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パナソニック、HDR対応の次世代4K液晶TVを参考展示。Technicsや、画面サイズが変わるTVも
(2015/10/6 13:24)
パナソニックは、10月7日~10日に千葉・幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2015」の展示内容を発表。高輝度表示が可能なHDR対応の4K液晶テレビを参考展示するほか、発売が決まっているUHD Blu-rayレコーダ、テクニクス(Technics)などの製品を、開幕前の6日に報道関係者に披露した。
HDR対応4K液晶テレビを参考出展
4K関連製品では、テレビのVIERAや、DIGAのUltra HD Blu-ray(UHD BD)レコーダ「DMR-UBZ1」などを展示。4Kでの「見る」、「残す」、「撮る」に対応した製品として紹介する。
参考出展として、高輝度/高コントラストのHDR(ハイダイナミックレンジ)映像を忠実に映し出す「HDR対応高輝度次世代テレビ」を用意。65型4K液晶テレビで、現行の4K対応テレビCXシリーズの次の世代に位置づけられており、CXシリーズに比べ高輝度を実現している。なお、9月にドイツで行なわれた「IFA 2015」で披露された有機EL(OLED)テレビ「CZ950」(TX-65CZ950/欧州では10月発売)は、現時点で日本での発売は予定されていないため、CEATECでは展示されていない。
UHD BD製品としては、11月13日に発売するBDレコーダの「DMR-UBZ1」(オープンプライス/店頭予想価格40万円前後)を展示。高解像度なHDR映像の明るさや色の豊かさを体験できる。会場では、フルHD映像を4Kにアップコンバートした映像と、ネイティブ4K/HDR対応のUHD BD映像を並べて展示している。さらに、VIERAで利用できる4K映像配信として、アクトビラ4Kや、YouTube、Netflix、ひかりTVなどの4Kコンテンツも紹介する。
HDMIケーブルでは、“プレミアムハイグレードタイプ”という上位モデルも参考出品。18Gbpsの“世界最高転送速度”に対応するというもので、亜鉛ダイキャスト製プラグ/シールドケースや、銀箔シールドを備え、4K対応テレビやUHD BDプレーヤーと接続した4K映像の伝送に最適化している。
デジカメのLUMIXでは、より滑らかな階調の映像表現を可能にするソフトウェアのV-Log Lを使って、「DMC-GH4」で撮影したシネマ4K動画を紹介。また、秒間30コマ連写で決定的瞬間をとらえられるという「4Kフォト」や、 撮影後にフォーカス位置を変更できる「フォーカスセレクト」などの4K関連機能をブースで体験可能としている。暗いシーンでも手持ち撮影ができる6コントロール手ブレ補正システム「Dual I.S.」なども紹介。そのほか、ビデオカメラ「HC-WX970M」と、ウェアラブルカメラ「HX-A1H」のWi-Fi接続で、可能になる「ワイヤレスワイプ撮り」も体験できる。
Technicsは「OTTAVA SC-C500」やヘッドフォンなど。ターンテーブルも参考展示
'16年1月22日に発売するオールインワンのオーディオシステム「OTTAVA SC-C500」(20万円)を中心に、ハイレゾ対応ヘッドフォン「EAH-T700」(9万円)などを展示。ブランド誕生('65年のテクニクス1)から50周年の節目を迎え、これからの50年を見据えたラインナップを拡充するとしている。試聴ルーム(定員12名で15分置きにデモ)では、C500と、現行モデルのリファレンスクラス「R1」、リファレンスクラス「C700」シリーズのサウンドデモを行なう。
さらに、IFAで披露されたTechnicsアナログターンテーブルの開発試作機もCEATECに参考出展。銘機「SL-1200」などと同様にダイレクトドライブ方式だが、モーター部分のコイルの巻き方を含め、全てを一から見直し、ダイレクトドライブのターンテーブルを再定義するようなモデルと位置付けている。
