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ベゼルを震わせて音を出す、最高峰4KミニLED液晶ブラビア「X95L」

85型「XRJ-85X95L」

ソニーは、ミニLEDバックライトと量子ドット技術を使ったフラッグシップ4K液晶ブラビア「X95L」シリーズを、5月20日に発売する。サイズは、65型、75型、85型の3種類。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は39.6万円前後(65型)から。

4K液晶ブラビア「X90L」シリーズ
・85型「XRJ-85X95L」 約990,000円 5月20日発売
・75型「XRJ-75X95L」 約715,000円 同上
・65型「XRJ-65X95L」 約473,000円 同上

2022年に発売した、ソニー初のミニLED×量子ドット搭載4K液晶「X95K」シリーズの後継。最新世代のXRプロセッサの搭載やピーク輝度最大30%アップ(前モデル比)の高コントラスト化のほか、国内モデル初導入となる新しいツイーターシステムを搭載するなど、画質・音質性能を大幅にアップデートした。

75型「XRJ-75X95L」

同時発表のXRプロセッサ搭載4K有機EL「A80L」、直下型LEDバックライト搭載の4K液晶「X90L/X85L」、エントリー4K液晶「X80L/X75WL」シリーズは、別記事を参照のこと。

ピーク輝度最大30%、分割数20%アップ。より有機ELライクな映像に

65・75・85型共に、4K/3,840×2,160ドットの倍速液晶パネルを採用。光源には、微細な青色LEDを全面に敷き詰め、高精度に部分制御させるミニLEDバックライトシステムを引き続き導入。色変換効率に優れ、純度の高い波長が得られる量子ドットシートとの組み合わせにより、高コントラストかつ広色域な映像表示を可能とした。

“暗部の電流を明部に集中させ明るさを高める機能”の効果の高さと、その精度を表した独自のコントラスト基準「XR コントラスト ブースター」の数値は、前モデルの“15”から“20”へアップ。ピーク輝度も最大30%向上した。

今回のコントラスト進化に関し、ソニーに質問したところ、「コントラスト性能に関連する液晶パネル表面とLED間の距離の調整やパネルのネイティブコントラストの改善に加え、ミニLEDバックライトの分割数が従来モデル(X95Kシリーズ)から最大20%アップしました。さらにバックライトの分割形状も『XR バックライト マスタードライブ』のアルゴリズムの特性に合わせ、より画質をコントロールしやすい形状に変更しています。アルゴリズムを熟知した我々だから出来るハードウェア面での改善と、バックライト駆動制御のチューニングにより、更なる高コントラスト化を実現。有機ELに近い映像をお楽しみいただけるようになりました」とのことだった。

85型「XRJ-85X95L」

映像エンジンは、第3世代へと進化した認知特性プロセッサー「XR」。

2022年の第2世代では、新しいから―アルゴリズムによる色域拡大と、奥行き情報に基づいた前景・後景の映像処理が追加されたが、今期は「XRクリアイメージ」が追加。コンテンツ毎の解像度やエンコード情報、ビットレートといった特性をこれまで以上に細かく分類・認識できるようになったことで、映像毎の処理を最適化。放送波を含むあらゆるコンテンツにおいてノイズや動きブレが抑制され、より精細感のある映像が楽しめるようにした。

独自の光学設計により、視野角性能を大幅に改善する「エックス ワイド アングル」を全サイズに搭載。一般的な液晶テレビはバックライトの光を真っ直ぐに透過させるが、同技術を使う事により、光が左右に拡散。高コントラストと広視野角が両立でき、斜めから観た場合でも、正面と同等の高画質を実現。また独自の低反射コート「エックス アンチリフレクション」と組みわせることで、外光の反射を抑えることで引き締まった黒を表現しながら、艶やかで豊かな発色の表示を可能にした。

広色域化技術「XR トリルミナス プロ」や超解像「XR 4Kアップスケーリング」、コマ補間「XR モーション クラリティ―」も引き続き搭載。HDR10、HLG、Dolby VisionのHDR規格もサポートする。

視野角性能を改善する「エックス ワイド アングル」を採用。表面にはARコートも

1万回/秒叩いてフレームを震わせる「フレームツイーター」搭載

サウンドシステムが「アコースティック マルチ オーディオ プラス」へと進化したのも、X95Lの特徴。

前モデルX95Kでは、サブウーファーのステレオ化やサウンドポジショニングツイーターの大型化により、音の拡がりや臨場感向上を図ったが、新モデルではツイーターそのものを刷新。海外モデルの8Kブラビア(2021年モデル「Z9J」、'22年モデル「Z9K」)で先行投入していた“フレームツイーター”を国内初導入することで、高音域部分の音質改善を目指した。

仕組みとしては、画面上部、両サイドに画面と並行して搭載したツイーターが、1秒間に1万回フレームを叩き、フレームそのものを震わせて高音域の音を創出するもの。従来ツイーターに比べ音が回り込まず、よりクリアで広がり感の大きいサウンドに仕上がったという。

