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「オーディオメーカーである前にテクノロジー企業」設立13年目の英iFi audio、デザインと音へのこだわり

iFi audioでグローバルセールスセールス責任者を務めるMiles Roberts氏

エミライは3月18日、取り扱いブランドであるiFi auidoのプレスイベントを開催した。同ブランドのグローバルセールス責任者を務めるMiles Roberts氏がiFi audioの特長を紹介したほか、「日本のオーディオファンは最新技術への理解度も高く、とても重要な市場」だと語った。

エミライの島幸太郎取締役

エミライは、英Abbingdon Holdings Limitedと契約し、2024年7月4日からiFi auidoと、その姉妹ブランド・Silent Power by iFiの製品輸入代理業務を行なっている。同社取締役の島幸太郎氏は「iFi auidoは、先進的な技術を積極的に製品へ採り入れることで知られていますが、取り扱いから半年が経過し、ブランドの本当の価値はオーディオ愛好家的なセンスに目指した最新技術の使いこなしにあると確信しました」とする。

「この使いこなしのアイデアには、リスナーの感動や没入感を満たすというオーディオブランドに必要不可欠な哲学が、必ず組み合わされています。これがiFi auidoをオーディオブランドたらしめている要因だと思っております」

ブランドの系譜
サウスポートのiFi audioオフィス

iFi audioはイギリス・サウスポートに本拠地を構えるブランドで、2012年に同じくイギリスのハイエンドオーディオブランドであるAMR(Abbingdon Music Research)の姉妹ブランドとして誕生。

主に一般ユーザー向けのオーディオ製品を展開しており、日本でも据え置き型USB DAC/ヘッドフォンアンプの「ZEN DAC」や据え置き型ヘッドフォンアンプ「ZEN CAN」、USB DAC内蔵のポータブルヘッドフォンアンプ「Go Bar/GO link」などが販売されている。

Silent Powerブランドの電源アクセサリ「iPower2」と「iPower ELITE」

また2023年にはプロ向けオーディオ製品を扱うブランドとして「iFi studio」を、2024年には業務用オーディオソリューションを提供する「Silent Power」を展開。グラミー賞を受賞しているレコーディング・エンジニア/プロデューサーのジム・アンダーソン氏もiFi studio製品のユーザーだという。

Miles氏はiFi audioの強みとして「製品デザイン」、「革新的な回路設計」、「製造クオリティ・サウンドの高品質さ」「強力なパートナーシップ」と4つの要素を挙げる。

デザインでは、iFi audioの製品を「他社と同じような、ただの黒い箱にはしたくない」といい、フランス出身のチーフデザイナー・Julian氏主導のもと、丸みを帯びた独特な形状の「ZENシリーズ」に代表されるような製品を手掛けている。

上から「ZEN CAN3」、「ZEN Stream」、「ZEN DAC3」

またZENシリーズのデザインも4~5年の間に「アップデートを重ねて、デザインをより洗練した美しいものにしている。アップルが毎年iPhoneのデザインを改良するのと同じようにね」とのこと。

回路設計については、QualcommやXMOSをはじめとするチップセットメーカーと協力。高音質を実現するために回路設計の最適化を徹底し、パーツの選定から基板レイアウトまで、細部にこだわった設計を行なっている。

またiFi audioでは、200名程度のスタッフのうち33%、3人にひとりが研究開発に従事しており、Miles氏は「私たちは自分自身をオーディオメーカーである以前に、テクノロジー企業であると考えている」と説明。

過去10年間でもハードウェア面ではDSD 256やDSD 512、DSD 1024にいち早く対応したほか、ソフトウェア面でもPCM 768kHz/DSD 512のWi-Fiトランスポート、Qualcomm aptX Losslessにも対応。さらに2024年に発売した小型USB DAC「GO bar Kensei(剣聖)」では、JVCケンウッドの高音質化技術「K2HD(K2テクノロジー)」も採用している

製造工程では品質管理を徹底。使用するパーツも、アップルやソニー、Bang & Olufsenなど大手メーカーにもパーツを供給しているプレミアムサプライヤーから供給を受けているという。パートナーシップについては「K2HD」を開発したJVCケンウッドをはじめとする、さまざまなメーカー/ブランドと協力していると紹介した。

最後にMiles氏は、「iFi audioにとって、日本は大きな規模を持つ市場のひとつ。また他国と比べても、日本のオーディオファンは最新技術の理解が極めて早いと感じている。製品展開についても、いくつかの小売店とコミュニケーションを取っている」と明かした。

iFi audioの中核メンバー
「iCAN Phantom」
「iDSD Diablo2」
酒井隆文