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冬のヘッドフォン祭mini。FiiO新DAP「M15S」、低価格なDAP用キーパッド

中野サンプラザ

フジヤエービック主催の「冬のヘッドフォン祭mini 2023」が2月11日に中野サンプラザで開催。各社がポータブルオーディオの新製品や試作機を展示した。登録入場制。ここではエミライやBrise Audioのブースをレポートする。

なお、会場の中野サンプラザは今年6月での営業休止されるため、4月29日に開催予定の「春のヘッドフォン祭2023」が、フジヤエービックが中野サンプラザで実施する最後のイベントとなる。次回「夏のヘッドフォン祭mini」は、東京駅八重洲北口直結の「ステーションコンファレンス東京」で7月15日に開催予定。

FiiO

「M15S」

FiiOの新製品として、人気DAP「M15」の後継モデル「M15S」を参考出品。FiiO製最新世代ヘッドフォンアンプ回路を搭載し、最大1,100mW(32Ω・バランス出力時)の大出力が可能。Snapdragon 660も搭載しており、音楽配信アプリもスムーズに動作するという。今春発売予定で、価格は未定。

DACチップはESS製フラッグシップDACチップ「ES9038PRO」。PCM 384kHz/32bit、DSD256の再生に対応。MQAのフルデコードも可能。高精度水晶発振器を駆使した「デジタル・オーディオ・ピューリフィケーション・システム」を備えている。

イヤフォン出力は2.5/3.5/4.4mmの3系統。サードパーティアプリを使っている場合でもビットパーフェクト再生に対応な、FiiOカスタム仕様のAndroid 10 OSを搭載する。

待ち受け時間1,000時間を実現する6,200mAhの大容量バッテリーを内蔵。USB DACやBluetoothトランスミッター/レシーバーとしても使用できる。

イヤフォン出力は2.5/3.5/4.4mmの3系統
キーパッドの普及モデル「KB1K」

FiiOは、DAPなどを手軽に操作するためのキーパッド「KB1」を1月に発売しているが、KB1のボディ素材をプラスチック(ABS+PMMA)樹脂に変更した普及モデル「KB1K」も参考出品。今春発売予定で、価格は未定。ボディがプラスチックであるため、よりリーズナブルなモデルになる予定。

機能はKB1と同じで、USBケーブルでPCやスマートフォン、DAPと接続して音楽の再生/停止や音量調整やミュートを手軽に操作できる。専用のPC用ソフトでボタンコンフィグやLEDライト効果を自分好みに設定することも可能。

USB-C端子をボディの背面と左面に合計2つ搭載。デスク上で取り回し易い方向から接続できる。ボタンスイッチには定評のあるKailh製「Kailh Box White Switch」を採用、カスタマイズ性に優れるTTC製のホットスワップソケットを採用する。

キーとノブは専用ソフトを利用すれば自由にボタンの割り当てが可能。便利なマクロボタンとして設定できる。底面には滑り止めと衝撃を吸収する役割を兼ねた「EVAフォームマット」を搭載する。

「KA5」

「KA5」は、小型軽量ながら768kHz/32bit、DSD256の再生に対応。3.5mm/4.4mmデュアルヘッドフォン出力を備えた、バスパワー駆動のUSB-DAC内蔵ヘッドフォンアンプ・ハイエンドモデル。外観的な特徴は、再生ファイルのサンプリングレートと音量レベルを表示するOLEDディスプレイを備えている事。

DACチップはCirrus Logic「CS43198」をデュアルで搭載。アンプチップ「RT6863」も左右のチャンネルに一基ずつ搭載した完全バランス設計。発売時期は未定で、価格も未定。

バスパワー駆動かつUSB Audio Class 2.0対応で、様々な端末との接続が可能。入力端子はUSB-C。3.5mmのイヤフォン出力と4.4mmバランス出力は、最大240mW。

3.5mmのイヤフォン出力と4.4mmバランス出力を備えている

また、2月3日に発売されたばかりのデスクトップオーディオ「R7」も注目を集めている。USB DACやデジタル・オーディオトランスポートとして使えるのが特徴の製品だが、ヘッドフォンアンプ機能も備えており、AC/DC電源どちらにも対応できるのが特徴。会場ではFerrum Audioのオーディオ機器用DCパワーサプライ「HYPSOS」と組み合わせて、AC/DC電源を切り替え、音質の違いを体験できるようになっていた。

