した。

筐体の剛性は高く、体重をかけてもたわまない

付属のワイヤレスサブウーファーは、前面にユニットを搭載し、背面にバスレフポートを装備。底面にユニットを配置せず、前面に配置することで、ストレートかつハイスピードなサウンドを追求している。ユニットは150mm口径。バスレフポートには、大型フレアと、つなぎ目をなくしたポートにより、エアフローノイズを大幅に軽減している。

ワイヤレスで設置の自由度が高く、横置きも可能だが、メーカーが想定した設置スタイルではない。ラバーフットは付属しない
サブウーファーの背面
大型フレアと、つなぎ目をなくしたポートにより、エアフローノイズを大幅に軽減

ハイエンドAVアンプにも採用されているSoCを、よりグレードアップしたチップを搭載。高い演算処理能力を備え、この処理能力の余裕が高音質再生にも寄与しているという。また、これによりDolby Atmosの3Dオーディオ信号のデコードや、バーチャルサラウンド処理も余裕をもって実行できるようになっている。

ミニマムシグナルパスも徹底したデジタルアンプ回路を搭載。入力端子からスピーカーユニットまで、信号の経路ができるだけストレートかつ最短経路を取るようなレイアウトを徹底。放熱板の下にパワーアンプを配置するなど、Hi-Fi機器で使われる手法をサウンドバーでも用いている。ちなみに放熱板は鳴きが発生しないよう、特殊な形状になっている。

放熱板の下にパワーアンプを配置

テレビ放送における番組とCMなど、コンテンツごとに不揃いなボリュームを揃える「ボリュームレベラー」をあえて排除することで、音の劣化も防いでいる。

HDMI入出力端子は4K映像に対応。Dolby Vision、HDR10+、eARCにも対応する。さらに、光デジタル音声入力、AUX入力も搭載。電源ケーブルは着脱可能。HDMI入力は4K/60p対応。

対応音声フォーマットは、Dolby Atmos、Dolby TrueHD、ドルビーデジタルプラス、ドルビーデジタル、7.1chまでのリニアPCM、MPEG-2 AAC。、新4K/8K衛星放送で使用されているMPEG-4 AACのデコードにも対応する。

サラウンドモードは、MOVIE、MUSIC、NIGHT、PUREの4種類を搭載。NIGHTは、夜間など音量を控えめにして視聴する際に最適なモードで、音量を下げた状態でも小さな音が聴き取りにくくならないようにする。

PUREは、サウンドモードやバーチャルサラウンド処理を全てバイパスし、増幅回路に入力することで、音の純度が最も高いモード。デノンのHi-FiオーディオやAVアンプと同様に、サウンドマスター山内氏が追求するViVid & Spaciousなサウンドを実現するモードとして用意。山内氏が40回以上の音質検討を繰り返して決定している。

具体的には、デコードした後のサウンドモードやバーチャルサラウンドの処理を全てバイパスし、デジタルアンプへ入力するため、高純度な再生ができる。

サウンドモードやバーチャルサラウンド処理を全てバイパスし、増幅回路に入力することで、音の純度が最も高くなるPUREモード

ニュースや映画のセリフなど、人の声の音量だけを調整して聞き取りやすくする、ダイアログエンハンサー機能も用意する。

外形寸法は、サウンドバーが1,050×95×60mm(幅×奥行き×高さ)、重量は2.5kg。サブウーファーは172×290×370mm(同)で、4.3kg。

設置イメージ
設置イメージ