ソニー、低音重視「XBシリーズ」イヤフォンを刷新
-4モデル発売。中高域を改善し、「ROCK/POPSにも」
右から「MDR-XB30EX」、「MDR-XB60EX」、「MDR-XB90EX」 |
ソニーは、重低音再生にこだわったイヤフォン/ヘッドフォン「EXTRA BASS」(XB)シリーズの新モデルとして、カナル型(耳栓型)の4モデルを7月21日に発売する。価格は「MDR-XB30EX」が4,935円、同モデルにマイク付きリモコンを加えたiPhone向け「DR-XB31IP」が6,195円、「MDR-XB60EX」が8,715円、「MDR-XB90EX」が12,390円。
従来のXBシリーズは、クラブサウンドの重低音が好きなユーザーに向けて開発され、重低音に対しての評価は高かったが、「さらに高域が出るようにして欲しい」、「高域にキレが欲しい」といった要望が多かったという。そこで、キレのある中高域もバランスよく再生できるように改良を加え、クラブサウンドだけでなく、ロックやポップスも楽しめ、なおかつ重低音が好きだという人に向けたバランスになっているという。
「MDR-XB30EX」 |
「MDR-XB60EX」 |
「MDR-XB90EX」 |
「密閉型バーティカル・イン・ザ・イヤー」方式 |
いずれのモデルも、ユニットを外耳道に対して垂直に配置する事で、大口径ユニットを採用できる「密閉型バーティカル・イン・ザ・イヤー」方式を採用している。
新モデルに共通する特長として、新開発の「アドバンスド・ダイレクト・バイブ・ストラクチャー」を採用。ドライバーユニットから鼓膜までの機密を高めるために、シーリングを施し、重低音をダイレクトに伝達するというもので、振動板前面の容積が最適化され、重低音の立ち上がりも向上するという。
新開発の「アドバンスド・ダイレクト・バイブ・ストラクチャー」 |
他にも、耳から落ちにくくするために柔らかい突起を設けた「フィッティングアシスト」機構を採用。ケーブルは、表面に細かい溝を多数付けることで、摩擦を低減し、絡まりにくくするセレーションタイプのケーブルになっている。
「フィッティングアシスト」機構 | 表面に細かい溝を多数付けることで、摩擦を低減し、絡まりにくくするセレーションタイプのケーブル |
■各モデルの違い
「XB30EX」のカラーバリエーション。左からブラック、ホワイト、レッド、ブルー |
エントリーモデルの「XB30EX」は、13.5mm径のユニットを採用。筐体はプラスチック製。
上位モデルの「XB60EX」のユニット口径は、XB30EXと同じ13.5mm。異なる点としては、筺体が制振ABS素材になるほか、ダクトを傾斜させる事で、伸びのある高域を実現するというダクト傾斜機構も搭載。これにより、クリアでキレのあるサウンドになるとのこと。
最上位の「XB90EX」では、制振ABSに加え、アルミニウムも筐体に使用。また、ユニットのサイズが16mm径となり、深くスケール感のある重低音再生ができるという。
「XB60EX」のカラーバリエーション。左からブラック、シルバー、ゴールド |
カラーバリエーションや細かい仕様は、下表の通り。
XB30EXをベースにした、マイク付きリモコンモデル「DR-XB31IP」は、iPhone/iPod/iPadに対応したモデル。ハンズフリー通話ができるほか、リモコンから着信/通話、音楽再生/一時停止、曲送り/戻しなどの操作も可能。接続端子は4極L型ステレオミニ。その他の特徴はXB30EXと同じ。
モデル名 | MDR-XB30EX | MDR-XB60EX | MDR-XB90EX |
価格 | 4,935円 | 8,715円 | 12,390円 |
カラーバリエーション | ブラック ホワイト レッド ブルー | ブラック シルバー ゴールド | 1色 |
アドバンスド・ダイレクト・ バイブ・ストラクチャー | ○ | ||
ユニット口径 | 13.5mm | 13.5mm | 16mm |
筐体素材 | プラスチック | 制振ABS | 制振ABS+アルミニウム合金 |
ダクト傾斜 | - | ○ | |
フィッティングアシスト | ○ | ||
セレーションケーブル | ○ | ||
ケーブル長 | Y型1.2m | ||
重量 | 約8g | 約8g | 約9g |
■試聴してみる
短時間ではあるが、試聴できたので印象をお伝えしたい。
エントリーの「XB30EX」で「Kenny Barron Trio」の「Fragile」を聴いてみると、ルーファス・リードのベースが、非常に量感豊かに再生され、頭蓋骨に振動が伝わるような迫力がある。同時に、ピアノの動きも聴きとる事ができる明瞭さはある程度保たれており、予想以上にバランスは良い。ただ、高域に筐体のプラスチックの共鳴音がわずかに乗って、響きに色がついている。
「XB60EX」をつけてみると、筺体が制振ABSになることで、響きのキャラクターが無くなり、よりクリアでナチュラル、抜けの良い中高域が楽しめる。同時に、豊かな低域にも適度な締りがでて、低い音の中の描写もキッチリ描かれているのが見えるようになる。これと比較すると、XB30EXの低域は膨らみがちだ。
「XB60EX」のゴールドモデル | 「EX30EX」のホワイトとブルー | 「EX90EX」 |
「XB90EX」になると、分解能がさらにアップ。中高域、低域ともに描写が細かく、情報量が増加する。ユニットの口径が16mmと最も大きくなるが、低域の迫力という面では、下位モデルからそれほど強くはならない。最低音の沈み込みを深く、中低域の膨らみは適度に抑えたバランスだ。骨太の低域を好むが、膨らんで不明瞭な低域は苦手という人にハマるサウンドだろう。だが、バランスが良くなった事で、「普通の高音質イヤフォン」とも感じられ、良い意味で“ヤンチャ”な重低音を出すXBシリーズの中では、優等生的なモデルと言えそうだ。
(2012年 6月 28日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]