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final新機軸ヘッドフォン「X8000」国内初展示。「夏のヘッドフォン祭 mini」開幕
2023年7月15日 16:29
フジヤエービックによるイベント「夏のヘッドフォン祭 mini 2023」が7月15日に開催された。会場はこれまでの中野サンプラザではなく、東京駅の隣にあるステーションコンファレンス東京に移動した。入場は無料だが、登録入場制。
会場はステーションコンファレンス東京の4階で、フロアはコの字型になっており、その通路に面して複数の部屋があり、その部屋の中に各ブースが机を置いて出展するカタチになっている。
final
finalブースで注目されていたのは、開発中の新シリーズ「Xシリーズ」の「X8000」というヘッドフォン。試聴はできない外観サンプルだが、国内初展示となる。発売時期は未定で、年内の発売を目指しているという。価格も未定だが、70万円ほどのイメージ。
D8000のような平面磁界型のユニットを採用しているが、振動板のコイルのパターンなどは独自のものになっている。ハウジングはチタン。
外観からもわかるように、あらゆるものを削ぎ落として軽量化しつつ、高音質も追求しているのが特徴で、全体の重量的には220g程度になるとのこと。
注目ポイントはイヤーパッドで、3Dプリンターで作られており、その形状もシンプルさを追求。通常のイヤーパッドの外側だけで中身が無いような形状となっているため、“イヤーパッド自体の音”がほとんど感じられないという。軽量であるため、室内で、長時間装着する用途をイメージしているとのこと。
また、ドイツにて開催されたオーディオショー「ミュンヘン・ハイエンド」で配布したX8000の限定パンフレットも配布している(無くなり次第配布終了)。
さらに、先日のポタフェスでも披露されたゲーミングイヤフォン新製品「VR2000 for Gaming」の先行試聴も可能。ゲームの世界に没入できる空間表現が特徴で、既発売の「VR3000 for Gaming」。その兄弟機となるのが「VR2000 for Gaming」となっている。
さらに、DITAブランドのスティック型DACアンプ「Navigator」も試聴可能。DACチップはESS「ES9219」をデュアルで搭載。最大出力は340mW@32Ωのハイパワー設計で、大型ヘッドフォンも余裕でドライブできる。
タイムロード
タイムロードブースで注目を集めているのは、主にアンプなどを手掛けているドイツのレイクピープルが、Seasideというブランドで今後発売予定のヘッドフォン。
実は、ULTRASONEの元社長であるマイケル・ジルケル氏が、転職して現在は同社の役員となっており、彼が手掛けたヘッドフォンがこの新製品。名称は「Aruna」。
ラインナップとしては、トップエンドの平面駆動型がこのArunaで、その下位モデルとなるミドルクラスの通常ダイナミック型も同時期に発売予定。
Arunaは76×97mmの楕円振動板を、N50のネオジウムマグネット磁気回路でドライブ。ダイナミック型は、40mmゴールド蒸着振動板を使っているという。
いずれも開発に2年を費やしたという力作。ミニXLRでリケーブルにも対応する。価格や発売日はまだ未定だが、展示された試作機の音は最終段階に近いとのこと。
エミライ
FiiOのコーナーでは、先週の「ポタフェス 2023」でも展示されていたが、開放型ヘッドフォン「FT3」と、その上位モデルとして登場する「FT5」が注目を集めている。90mm径、1.5μm厚の大型ダイヤフラムを採用した平面駆動型ドライバーを備えており、発売時期、価格はともに未定。
デスクトップに設置できるサイズのオーディオストリーマー「R7」や、ヘッドフォンアンプの「K7 Red」、「K9」、「K9ProESS」なども体験可能。
さらに、Ferrum Audioからは、登場したばかりのDAC兼プリアンプ「WANDLA」を筆頭に、ヘッドフォンアンプの「OOR」、DCパワーサプライの「HYPSOS」など、ハイクオリティなデスクトップオーディオを体験できる。
ブライトーン
