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Technics、7色展開のDJターンテーブル50周年記念モデル「SL-1200M7L」

「SL-1200M7L」イエロー

パナソニックは、Technicsブランドの「SL-1200」シリーズ発売50周年を記念し、DJ向けダイレクトドライブ式ターンテーブル「SL-1200MK7」をベースに、7色のカラーで展開する限定モデル「SL-1200M7L」を5月27日に発売する。価格は12万円。世界限定12,000台で、地域ごとの割り振りはされていない。

豊富なカラーバリエーションを用意

かつて、アナログレコードを楽しんでいた世代に加え、若い世代もアナログレコードを使って音楽を楽しむようになっており、大きなジャケットをインテリアとして活用する人も増加。さらに、“巣ごもり”により、DJを趣味にする人も増えている。

また、生ライブを開催しにくくなった事から、DJプレイの配信も増加。これにより、配信で“映える”ターンテーブルへのニーズも高まっているという。

そこで、「SL-1200M7L」ではブルー(-A)、レッド(-R)、ホワイト(-W)、ブラック(-K)、グリーン(-G)、イエロー(-Y)、ベージュ(-C)の豊富なカラーバリエーションを用意。ユーザーが好きな色、テーマカラー、インテリアとのカラーマッチングなどを考慮して選択できるようになっている。

グリーン、イエロー
ブルー、レッド
ホワイト、ブラック

さらにSL-1200MK7とSL-1200M7Lの違いとして、M7Lはトーンアームがゴールドカラーになり、本体にシリアルナンバープレートを配置。ゴールドカラーのロゴ入りスリップマットと、50周年記念ステッカー、50周年記念デザインのコントロールバイナル用ステッカーも付属する。

トーンアームがゴールドカラーに
本体にシリアルナンバープレート
ゴールドカラーのロゴ入りスリップマット
50周年記念デザインのコントロールバイナル用ステッカー

また、製品が入っている外装箱も、50周年記念ロゴ入り・限定ステッカー貼り付けとなる。

外装箱も、50周年記念ロゴ入り・限定ステッカー貼り付けとなる

それ以外の特徴は、SL-1200MK7を踏襲。ボタンレイアウトやプラッターの慣性質量などDJパフォーマンスに影響する仕様部分は従来シリーズを踏襲し、過去のモデルを使い慣れた人も従来と同様の操作感で使用できるように配慮。一方で、トルクやブレーキスピードの調整、逆回転再生などの新機能も搭載しているのが特徴。

モーターは、ダイレクトドライブターンテーブルの課題とされるコギング(回転ムラ)の発生を解決するため、コイルからコア(鉄心)を排除したコアレスステーターを採用したコアレス・ダイレクトドライブ・モーターを搭載。

モーターの回転制御には、Blu-ray Disc機器で培った最新の制御技術を応用。マイコンによる高度なモーター制御技術により、回転を安定化。トルクやブレーキスピードは、いずれも4段階で好みのレベルに調整でき、逆回転再生機能も可能。

外部からの振動を軽減するシャーシは、ABSにガラス繊維を配した特殊素材とアルミダイキャストシャーシを強固に一体化した2層構造を採用。メンテナンスやブースのレイアウト変更がしやすいように、着脱式の電源/Phonoケーブルを採用している。

製品のWebページでは、スマホやPC上で製品を360度回転して、形状を確認できるページを用意。スマホを使って、ARで設置シミュレーションができるツールも用意する。

スマホを使って、ARで設置シミュレーションができる

「SL-1200」の歴史

テクニクスブランド事業推進室の上松泰直氏

テクニクスブランド事業推進室の上松泰直氏は、1970年にダイレクトドライブ方式のターンテーブルである「SP-10」が登場し、1972年に「SL-1200」の初号機が登場した事を紹介。「SL-1200が、ディスコやクラブシーンでDJ達が使い始めた最初のスタンダードモデル。当時も様々なモデルをラインナップ展開していたが、その中でSL-1200が偶然にもDJ用として使用され、このモデルが受け継がれていくことになった」という。

シリーズ年表
1970年にダイレクトドライブ方式のターンテーブルである「SP-10」が登場
1972年に「SL-1200」の初号機が登場

しかし、初号機はあくまでHi-Fi向けの製品として作られたので、「必ずしもディスコやクラブに向いていたわけではなく、爆音と振動にさらされると、針飛びを起こしてうまく再生できない事もあった。そこで、天井から(SL-1200を)吊るしてプレイするなどの工夫が行なわれていた。そうした問題を解決するため、インシュレーターを進化させたり、真っ暗なクラブで針を落とす場所を見つけるための針先照明を改善したほか、ピッチコントロールもつまみから大きなスライドコントロールに変更したり、電源ON/OFFボタンも誤動作を防止するため、つまんでまわすスイッチにするなど、ユーザーの声を反映して様々な改良を行なっていった」という。

初号機を改良し、DJのための機能を盛り込んだ「SL-1200MK2」。1979年発売
1989年登場「SL-1200MK3」。クラブカルチャー成熟の象徴となった
1997年の「SL-1200MK3D」は楽器的性格を強めたモデル
2002年の「SL-1200MK5」。長年の積み重ねを反映した、30周年記念モデル
世界累計生産台数300万台達成を記念した限定モデル「SL-1200GLD」

そうした進化がユーザーからも評価され、DJの定番ターンテーブルとして不動の地位を築いたが、惜しまれつつ2010年に一旦生産を終了。その後、2014年にTechnicsブランドが復活、SL-1200シリーズの復活を望む声も高まり、2016年に「SL-1200GAE」が登場、世界で1,200台、日本では300台限定だったが、なんと30分で完売し、大きな話題となった。

その後、新たなスタンダードモデルとして2017年に「SL-1200GR」が登場。そして、2019年にはDJ向けとして、11年ぶりとなる「SL-1200MK7」が登場し、現在に至る。こうした歩みを上松氏は、「楽器としての進化も遂げながら続けてきた50周年」と振り返った。

SL-1200MK7

今回のSL-1200M7Lのデザインを担当した、エンターテインメント&コミュニケーション事業部 デザイン部の矢木良一氏は、DJ達に豊富な7色のカラー展開を見せて意見を求めたところ、「DJは機材で個性を出す所が少ないのでカラーモデルは大賛成」、「色展開はテンションが上がる」、「自宅で練習用、PV動画撮影に使いたい」、「インテリアにマッチする色が選べるので賛成」といった、肯定的な意見が多数寄せられたという。

エンターテインメント&コミュニケーション事業部 デザイン部の矢木良一氏

発表会では、DJ KOOさんがSL-1200シリーズの思い出や、50周年を祝福するビデオメッセージを寄せたほか、DJ KAWASAKIさん、大塚広子さんによるDJプレイも披露された。

Technics「SL-1200M7L」発売に向け、DJ KOOさんからのビデオメッセージ
Technics「SL-1200M7L」デモプレイ。DJ KAWASAKIさん、大塚広子さん
DJ KOOさんがビデオメッセージを寄せた
左から大塚広子さん、DJ KAWASAKIさん