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CANOR AUDIO、トライオード/ウルトラリニア切替可能な真空管アンプ「AI 1.10」

AI 1.10

タクトシュトックは、CANOR AUDIOの真空管アンプ「AI 1.10」を7月1日に発売する。価格は143万円。

1995年にスロバキア共和国東部のプレショフに設立されたカノア・オーディオ。自社内にSMT(Surface Mount Technology)ライン、陽極酸化ライン、CNC機械などを保有し、社員数は約90人。自社製品を手掛けるだけでなく、多くのオーディオブランドのODMも請け負っているという。

2月に日本でフォノアンプを発売、「真空管とは思えないSNの良さと、真空管らしいリニアリティの高さ。さらにリッチさを併せ持ったサウンドで、発売と同時に大きな反響」があったという。

AI 1.10

新製品の「AI 1.10」は、KT88ハイパワー管を4本を使ったクラスA動作の真空管プリメインアンプ。日本向けに100Vトランスを開発した。

オートバイアス機能を備え、トライオードモード(20W)とウルトラリニアモード(40W)の切り替えがスイッチひとつで可能。「室内楽やボーカルといった音楽の時にはトライオードモードを、ロックやジャズといったグルーヴ感を楽しみたい時はウルトラリニアモードを、といったように気分や音楽によって変更できる」という。切り替えは、電源を落とさずに行なえる。

真空管は、CANORからサプライヤーに供給された、自社開発の測定機・アラジンによって測定、選別。真空管は200時間のバーンインが行なわれ、最高のパフォーマンスが得られる状態になった後で、アラジンによってさらにテストし選別。ペアリングが行なわれ、「AI 1.10に採用される真空管はエリート中のエリートなだけでなく、完璧なマッチングがとられている」という。

入力電圧をリアルタイムで監視し、入力トランスの最適な入力(1次側巻線100/105/111V)を自動で切り替える安定化回路(VSC)回路を搭載。パフォーマンスが向上するだけでなく、真空管の長寿命化にも寄与するという。

アッテネーターは、1dB単位のゲイン制御が可能。最小減衰量は63dB。オリジナルの設計により、信号はボリュームに応じて0から最大6個のリレー接点を通過するが、左右チャンネルの同期間の偏差は0.05dB未満に抑えている。

リレー・アッテネーターには、チャンネルごとに2つの独立したブロックがあり、優れたチャンネル・セパレーションを獲得。「この種のボリュームは、通常遥かに高級な価格帯のアンプにしか採用できていない場合が多く、多くのメーカーのOEM/ODMを請け負っているメリットが活かされている」とのこと。

AI 1.10を2台使用したモノブロック接続にも対応。CANORデータリンクケーブルを用いる事で、片方のユニットは「マスター」、もう片方は「スレーブ」となり、いわゆるブリッジ接続(完全対称接続)が可能。プリアンプを別途用意し、「モノラルアンプを購入するよりも、はるかに効率よく高音質化が図れる」という。

入力端子はアナログRCA×5、アナログXLR×2(モノブロックモード時のみ使用可能)。外形寸法は435×485×170mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は26kg。

今後の新製品

秋以降には「DAC 2.10」(770,000円)を発売予定。

「DAC 2.10」

DACチップは「ESS Sabre ES9038Q2M」をデュアルモノラル構成で使用。PCM 768kHz/DSD 512/MQAフォーマットに対応。

真空管の6922管×4も搭載しており、「従来のDACとは一線を画すサウンド」だという。

「AI 2.10」(770,000円)も秋以降発売予定。出力150W/4Ωを誇るハイブリッド・プリメインアンプで、正確なリレーアッテネーターを備えた真空管プリアンプ部(6922×2)とリニア電源を搭載したクラスDパワーアンプのコンビネーションが特徴。

「AI 2.10」