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Aurender初、2筐体構成のネットワークトランスポート

「N30ASA」Silver

エミライは、Aurenderの新しいフラッグシップネットワークトランスポート「N30ASA」を、4月28日に発売した。カラーはSilverとBlackで、価格はどちらも440万円。

ブランド初の2筐体構成「デュアルシャーシフォームファクター」を採用

長くAurenderのフラッグシップの座を維持してきた「W20SE」を超えるべく生み出されたという、新たなフラッグシップモデル。W20SEで実証された徹底したノイズ対策による高い音質と、ネットワークトランスポートの中核モデル「N20」で初採用したハイレゾ音源/ストリーミングサービスに対応する処理能力などを、「一塵の妥協もなく1つの製品に融合するための結論」として、ブランド史上初となる2筐体構造「デュアルシャーシフォームファクター」を採用した。

「パワーボックス」内部

液晶ディスプレイを備えた「パワーボックス」には、リニア電源部、LAN入力部、再生キャッシュ、SSDストレージ、システムコントロールに関連する、すべてのノイズ発生を想定した回路を搭載。8.8型のワイドIPS LCDディスプレイを備える。

「オーディオボックス」内部

デジタル出力端子が取り付けられた「オーディオボックス」には、フィルタリングされ絶縁されたUSBオーディオ出力と、すべてのデジタル出力プロトコルとOCXOクロックを備えたSPDIFオーディオボードなどの音に関わる回路を搭載している。

このパワーボックスで生成されたクリーンなDC電源とデジタルデータを、最大1.5mの物理距離を取ったオーディオボックスに供給することで、「1筐体では実現し得なかった徹底したノイズ対策を施した」とのこと。2台の筐体は2本の専用ケーブルで接続する。

両筐体とも、厚さ10mmのトップカバーを含めたアルミシャシーに収められており、EMFシールドとしての効果を高めると同時に、振動対策にも寄与しているとのこと。

また、本体に内蔵したスーパーキャパシターは無停電電源装置(UPS)としても機能。突然の停電やケーブルが脱落した場合でも、内蔵データを保護し、システムを安全にシャットダウンできる。

本体背面

最高性能のD/Aコンバーターとのマッチングを重視したといい、出力はUSBのほか、RCA同軸、BNC同軸、光デジタル、AES/EBUを装備。DSD512対応専用USBオーディオクラス2.0出力端子も備え、ノイズのないオーディオ信号を伝送するように設計されており、外部の電子干渉からもシールドされる。ネットワーク接続とファイル転送のために用意されたイーサネットポートと2つのUSB 3.0データポートは、ノイズの影響を考慮してパワーボックスに搭載されている。

さらにLANポートは二重に絶縁されており、ルーターのLAN接続によって発生するノイズから、N30ASAを絶縁する。

対応フォーマットはDSD(DSF、DFF)、WAV、FLAC、AIFF、ALAC、M4A、APEほか。対応サンプリングレート/ビットレートは、USB出力が最大384kHz/32bit、DSD512。RCA/BNC/光出力、AES/EBU出力は192kHz/24bit。

安定的かつ高品位な再生を実現するために、480GBのM.2 NVMeキャッシングストレージと8TB SSDのデータ保存用ストレージを備える。ローカルデータの再生だけでなく、TIDALなどのストリーミングサービス、DLNA、USBメモリからの音楽データは、すべてキャッシングストレージに一時保存され、再生時にはLANによるデータ通信を停止することで、低ノイズ環境を実現する。

本体背面にはドライブベイも搭載しており、内蔵SSDと合わせて最大16TBまでストレージを拡張できる。

「N30ASA」Black

クロックの安定性を確保するため恒温槽付水晶発振器(OCXO)も搭載。水晶発振器は一般的に温度変化により周波数が変動し、デジタルオーディオ信号の精度低下や、ジッターが発生する可能性があるが、OCXOクロックは、安定した高品位の水晶発振器を採用しているだけでなく、温度変化によるジッターを防ぐために一定の温度に保たれたコンパートメントに発振器を封入。これにより、一般的な水晶発振器と比較して極めて高い精度と安定性を持っているといい、後段のDACに安定したクロック信号を供給する。

さらにワードクロック(dCS、DACまたは類似のもの)またはマスタークロック(MSB DACまたは類似のもの)の両方の入力もサポートする。

このOCXOクロックとFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)を組み込んだオールデジタル・フェーズ・ロック・ループ・システム(ADPLL)により、「デジタル・オーディオ・データ伝送の時間を正確に設定し、ジッターを無視できるレベル以下にまで最小化する」という。

FPGAを使ったDSD-PCM変換も利用可能。FPGA内部の数千個のタップフィルターを用いてDSD-PCM変換を正確に行ない、優れたオーディオ性能を実現する。

日本語に対応した専用アプリ「Aurender Conductor」を使うことで、音楽再生のために必要とされない信号処理、ディスプレイの照明、LED輝度、ハードウェアボタンのための待機電力、その他のバックグラウンド機能を停止させる「クリティカルリスニングモード」を利用できる。同モードを有効にすることで、余計な電力消費とシステムリソースを削減し、「可能な限り最高の音質」を実現する。アプリでは、QobuzやTIDALなどの操作もできる。

オプションとして、MQAコアデコーダーに対応。AurenderのMQA Core Decoderのアップグレードにより、MQA Coreデコード機能によるファーストアンフォールドが可能になり、最大88.2kHzまたは96kHzでのMQAファイルの再生が可能になる。さらにMQAコア・デコーダーは、MQAデコーディングの第2段階であるMQAレンダリングを実行するDACと連携させることで、完全なMQAデコーディングが可能。

消費電力は再生時40W、最大70W、待機時3.5W。各筐体の外形寸法と重さは、430×353×106mm(幅×奥行き×高さ)/22kg。