フレームツイータ-
写真のように、ツイーターが液晶パネルと“並行”に搭載されており、内側から外側に向かって横のフレームを“叩く”仕組み。実際にフレーム部分を触ったが「振動が細かいため」、震えている感じはない

実用最大出力は60Wで、ミッドレンジ、ツイーター、サブーファーがそれぞれ2基の6スピーカー構成(2.2ch)。

ソニーのサウンドバーなどと接続した時に、テレビスピーカーをセンタースピーカーにする「アコースティックセンターシンク」、Atmos以外のコンテンツでも左右・高さ方向の3次元立体音響を生成する「3Dサラウンドアップスケーリング」などにも対応。Dolby Atmosもサポートする。

ベゼル部分

ゲーム専用UI搭載。BRAVIA COREはAtmos対応に

ゲーム専用のユーザーインタフェース「ゲームメニュー」を新搭載。PlayStation 5などのゲーム信号を検知すると、ゲームのステータスや設定などのアシスト機能を集約したメニューが表示できる。

画面を小さくして表示できる「画面サイズ調整」、シューティングゲームで活用できる中心点表示「クロスヘア」、暗部を持ち上げて視認性を高める「ブラックイコライザー」、プレイ画面のちらつきやカクツキを抑える「VRR」などを用意する。画面サイズ調整は、後日ソフトウェアアップデートでの対応。

ゲームメニュー

ソニー・ピクチャーズなどの映画コンテンツを高ビットレートで楽しめる、独自の動画配信サービス「BRAVIA CORE」をサポート。X95Lを購入すると、BRAVIA COREで使用できる有効期間24カ月の10クレジットが配布される。

新たにBRAVIA COREがDolby Atmosをサポート。順次Atmos対応コンテンツが拡充される。なお、BRAVIA COREの“IMAX enhanced”コンテンツは従来dts音声だったが、Atmos音声の提供開始後も、ホーム画面の設定や音声切り替えにより2つの音声が楽しめる見込み。

標準設置の場合
X95Lのスタンド

搭載チューナーは、BS4K/110度CS 4K×3、地上/BS/110度CS×3。別売の外付けHDDを接続すれば、2番組の同時録画も可能。放送視聴中の裏番組録画や2番組同時録画が行なえる。

OSは「Google TV」。独自のBRAVIA COREほか、NetflixやPrime Video、Hulu、Disney+、TVer、ABEMA、U-NEXT、Apple TV、YouTube、DAZNなどの各種映像配信サービスが楽しめる。Bluetooth式リモコンには「U-NEXT」「Netflix」「Hulu」「Prime Video」「ABEMA」「Disney+」「YouTube」の7つのダイレクトボタンを用意する。

リモコン

無線LANは、IEEE802.11ac/a/b/g/n。Googleアシスタント、ハンズフリー音声検索、Chromecast built-in、Apple AirPlay 2ほか、ホームネットワーク機能(DLNAクライアント)も備える。

ECOモードや省電力設定など、“エコ”に関連する設定を一カ所に集約した「ECOメニュー」を新採用。設定内容によって、ECOメニュー内の木のグラフィックが変化する仕組みになっていて、環境光センサーや無操作電源オフなど、より“エコな設定”にすると木の葉の大きさが変化するという。

LINE連携機能の「ブラビアみまもり」も引き続き搭載。留守番中の子どものテレビの使用状況をLINEで確認したり、メッセージの送信、視聴の制限を行なうことができる。

X95Lの背面

HDMI入力は4系統で、入力3・4がHDMI 2.1をサポート。4K120p入力や可変リフレッシュレートのVRR、自動低遅延モードのALLMに対応する。eARCは入力3のみ可能。PS5連携機能のオートHDRトーンマッピング、コンテンツ連動画質モードにも対応。4K120p入力時のフル解像度表示も行なえる。

HDMI以外の端子として、ビデオ入力(4極ミニ)、光デジタル音声出力、センタースピーカー入力、ヘッドフォン出力、USB、LANを備える。

スタンドは外側/内側/サウンドバースタイル(ハイポジション)の3パターンを選ぶことができる。

サウンドバースタイル時
スタンド内側時

消費電力と年間消費電力、外形寸法、重量は以下の通り。

【消費電力と年間消費電力】
・XRJ-85X95L:537W 313kWh/年
・XRJ-75X95L:459W 228kWh/年
・XRJ-65X95L:376W 219kWh/年

【スタンドを含めた外形寸法と重量】
・XRJ-85X95L:188.8×44.8×109.6cm/標準時(幅×奥行き×高さ)
        188.8×44.8×110.9cm/スタンド内側時(同)
        188.8×44.8×115.7cm/サウンドバースタイル(同) 53.8kg
・XRJ-75X95L:166.7×38.8×97.1cm/標準時(同)
        166.7×38.8×98.4cm/スタンド内側時(同)
        166.7×38.8×103.2cm/サウンドバースタイル(同) 44.1kg
・XRJ-65X95L:144.3×34.1×84.6cm/標準時(同)
        144.3×34.1×85.8cm/スタンド内側時(同)
        144.3×34.1×90.7cm/サウンドバースタイル(同) 33.7kg