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STAXから小型円形の“静電型新世代エントリー”。finalから「D7000」

STAXのイヤースピーカー「SR-X1(仮)」

フジヤエービックによるイベント「冬のヘッドフォン祭 mini 2024」が10日、東京・丸の内のステーションコンファレンス東京で開催。STAXのブースでは、静電型イヤースピーカーの、新世代エントリー機と位置づけられている「SR-X1(仮)」の試聴に、多くの人が集まっている。価格は未定。

伝統の小型円形イヤースピーカーを現代の設計思想で再構築したというモデルで、歴代のイヤースピーカー「SR-1」「SR-X」をモチーフとしたヘリテージデザインを採用。フラットかつニュートラルな再現性を持つ新設計ユニットを搭載しており、機構面ではリケーブル構造を採用する。

刷新されたアークデザインとフィット感を高めるフレーム構造に、金属素材を使うことで、不要共振を抑制。耐久性も高めている。イヤーパッドは肌触りの良いシープスキン(羊皮)。組み合わせる専用ドライバーユニット「SRM-270S」も展示。SR-X1とSRM-270Sを組み合わせることで、静電型入門の「SRS-X1000(仮)」が構築できる。

SRM-270Sは、RCAピンジャックの高品位化、3mm厚フロントアルミパネルの採用、サイズアップし放熱効果を高めたアルミ押し出しケースなどが特徴。近年のドライバー・ユニット開発の流れを汲む最新の設計ノウハウをコンパクトな筐体に凝縮している。

ESOTERICがヘッドホン祭初出展

ESOTERICブランドがヘッドホン祭に初登場

TEAC/ESOTERICブースでは、ESOTERICブランドがヘッドホン祭に初登場。「ネットワーク/DAC・プリ」でありつつ、高音質なヘッドフォンアンプも備えたESOTERIC初の複合機「N-05XD」や、伝統の「VRDS-ATLAS」や、独自の「Master Sound Discrete DAC」を搭載したSACDプレーヤー「K-05XD」などを聴くことができる。

さらにTEACブランドからはヘッドフォンアンプ兼プリアンプ「HA-507」を参考出品。12年ぶりの純アナログアンプであり、ヘッドフォンアンプとしてはAB級のパワーアンプを採用する。

上段がTEACのヘッドフォンアンプ兼プリアンプ「HA-507」

入力はXLRバランス2系統、RCAアンバランス2系統を装備。プリアウトはXLR、RCAを各1系統備える。同社のパワーアンプであるAP-505と組み合わせて、セパレートアンプを構築できる。

ヘッドフォン出力としては、4ピンXLR、4.4mmバランス、3.5mm、6.3mmアンバランスも備えている。ゲイン切り替えも3段階から可能。内部は前段フルバランス、デュアルモノラル構成になっており、チャンネルセパレーションにこだわった作りになっている。

発売時期や価格は未定だが、夏頃に20~30万円での発売をイメージしているという。

「HA-507」の背面

final

フラッグシップヘッドフォン「D7000」

finalブースの目玉は、Dシリーズの新しいフラッグシップヘッドフォン「D7000」。2月29日発売で、直販価格は398,000円。

新設計の「ピナ アライン ディフューザー」や、高効率な「AFDS:エアフィルムダンピングシステム(AFDS)」を搭載したドライバーの開発を経て誕生し、「D8000、D8000 Pro Editionに並ぶ新しいフラッグシップ」と位置付けている。

ダイナミックレンジの広い「クラシック音楽」などの聴取を得意としていたD8000に対し、D8000 Pro Editionはダイナミックレンジの狭い「POPS」や「ロック」などを聴取する際に、より解像感がある音質としていたが、D7000はそのちょうど中間に位置するようなイメージとのこと。

新開発のピナ アライン ディフューザーは、プロのレコーディングスタジオで活用されている拡散(ディフューズ)による音響調整の考え方をヘッドフォンに投入。D8000の開発初期にディフューザーを搭載するというアイデアがあったが、ヘッドフォンのハウジング内部という特殊な条件において適切なものを開発するのには長い時間が必要だったという。

測定器による理想的な条件下での測定では良い結果が出る一方、実際の耳で聞くと、外耳の形が人によって異なるため、音質に大きな差が生じた。この問題を解決するために、さまざまな外耳の形状に合わせたシミュレーションと実際の聴感実験を繰り返し行ない、最終的にどのユーザーにも最適なディフューザーの形状に辿り着いたという。

ピナ アライン ディフューザーは複雑な形状をしている。左右で形が異なっているのにも注目

ミックスウェーブ

ミックスウェーブのブースでは、Campfire Audioの新イヤフォンである「Black Star」や「 Trifecta Special Collection」を紹介しているほか、今後発売予定のHibyのDAPも紹介している。

Hiby MusicブランドのDAP「R8 II」は、3月初旬に発売予定。国内予想価格は356,800円前後。

Hiby MusicブランドのDAP「R8 II」
専用ケースも

新ブランド・HiBy Digital初のDAPとして開発されているのが「M300」。価格を抑えつつ、スピーカーやマイクも内蔵するなど、様々な用途に使えるDAPとしており、2月中旬に発売予定。国内予想価格は29,800円前後。

