東芝、全録サーバー+タブレット「REGZA WORLD」を訴求

-4K/3D TV「55X3」で「新たな映像体験を」


 東芝は3日、6チャンネル/15日分の録画が可能な全録レコーダ/サーバーの「REGZAブルーレイ」上位機「レグザサーバー」2機種や、4K/2Kパネルを採用し、裸眼3D視聴にも対応した液晶テレビ「REGZA 55X3」、薄型でDTCP-IPに対応した10/7型の「レグザタブレット」などを発表した。4日から幕張メッセで開幕するCEATEC JAPAN 2011に出展する。

 各製品は別記事で詳しく紹介しているため、ここでは主に発表会の模様についてレポートする。

【各製品の詳報】

レグザサーバー55X3レコーダタブレット


DBR-M190と55X3DBR-M190

 レグザサーバーは、タイムシフトマシン用のHDD 4TBと通常録画用HDD 1TBの合計5TBのHDDを内蔵した上位モデル「DBR-M190」と、2TB/500GB HDD(合計2.5TB)の「DBR-M180」の2モデルを用意。CELL REGZAやREGZA ZG2シリーズなどのテレビに搭載していた多チャンネル録画機能「タイムシフトマシン」を単体のレコーダとして実現したほか、録画番組のDTCP-IP配信サーバー機能を搭載したレコーダ/サーバー。

 タイムシフト用に6チャンネル分の地上デジタルチューナと4TB(M190)/2TB(M180)のHDDを搭載し、低画質モードの場合、M190で約15日分、M180では約8日分の番組を録画(一時保管)できる。

 さらに、通常録画用のチューナも地上/BS/110度CSデジタルを各2系統装備。タイムシフトマシンと組み合わせることで、最大8番組の同時録画が可能。別売のUSB HDDへの録画も可能で、4台のUSB HDDを同時に接続できる。なお、接続したUSB HDDは通常録画用となり、タイムシフトマシン録画には利用できない。Blu-ray 3D再生に対応したBDドライブも装備し、通常HDDとUSB HDDに録画した番組をBD-REにダビングできる。BDXLにも対応する。

REGZAブルーレイ(サーバー)

型番タイムシフトHDD録画用HDD発売日店頭予想価格
DBR-M1904TB1TB12月中旬20万円前後
DBR-M1802TB500GB15万円前後

 55X3は、55型/3,840×2,160ドットの4K/2Kパネルを採用し、HD解像度の裸眼3D視聴にも対応した液晶テレビREGZAのフラッグシップモデル。

 フルHDの4倍の画素数となる829万画素の55型「4倍画素QFHDパネル」を採用。コントラストは5,000:1。映像処理エンジンは「レグザエンジン CEVO Duo」で、REGZAと同様の各種高画質処理により、4K信号を精細に表示できるほか、フルHD映像の高画質4Kアップコンバート処理を組み込んでいる。

 2D表示だけでなく、裸眼3D「グラスレス3D」も実現し、リモコンの[3D]ボタンを押すだけで、2D/3D切り替えが可能。3D表示時の解像度は1,280×720ドット。3Dメガネが不要な点が特徴で、パネル上に特殊な細かなレンズを装備した「レンチキュラーシート」を被せたインテグラルイメージング方式を採用。9視差の映像を生成し、左右の目に異なるアングルの映像を見せることで、脳の中で立体感と奥行感を知覚させ、3D視聴を可能にする。2D表示時にはレンチキュラーシートを無効化し、2D表示を実現する。

55X3センサーを搭載

REGZA

型番サイズ解像度主な仕様発売日店頭予想価格
55X355型3,840×2,160ドット(2D)
1,280×720ドット(3D)
4Kパネル
グラスレス3D
USB HDD録画
レグザリンクシェア
12月中旬90万円前後
AT700/35D

 また、レグザサーバーで録画した番組を受信できる「レグザタブレット」2モデルや、サーバー機能搭載2モデルなど新「REGZAブルーレイ」も発表。10月下旬から順次発売する。


REGZAタブレット

型番サイズ
解像度
主な仕様発売日店頭予想価格
AT700/35D10型DTCP-IP
レグザリンクシェア
12月上旬7万円前後
AT3S0/35D7型10月下旬5万円前後

REGZAブルーレイ

型番HDDチューナレグザリンク・シェア
Appsコネクト
発売日店頭予想価格
DBR-Z1602TB地上/BS/110度CS×211月上旬11万円前後
DBR-Z1501TB9万円前後
DBR-Z110320GB-10月下旬6万円前後
DBR-C100320GB地上/BS/110度CS×111月上旬5万円前後

■ 「REGZA WORLD」で新たな映像体験を。タブレットは第3の軸

加藤孝夫スマートコミュニティ事業統括部長

 発表会は、開幕前日となるCEATEC JAPAN 2011会場で実施。東芝の加藤孝夫スマートコミュニティ事業統括部長が登壇し、同社のスマートコミュニティ戦略を解説。社会インフラをICT、クラウド技術で接続し「新しい価値、新しいデジタル社会を創り出す」と説明。スマートホームによる、エネルギーマネジメント(HEMS)や、ヘルスケア、物流、交通などの流れをスマートにコントロールすることで、地球にやさしく、いつでもコミュニティに繋がれる社会を創る、と目標を語った。

 またスマートホームの基幹技術となるスマートメーターにおいて、ランティスギア社を買収したこと、東北復興や大阪茨木市のスマートコミュニティなどの取り組みも紹介し、デジタル技術でスマートコミュニティを進化させていくとする。