右がデスクトップオーディオ「R7」、左がオーディオ機器用DCパワーサプライ「HYPSOS」
R7の背面。AC/DC電源どちらにも対応できる

Noble Audio

左からFoKus Mystique、参考出品のFoKus Prestige

Noble AudioからはTWSの新製品「FoKus Prestige」が参考出品。内部の基板、ドライバー、音響チューニング、その他の電気的・音響的スペックについては既発売の「FoKus Mystique」と同様。

本体のシェル、および充電ケースの外装部分にスタビライズド・ウッドを採用しているのが特徴。スタビライズド・ウッドとは、樹脂(レジン)を浸透・硬化させることで安定化と強度の向上を図った木材。なお、サンプルで使用している素材は試作品のため、量産品では色味などが変更になる可能性があるという。

FoKus Prestigeでは、塗料を含ませた樹脂を浸透させることで「世界でただ一つの模様を作り出し、一般的な木材や樹脂の仕上げとは全く異なる、唯一無二の美しさ」があるという。“Wizard”ジョン・モールトンが一点一点手がける特注仕様となる。

RONIN

Noble Audioからは有線イヤフォンの新製品も参考出品。「RONIN」というモデルで、「Katana」の後継モデルとなる。発売時期は今春で、価格は未定。

バランスド・アーマチュア・ドライバーと静電型ドライバーを合計で12基搭載するハイブリッド型。付属ケーブルの製造とパッケージデザインは、シンガポールで2019年に設立された新進気鋭のケーブルメーカー、Eletech(Element Technology)が担当している。

構成は、低域用にSonion製BA書ける4基、中~高域用にKnowles製BA×4基、超高域用にSonion製静電型ドライバー×4基を搭載。合計12ドライバーのハイブリッド型となる。

青い金属光沢を持つ複合樹脂素材を手作業で仕上げたシェルを採用。Eletech製の「OCC銅+銀 ハイブリッド導体 7芯シールドケーブル」が付属する。入力端子は4.4mmバランスプラグ仕様)。イヤフォン側のコネクターは2ピンの埋め込み型0.78mmソケットを採用する。

Brise Audio

ソニーのイヤフォン「IER-Z1R」の特徴をより活かせるよう、独自に音質設計を施したケーブル「BSEP for Z1R」

Brise Audioのブースでは、ソニーのイヤフォン「IER-Z1R」の特徴をより活かせるよう、独自に音質設計を施したケーブル「BSEP for Z1R」を紹介。2月17日発売で、プラグ形状は5極4.4mm、4極2.5mm、3極3.5mm、4極3.5mmの4種類を用意。ケーブル長は1.2m~2mまで選択でき、価格はオープンプライス。店頭予想価格は長さ1.2mで90,000円前後。

線材に、定評のある4芯YATONO線材を使用。Z1Rの特徴である輪郭のしっかりした高域・低域を より活かすべく、専用の独自高音質施工を施した。最上位グレードMURAKUMOと同じ素材(CNT、特殊電磁波吸収シールド材、BSシートを含む)も採用し、Ref.2グレードと同等以上の高音質化施工を実施している。導体構造はQuad Spiral構造だ。

銀線ケーブル・プロトタイプ

さらに参考出品として、Brise Audio初の銀線ケーブル・プロトタイプも披露している。

これまで様々な銀線をテストしたそうだが、同社の基準とする音質をクリアできる線材が見つけられなかったという。今回の試作ケーブルにおいて、「ついにお披露目できるクオリティの純銀ケーブルを発表できた」という。

導体量が、銅線材のフラグシップであるYATONOとほぼ同じだけの贅沢仕様、かつ特殊な高純度銀になっており、試作の量が少ないため、2月中に下記の内容で限定販売になる予定。正式な製品リリースの際には、線材やパーツの仕様が変わる可能性があり、価格も下記よりも上がる予定だという。そのため、下記の価格は今回の試作ロットのみの価格となる。

  • Silver Concept Ultimate 20本限定 250,000円
  • Silver Concept 8-wire Ultimate 15本限定 380,000円
  • Silver Concept HP Ultimate 5本 400,000円
  • Silver Concept MINI Ultimate 10本 165,000円

ブースでは、ポータブルアンプ「TSURANAGI」を中心としたハイエンドポータブルオーディオシステムも用意。ユーザーのイヤフォンなどで試聴できるようになっていた。

ポータブルアンプ「TSURANAGI」を中心としたハイエンドポータブルオーディオシステムも用意