底部にスピーカー、上部にマイクを備え、マルチな使い方ができるDAP

HiByからはイヤフォン「Project Ace」も参考展示。HiBy MusicとFAudioのコラボイヤフォンとなっており、発売時期は未定。予想価格は39,800円前後。ダイナミック型ドライバーをシングルで搭載する。

Project Ace

Beat Audioからは、発売日・価格未定の新ケーブル「Arabica」がお披露目。

「Emerald MKIII」は2月~3月頃に発売予定で、予想価格は4wireが94,800円前後、8wireが136,900円前後。「Signal MKIII」も2月~3月発売予定。予想価格は4wireが72,000円前後、8wireが104,800円前後。

Arabica
「Emerald MKIII」と「Signal MKIII」

ピクセル

ピクセルのブースでは、使い勝手の良いポータブルオーディオ向けアクセサリーが2モデル登場。

DAC POCKETにUSB DACを入れたところ

「DAC POCKET(ダック・ポケット)」はその名の通り、小さなUSB DACを手軽・便利に持ち運ぶためのアクセサリー。Magsafeやそれに準拠したマグネットリングに対応し、スマホの背面に固定でき、バンドでUSB DACをホールドしてくれる。USB DACが抜け落ちないように、底部に盛り上がりを作っているなど、使い勝手にこだわっている。素材には、イタリア製の高級PUレザーを使っている。

Magsafeやそれに準拠したマグネットリングに、DAC POCKETごと固定できる
USB DACが抜け落ちないように、底部に盛り上がりがある

「JUKEBOX(ジュークボックス)」は、精密な有線イヤフォンを収納するだけでなく、永く使用するためのケース。蓋の裏に湿度調整・耐衝撃・抗菌機能を備えたACSシートを使っており、ケース内を常に最適な湿度に保つとともに抗菌・消臭機能によってイヤフォンを清潔に保管できるという。

JUKEBOX

独自のクッションと、中央の三角形シリコン構造でイヤフォンを適度にホールドしながら外部からの衝撃を吸収。三角形シリコン構造の裏に、シリカゲルなどを入れることもできる。

蓋の裏に湿度調整・耐衝撃・抗菌機能を備えたACSシート

蓋の表面にはイタリア製の高級PUレザーを採用。参考出品として、アルカンターラを配したモデルも展示している。

傾斜がついているのが特徴だが、2つをこのように重ねるとコンパクトに持ち運べる

FOSTEX

フォステクスのブースでは、創立50周年記念モデルとして10日に発売したばかりのヘッドフォン「TH808」を展示。価格はオープンプライスで、直販価格は187,000円。

TH808

オープン型ヘッドフォン「TH909」をベースに開発されたプレミアムヘッドフォン。高級木材の黒胡桃無垢材から削り出したハウジングに、独自技術のバイオダイナ振動板ドライバーユニットを搭載。さらにアルミニウム製エッチングパーツを統合したオープンデザインをベースに、緻密な音響チューニングで纏め上げたという。国内工場にて1台1台丁寧に組み上げている。

ドライバーユニットは50mm径ダイナミック型。振動板にバイオセルロース繊維と他の繊維などを最適条件で配合し、低比重・高ヤング率・高内部損失を実現した。

ネオジウムマグネットの反発磁気回路を採用した、磁束密度1.5テスラの低歪率で超強力な磁気回路とフリーエッジの良好な直線性により、全帯域での優れた応答性と広大なダイナミックレンジを実現。繊細で解像度の高い美しい中高域再生に加え、振幅の大きい低中音域を忠実に再現するという。

ハウジングには、オープン型の開口部に光の加減や角度によって印象が変わるアルミニウム製エッチングパーツを二重に配したデザインを採用。開口率と各内部パーツの綿密な微調整と黒胡桃無垢材の響きが相まって、心地良く聴き疲れしにくい自然な音場を再現するとしている。

TH808

その他の展示

Dan Clark Audioからは新モデル「E3」が登場。3月上旬頃に、33万円前後での発売をイメージしている。Ether C Flowの後継と位置づけられており、ハウジングは密閉型。ハウジングには2つのポートを備え、中低域をコントロール。AMTSも搭載しているほか、第5世代に進化したv Planarドライバーを搭載する。

Dan Clark Audio「E3」
Meze Audioの最高峰モデルがさらに進化した開放型の平面磁界駆動型ヘッドフォン「Empyrean II」
ディーアンドエムホールディングスもブースを出展。Bowers & Wilkinsのコーナーでは、ヘッドフォンとイヤフォンの現行の全モデル、全色を用意。プレミアム・ワイヤレスヘッドフォン「Px7 S2e」、既存のブラック、タンに新色のロイヤル・バーガンディが加わったラグジュアリーなハイエンド・ワイヤレスヘッドフォン「Px8」も試せる。デノンのブースでは、医療技術を応用した全自動パーソナライズ機能が話題の「Denon PerLシリーズ」も体験可能