スマートコミュニティの推進を目指すスマートホームの構成要素
東芝 デジタルプロダクツ&サービス社 大角社長

 テレビやパソコン、タブレットなどのデジタルプロダクツを統括する東芝執行役上席常務 デジタルプロダクツ&サービス社社長の大角正明氏は、レグザサーバー、タブレットなどが目指したものを「REGZA WORLD」と表現。新製品に込めた狙いを解説した。

 「まず、エンタテインメントをどうやっていくのか。今の日本はある意味でかなり暗いところがある。もう一度このCEATECの会場から日本の技術、サービス、商品を立ち上げて、再びグローバルに打って出る機会。世界に向け、東芝の考えるデジタルプロダクトの楽しみ方を紹介する」と切り出し、まず「時間、場所を超えて、高音質、画質を楽しめるタブレット」として、タブレット「AT700」を紹介。REGZAの高画質技術と、dynabookの薄型化技術を結集し、製品紹介ビデオでは画質や音質をアピール。大角氏は「世界最薄/最軽量の高画質/高音質ハイビジョンタブレット」と語った。

テレビとPCの技術を融合REGZA WORLDタブレットをアピール

 「レグザサーバー」については、タイムシフトマシン機能によるライフスタイルの変化や同社の半導体/ソフトウェア技術、超解像技術を訴求。大角氏は「レグザタブレットをコアに、サーバーとREGZAが連動することで、場所にとらわれない新たな視聴が可能になる。それが“REGZA WORLD”」とアピール。テレビ、PC、サーバー、タブレットの有機的な連携で、「機器の垣根を越えた視聴スタイルを実現。放送や録画の概念を変え、デバイスの垣根を越え、映像を開放する。REGZA WORLDに期待してほしい」とした。

 「映像体験の改革」として紹介したのが、4Kパネルでグラスレス3D表示に対応した「55X3」。55型で4Kとグラスレス3Dを1台で実現し、「かつてない映像美を創り出す。REGZA史上最も美しいテレビ」とする。「高画素デジタルカメラの普及だけでなく、ビデオカメラでも4Kの開発が加速している。また、NTTぷららのひかりTVでは4K/2K配信の技術検討を行なっており4K/2K時代はもうそこまで来ている。東芝は本格的な4K/2K時代を切り開く」と4Kへの意気込みを語った。

レグザサーバーの利用イメージサーバー、タブレット連携でREGZA WORLD「新たな映像体験」として55X3を紹介

 また、世界最軽量のUltrabook「dynabook R631」やクラウドサービス「Toshiba Places」の強化も明らかにした。電子書籍サービスの「Book Place」は年内に10万冊まで拡大。さらに、映像配信の「Video Place」については、新たにNTTぷららの「ひかりTVどこでも」を今後提供予定としている。

Ultrabook「dynabook R631」ぷららは4K/2K映像配信の検討を開始Video Placeでぷららの「ひかりTVどこでも」を提供予定

 最後に大角氏は、「REGZA WORLD商品、サービスで東芝は新たな映像体験を実現する。また、PC、テレビに加え、タブレットを新たに事業の柱にしていく。商品の垣根を超える新たなデジタルプロダクツを今後も開拓していく」とした。

 質疑応答では、「3Dの普及が進んでいない中、グラスレス3Dや4Kをどう普及させていくのか?」との質問に対し、大角氏が回答。「テレビの単価アップなど、産業としての当初の予測、理想とはギャップがあるとは認識している。ただ、メガネ付きの3Dは機能としては『普通』になってきている。なぜ、このタイミングで4Kなのかというと、まずメガネを外したストレスフリーな3Dが家庭では望ましいと思っているから。映画館でメガネを付けるというのはいいが、私は家でメガネを付けるというのは無理があると考えている。昨年末に20型を出したが、今回55型まで大型化した。画質を含めたリアリティの体験を家庭の中で実現したい。もう一つは日本ではHDに完全移行したが、4K/2Kは放送としては難しいところがある。そこまで必要かという意見もあるが、技術は先を見て開発していくもの。まずは『見てください』。放送だけでなく、ネットを使ってコストも含めて近い将来に実現できるものもあるだろう。裸眼の3Dと、新しい領域の4Kの画質をきっちりと商品として提案できたと考えている」とした。

 2011年度のタブレットの目標台数は「グローバルで100万台。2013年度にはパソコンやテレビと同じく、グローバルシェア10%を目指す」という。55X3の販売目標は「当初1,000台。前回のグラスレス3Dと違うのは、欧州で12月、日本で12月。その後中国、アジア、北米などグローバル展開する。その中で数を積み上げていきたい」とした。

 2011年度のテレビとPCで4,000万台という目標は、「半年終わってやや厳しいという状況。ただ、ハードメーカーとしてPCは今後もきっちりと中心に据えてやるが、新しいサービスも作っていかなければいけない。また、PCもテレビも大きな伸びしろが新興国にはある。そこは大きな課題」とした。また、タブレットもAppleなどが先行しているものの、「まだ先進的なユーザーのもので、われわれは映像を中心とした楽しみ方、培ってきたものを訴えて、数を売っていきたい。世界有数のプレーヤーとして勝ち残りたい」と意気込みを語った。

 サーバーのグローバル展開については、「BDレコーダをベースにしたサーバーは日本独自のもの。海外展開ではクラウド的なサービスとタブレット、テレビの親和性がキーになる。今回のサーバーそのものでのグローバル展開はないだろう。ただし、欧州や中国については、テレビにサーバーを統合した形はありうる。今回培ったものをグローバルに進化させていきたい」とした。


(2011年 10月 3日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]