上記の製品などはホール2の「ライフ&ソサエティ ステージ」で展示。その他、パナソニックはホール6の「キーテクノロジステージ」においてデバイス製品を出展。「HMIソリューション」の一つとしてノブ一体型静電タッチパネルモジュールや、「ネットワークソリューション」のカメラスタビライザー、非接触伝送モジュールなども参考出展する。
画面サイズが変わり、使わないときは隠れるテレビなど
「'18年~'20年の暮らしをイメージした」というコンセプト展示「Better Living Tomorrow」のコーナーでは、キッチン、ダイニング、リビング、ベッドルームの4つの空間を提案。
リビングをイメージした空間では、表示情報に合わせて最適な画面サイズに変わるという「アンビエントディスプレイ」を展示。テレビを観ないときはスピーカー部分だけを使って音楽を聴くのに利用するほか、カーペットの4隅にもスピーカーを内蔵。人がいる場所だけスピーカーを鳴らすことができる。
天井にはプロジェクタを備えており、下のテーブルに向かって様々な映像コンテンツのサムネイルを投写。ユーザーがその中から観たいものを選んでテレビのある方向にスワイプすると、その映像がテレビで観られる。テレビは、下のスタンド部から上へ画面がせり出すようなスタイルで、せり出す長さによって画面サイズが可変。今回の展示ではフル表示すると60型/4Kテレビとして使えるようになっていた。テレビを観るときは、カーペットのスピーカーやサブウーファと合わせて最大6.1chサラウンド再生ができる。
ダイニングルームをイメージしたスペースでは、プロジェクタ機能を持つ照明「スマートダウンライト」でテーブルにのせた皿などに合わせた映像を表示。また、音声認識にも対応し、例えば「昨日の旅行楽しかったよね」などと話すとその時の写真をテーブルに投写。それを手で壁の「透明スクリーン」の方向へスワイプ操作すると、普段は窓として使っている部分がスクリーンに変わり、最大2,750×990mmの大画面で写真などを表示できる。
このほかにも、ベッドルームでは寝ながら天井に投写した映像を見られるプロジェクタなどを使った「快眠プログラム」や、鏡の前に座ると体調のチェックやメイクの方法のレコメンドなどを行なう「インタラクティブミラー」、キッチンでは家電機器がつながることでレシピ提案や調理を楽しむサービスなどを紹介していた。
創業100周年に向け、家電事業の売上2.3兆円へ。TechnicsはBtoBにも展開
6日に行なった記者会見では、パナソニックの本間哲朗常務取締役 アプライアンス社 社長 兼 コンシューマ事業担当がブース内容や今後の家電事業の取り組みを説明。
パナソニックは'18年に創業100周年を迎えるにあたり、家電事業は現在の売上2兆円規模から、'18年に2.3兆円への拡大を図る。施策の一つとして「メイドインジャパンのものづくり」を軸に、訪日外国人の購入によるインバウンド需要に応えるため、旅行者向け製品“ツーリストモデル”の拡大や、アジアの需要を見越したプレミアム市場向け製品の販売拡大を目指す。
4Kテレビに関しては、'15年からさらに拡大を続け、世帯普及率は'15年の約25%から、'20年は約70%まで伸びると予測。東京五輪に向けて、再び“テレビ1,000万台市場”を見据えている。
テクニクス事業推進室長を務めるパナソニック アプライアンス社常務の小川理子役員は、今回試作機を展示しているアナログターンテーブルを、今年度内に発売予定であることを表明。新開発ダイレクトドライブモーターと、同社がBDプレーヤーで培ったドライブの制御技術を組み合わせることで安定した滑らかな回転を実現していることなどを紹介した。
Technicsブランドは、創業100周年の'18年売り上げとして、100億円にチャレンジする方針を示し、女性などにもターゲットを拡大することを説明。これからの50年の取り組みとして、テクニクスの技術的要素をBtoBに応用する予定で、「オーディオが創造する住空間の価値はさらに高まる」とした。