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米Meta、可変焦点と“次世代パススルー”のプロトタイプHMD

Metaが発表したHMDプロトタイプ2種

米MetaはReality Labs Researchが研究開発を進めているヘッドマウントディスプレイ(HMD)のプロトタイプとして、可変焦点技術を搭載したコードネーム「Butterscotch Varifocal」と、パススルーを根本的に見直すというコードネーム「Flamera」を公開した。これらプロトタイプは現地時間8月6日~10日にアメリカ・ロサンゼルスで行なわれるSIGGRAPH 2023でデモが予定されている。

「Butterscotch Varifocal」

Butterscotch Varifocalは、Metaが2015年から研究開発を進めてる可変焦点技術と、人の目に近い高解像度(retinal resolution)のVRディスプレイ技術を組み合わせたもの。ディスプレイは、市場に流通しているLCDパネルを活用しつつ、視野角を既存のMeta Quest2の90度以上から50度まで制限することで、超高解像度を実現している。

現在のHMDは目から1mほど離れたものは鮮明に見える一方で、それ以上顔に近づけようとすると、ほとんどの人は焦点を合わせることができないという。VRの開発者はこの現象を考慮した設計を行なっているが、例えば業務でVRを使用している場合に、仮想スクリーン上のテキストを読む必要がある場合、あるいは表示されている物体を細部まで観察したい場合には、より近い距離でも鮮明な映像を映す必要があり、この問題を解決するのが可変焦点技術となる。

プロトタイプでは、アイトラッキング技術を活用し、ユーザーが見ている場所に合わせてディスプレイを目に近づけたり、離したりすることで焦点距離を調整。超高解像度のディスプレイと組み合わせることで、どんな距離でも肉眼で見ているのと変わらない鮮明でクリアな映像を得られるという。

「Flamera」

もうひとつのプロトタイプであるFlameraでは、HMD前面に無数のカメラを設置。さらにレンズの後ろに“絞り”機能も加えることで、高解像度なパススルーを実現する。

パススルー機能自体は、Metaが発売しているQuest Proや発売予定のQuest 3などでも利用可能だが、パススルー用カメラはHMDに埋め込まれているため、人間の目よりも前に配置されているためカメラで撮影した映像と、HMDを外した状態の視界には違いが生まれてしまう。撮影した映像に処理を加えることで“正しい視界”にすることはできるものの、別の視覚的問題を引き起こす可能性もあるという。

Flameraでは、レンズアレイとセンサーの間に“絞り”を加えることで、不要な光をブロックし、必要な光だけを取り込むことで、より高解像度で歪みの少ないパススルーを実現している。上述のとおり、レンズの位置と目の距離が近いこと、つまりヘッドセットが薄いことが重要となるため、Flameraは新規に設計したとのこと。