ブライトーンのブースでは、ZMF headphonesの発売したばかりの新ヘッドフォンを紹介。平面ドライバーの「Caldera」と、Atriumのクローズド型となる「Atrium Closed」。価格は「Caldera STD」が649,000円、「Atrium Closed STD」が462,000円。
Calderaは、特殊な平面ドライバーと非対称磁石構造、特許出願中のアトリウムダンピングシステム、特殊ヘッドフォンパットなどを採用。ZMF初の平面ドライバーヘッドフォンとなる。
Atrium Closedは、バイオセルロースドライバーのAtriumを、クローズド型にしたもの。
#オトモノ
オーディオ評論家の野村ケンジ氏と、ユーザーと一緒に音にこだわったものづくりに挑戦していくコミュニティ「#オトモノ」を運営するベタベタもブースを出展。
ジルコニア(セラミック)に10mm径の平面駆動ドライバーを搭載させた「The 韻(in)」という新イヤフォンを参考展示。インピーダンスは16Ω±15%、出力音圧レベルは92±3dB @ 1kHz。ケーブル長は1.4m。3.5mmジャックで、MMCXによる着脱も可能。近日中にクラウドファンディングのプロジェクトをスタート予定。
ナイコム
日本初公開の新製品として、Kiwi Earsブランドの「Dolce」(予想価格3,700円前後)と、「Quartet」(同24,000円前後)を参考出品。
Dolceは、10mmLDP(LDPE+LCP)振動板のダイナミックドライバーを採用。液晶ポリマー (LCP)と同様の方法で低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムを架橋結晶化することで開発された革新的な複合ドライバーだという。
Quartetは、ダイナミック型×2 + BA×2のハイブリッドイヤフォン。ダイナミック型はダブル10mmチタン振動板。これに、カスタム中高域BA、カスタム超高域BAを組み合わせている。
デッラルテ
2018年に情熱的なエンジニアによって設立されたという、タイのブランド センス・イヤーズ。アーティストなどにも愛用されているという同ブランドのイヤフォンが、イベントに登場した。
技術的な特徴は3つ。
「Flowwave」(フォローウェーブ)は、3Dプリントされたドライバーハウジング技術で、最適な空気の流れを確保するためにCFDシミュレーションで設計。正確で没入感のある音声出力を実現するという。
「CFD(Computational Fluid Dynamics)数値流体力学」は、イヤフォン内部の空気の流れや圧力分布、音響特性などを予測するもので、音質だけでなく、装着感などの向上にも寄与。
さらに、3Dスキャン、3Dデジタルモデリング、3Dプリントなどの先進技術を活用し正確で精密な製造を実現。エラーを減らし完璧なフィットを確保することで、快適なイヤフォンを作れるという。
「ZENO」(ゼノ)は、センス・イヤーズで最も人気のあるというモデル「非常に明確でクリアに音楽の詳細を提供する。ボーカルに焦点を当て、楽器の詳細なディテールをうまく分離する。ベースの低域の響きは十分且つ適度で、ステージ上でモニターとしての非常に優れている」とのこと。販売予定価格は45,000円(税別)。
「THIRD」サードはアップグレードモデルと位置づけられており、フラットなサウンドスタイルを維持。「各帯域が同じですが、高音ドライバーが追加され、詳細が向上。これにより、より多くの次元が追加され、立体感が増え、ディテールがより明確になり、透明感のある雰囲気に仕上がった」という。販売予定価格は63,900円(税別)。
「STATE 3」(ステイトスリー)は、Nシリーズの最高峰モデル。周波数を低・中・高に分けた3ウェイクロスオーバーを搭載。ZENOの延長線上に中低域を加えたモデルとも言え、楽器の分離向上、よりインパクトのある音になっているとのこと。
「Saint5」(セイント5)は、ブランド最上位モデルで、4つのBAと、10mmダイナミックドライバーで構成。5つのハイブリッドドライバー構成となる。スイッチを使って、サウンドの調整も可能なSAINT5 SHIFTER(セイント5シフター)を採用する。価格は118,000円(税別)。