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NHKスペシャル「量子もつれ」今夜22時。量子コンピュータやテレポーテーションも可能に!?

量子もつれ イメージ

NHKは、かつてアインシュタインが「オカルトだ」と否定した人類最大の謎、“量子もつれ”の世界を伝えるNHKスペシャル「量子もつれ アインシュタイン 最後の謎」を、今日(12月28日)22時から総合テレビで放送する。時間は23時15分まで。ナレーションは春風亭一之輔と、この番組がナレーション初挑戦の宇多田ヒカル。

番組情報

NHKスペシャル「量子もつれ アインシュタイン 最後の謎」
総合 12月28日(土) 22時~23時15分
※NHKプラスでの同時・見逃し配信あり

NHKスペシャル「神の数式」(2013)など、難解な物理や数学の世界を映像化してきた制作スタッフらによる科学ドキュメンタリー。彼らが「長年温めてきた」という“量子もつれ”をテーマに、その存在の証明に挑んだ科学者たちのドラマを織り交ぜながら、目に見えない不思議な世界を紐解いてゆく――。

ジョン・ベルと不等式
(C)2014-2016 CERN
量子もつれと宇宙イメージ

量子もつれとは、あらゆる物質の最小単位である“量子”(原子や電子、一部の分子などを含むミクロの粒)と量子が、理由もなく100%シンクロしてしまう奇妙な現象のこと。この現象は、どれだけ量子が離れていても、仮に互いが宇宙の果てと果てほど離れていたとしても、まるでテレパシーでやり取りしているかのように、まったく同じ振る舞いをする。

このため、アインシュタインは「この自然界に『テレパシー』があるなんて、私は一瞬たりとも信じられない」と話すなど、多くの科学者が理論や存在を長年否定してきた。

アインシュタイン
Getty Images

番組では、量子もつれの存在を証明したノーベル賞受賞の天才たちを取材。さらに「オカルト」「無意味な研究」と学会から嘲笑されながらも信念を通し証明の研究に挑んだ科学者らの軌跡と、概念が難解な量子もつれの世界を最新のCGを駆使して映像化。「量子暗号」や「量子コンピューター」、「量子テレポーテーション」、「光量子コンピューター」など、量子もつれの応用によって今後登場が期待される未来の技術も取り上げる。

2022年にノーベル物理学賞を受賞したジョン・クラウザー氏
ノーベル物理学賞 アラン・アスペ氏
ノーベル物理学賞 アントン・ツァイリンガー氏
光量子コンピューター

番組スタッフによれば、「難解な量子もつれの世界を、どうすればわかりやすく伝えることができるのか?」ということに、最も苦心したのだそう。

番組内では、こども遊びの1つ「だるまさんがころんだ」に加え、量子のふるまいに見立てたキャラクター(ネジリン)が左右の隙間を選ぶ創作遊び「どっちを通るかゲーム」などが登場し、イメージが難しい量子力学の世界を視覚化している。

ネジリン

「こうした“比喩”を考え出してゆく過程、議論に何カ月も費やした。番組で使うワードについても、(観ている方の)混乱の種にならないよう、一つ一つ選んだ」と話す。

「ノーベル賞を受賞した科学者でさえ『(存在は証明できたが)量子もつれを理解できていない』と話すほど、量子もつれは謎に満ちている。いまは量子もつれの存在が分かったというだけで、シンクロの理由も何も分かっていない。テレビ番組は分かったことを伝えるのが基本だけれど、この世の中にはまだわからないことが満ちているし、その分からないことにトライすることの大事さも、この番組を通じて感じてもらえれば」

なお、今回はNHK総合のみの放送となる。BS4Kでの放送や、長尺の完全版については、「今のところ計画していないが、反響次第ではそうゆうこともあるかもしれない。一応、4Kでは作ってある(笑)」とのことだ。