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ゼンハイザー、幅約70cmでAtmos対応の7.1.4chサウンドバー
2023年8月31日 07:00
Sonova Consumer Hearing Japanは、ゼンハイザーより、幅約70cmのコンパクトサイズながら、単体で7.1.4chを実現したサウンドバー「AMBEO Soundbar | Mini」を、9月14日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は132,000円前後。トップスピーカーは非搭載だが、独自の立体音響技術を使って上方向の音を再現し、Dolby Atmosにも対応している。
ゼンハイザーとドイツの研究機関であるフラウンホーファーが共同開発した独自アルゴリズムを使った立体音響「AMBEO」を採用したサウンドバーで、発売中のAMBEO Soundbarシリーズとしてはもっともコンパクトなモデルとなる。外形寸法は約70×10×6.5cm(幅×奥行き×高さ)で、「50型くらいまで」のテレビに最適という。
自社開発のドライバーを合計6基搭載。構成は4インチのロングスローウーファー×2、1.6インチのセルロースコーンフルレンジ×4で、フルレンジドライバーはフロントとサイドに2基ずつ搭載する。ハイトスピーカーは非搭載だが、上述のAMBEOテクノロジーにより、トップ方向の音響効果をバーチャルで再現する。6chの出力を持つ250WのD級アンプも搭載した。
本体のサイズやフォルムを含めて正確な高域が再現できるよう設計されているため高域用のツイーターは非搭載。ロングスローウーファーは2基のみで43Hzまでの低域再生ができる。ウーファーは上方向に配置されているため、本体の高さを抑えつつ、低域の再現性を両立している。コンパクトな筐体ながら、各ドライバーに専用のチャンバーも用意した。
また発売済みのワイヤレスサブウーファー「AMBEO Sub」と組み合わせることも可能。最大4台のAMBEO Subとペアリングできる。
本体に内蔵した4基のマイクを使って、サウンドバー単体でルームキャリブレーションが可能。音の反射に重要な壁との距離を正確に測定し、音を吸収するカーテンの場所や家具の位置なども把握して、部屋全体の空間を認識する。
バーチャルサウンド技術により、元のコンテンツがステレオや5.1chでも3Dサウンドにアップミックスできるほか、視聴コンテンツにあわせて自動で音質を最適化することもできる。AMBEO独自のアルゴリズムが再生コンテンツにあわせ、サウンドを音楽、映画、ニュース、ニュートラル、スポーツのジャンルから自動で調整する。
そのほかナイトモードやボイスエンハンスメントモードも利用可能。AMBEOのバーチャルサウンドのレベルもライト、スタンダード、ブーストの3段階から、自分の好みや気分にあわせて変更できる。
Dolby Atmosと、DTS:X、MPEG-H、360 Reality Audioと、最先端のオブジェクトベースコーデックに対応。TIDAL ConnectやSpotify Connect、Chromecast built-in、AirPlay 2も利用できる。そのほか、Google Home、Apple Homekit、Amazon Alexaなどとも連携可能。
入力はeARC対応のHDMI 2.1。Bluetooth 5.0も利用でき、コーデックはSBCとAACをサポートする。Wi-Fiも利用可能。アプリ「Smart Control」からイコライザーなどを使って、好みの音質に調整することもできる。
オプションで壁掛け金具(SB02-WM)も用意し、壁掛けもできる。重さは約3.3kg。リモコンやHDMIケーブル、電源ケーブルなどが付属する。
音を聴いてみた
実機を目の前にすると、やはりそのコンパクトさが特徴的。上位モデルのAMBEO Soundbar | Plusは幅約102cm、重さ約6.3kgで成人男性でも持ち運ぶのに少し苦労するサイズ感で、日本の住環境にはマッチしているとは言いにくかったが、このAMBEO Soundbar | Miniは幅約70cmで、気軽に設置しやすい大きさになった。また重さも約3.3kgなので、成人男性であれば片手でも持ち上げられる。
1台のAMBEO Subと組み合わせた状態で、音を聴いてみた。試聴したのはDolby Atmosデモコンテンツで、頭上から降り注ぐ音の表現が特に印象的だった。AMBEO Soundbar | Miniはハイトスピーカー非搭載で、上方向の音源はバーチャルで再現しているが、例えば森の中を移動していく映像では、さまざまな鳥のさえずりや虫の鳴き声が、頭の上から降り注いでくるような感覚を味わえた。
またヘリコプターの飛行音についても、機体が前方から近づいてきて、後方に抜けていく様子を耳だけで感じることができた。ただ、ハイトスピーカーも備える上位モデル「AMBEO Soundbar | Plus」などと比べると、耳より後ろ方向の移動感や音の表現力はすこし抑えめに感じられた。
AMBEO Subと組み合わせた状態だったため、サウンドバー単体での低域については体験できなかったものの、映画「ブレードランナー2049」のワンシーンでは、身体の芯に響くような「ブオーン」という不気味な低音が響き渡るなか、激しく降っている雨粒が水たまりに跳ね返る音もしっかり再生されていた。
そのほか音楽なども試聴してみると、ボーカルも明瞭でこもるような音ではなく、音楽をゆったり楽しむスピーカーとしても活用できそうだ。
スペックだけで見ると、実売13.2万円前後ながらハイトスピーカー非搭載というところがネックに感じられるが、実際に音を聴いてみると、AMBEOテクノロジーによる立体音響表現、自社開発のドライバー性能などもあり、十分なサラウンド感を味わえた。