HI-END SHOW開幕。DYNAUDIOの無線スピーカー「Xeo」

-NASのDSDをネットワーク再生。GOLDMUNDも参加


東京・有楽町の東京交通会館

 オーディオメーカーと輸入商社などが参加する展示・試聴イベント、「HI-END SHOW TOKYO 2012 SPRING」が18日、東京・有楽町の東京交通会館で開幕した。期間は5月18日~20日までの3日間。入場は無料。

 交通会館12階のダイヤモンドホールに各社が試聴コーナーを設けており、各社ローテーションで再生デモを行なうのが特徴。

 各社の参考出品や新製品を中心にレポートする。




■DYNAUDIO

DYNAUDIOの新スピーカー「Xeo 3」をPCと組み合わせたところ

 DYNAUDIOのブースでは、新しいスピーカーラインナップとして、無線接続に対応した「Xeo」シリーズを参考展示している。今年の秋に発売が予定されている。

 アンプを内蔵したアクティブスピーカーになっており、最大の特徴はソース機器(+送信機)と無線で接続できる事。2.4GHz帯で非圧縮伝送する「kleer」に対応しており、スピーカーと送信機がセットになっている。

 送信機には光デジタル、USB、アナログ音声(RCA)、アナログ音声(ステレオミニ)の入力端子を装備。PCやCDプレーヤーなどと接続し入力された音声を、スピーカーへと無線伝送する。スピーカーにはレシーバを搭載。内蔵アンプでドライブして音を出すという仕組み。


「Xeo」シリーズ用の送信機3系統の入力を備えている

 ユニークな点は、1台の送信機に対して、3セットのシステムが利用できる事。スピーカーの裏に「Room切り替えスイッチ」がついており、これを「1~3」の任意のものに設定して使い分ける。1つのRoomに、ステレオ以上の複数のスピーカーを設定する事も可能。

 各Roomのスピーカーで、前述の3系統の入力が切り替えられる。例えば、リビングにあるCDプレーヤーと送信機を光デジタル(ソース2)に接続。全てのスピーカーのソース選択を2に合わせれば、全ての部屋でCDプレーヤーの音が聞こえる。次に、アナログ音声入力(ソース1)にiPodを接続し、1つの部屋のスピーカーのスイッチを「1」に合わせると、その部屋でのみiPodの音が聴ける……という使い方ができる。

 また、左右のスピーカーもワイヤレスで接続。各スピーカーの背面には「Left」、「Mono」、「Right」というスイッチもあり、例えば「左のスピーカーはRoom1:Leftに」、「右のスピーカーはRoom:1Rightに」という具合に設定する。BGM的に使うために、スピーカーを1台のみ設置し、Monoに設定する……といった使い方もできる。

Xeo 3の背面。Roomがソース指定に該当。その部屋における設置場所に合わせてLeft/Mono/Rightを選択する左がXeo 3のブラックモデルトールボーイの「Xeo 5」も用意する

 スピーカーのラインナップはブックシェルフの「Xeo 3」、トールボーイの「Xeo 5」を用意。Xeo 3は2ウェイ2スピーカー、Xeo 5は2ウェイ3スピーカーで、どちらもウーファとツイータを別のアンプでドライブするバイアンプ構成。各アンプの出力は50W。なお、通常のスーピーカーケーブル接続には対応していない。

 価格は未定だが、ヨーロッパでの価格は、送信機セットで「Xeo 3」が約1,500ユーロ、「Xeo 5」が約2,700ユーロ。なお、1台の送信機から複数のスピーカーに音を送信できるため、スピーカー単体での販売も検討しているという。

 DYNAUDIOブースでは他にも、ATOLLの新製品として、無線伝送に対応したDAC「DAC 200」も参考展示。標準でUSBタイプの無線送信機がセットになっており、PCから音声をワイヤレスで伝送(16bit/44.1kHz)できる。別売でiPod/iPhoneなどのDock端子に接続する送信機も用意する。

 「DAC 200」自体にはUSB、光デジタル、同軸デジタルなどの入力を備え、USBケーブルでPCと接続した場合は、24bit/192kHzまでのアシンクロナス伝送が可能(コントローラーはXMOS)。DACにはバーブラウンのPCM1792を使っている。

中央が「DAC 200」無線接続用のUSB送信機、iPod Dock接続型送信機(別売)DAC 200の背面端子部
後付けでワイヤレスボード(写真の青いボード)を追加できる

 なお、前述の無線接続機能は、ATOLL製品のSEシリーズや、2002年以降に発売された旧モデルでも、今後発売されるオプションのワイヤレスボードを追加する事で利用可能になるという。「DAC 200」とワイヤレスボードの発売日や価格は未定。




■スフォルツァート

 電源を別筐体にした、高品位なネットワークオーディオプレーヤー「DST-01」(63万円)を販売しているスフォルツァートのブースでは、新たにDSDフォーマットの再生にも対応した新モデル「DSP-01」の試作機が参考展示されている。

 ネットワークHDDなどに保存したDSDファイルを再生できるのが特徴だが、DLNAにDSDファイルの規定が無いため、現状ではWAVにパッケージしたファイル(データ自体はDSDだが、機器からはWAV形式に見えるように偽装したファイル)を使い、DLNA経由で転送・再生している。こうする事で、通常のDLNAコマンダーソフトでファイルの選択、再生指示ができるという。「DST-01」と同様に電源は別筐体。

上にあるのが「DSP-01」の試作機。下は別筐体の電源だが、こちらは実際の製品と外観は異なる「DSP-01」のプレーヤー部アップ
AirPlay対応のファームも開発が進められている

 また、「DST-01」と組み合わせることで、DSDのデコードにも対応できるようにするDACも開発予定。「DSP-01」と、DSD用DACのどちらを先に製品化するかは検討中とのこと。「DSP-01」の価格は「LINNさんのAKURATEくらいのイメージ」だという。

 さらに、「DST-01」をAirPlayに対応させる新ファームウェアも参考展示。既に利用しているユーザーに、無償のファームアップで機能追加を検討しているという。




■トライオード

GOLDMUNDのラインナップを展示

 トライオードのブースでは、GOLDMUNDのラインナップも合わせて展示。17日に発表されたように、GOLDMUNDの製品は従来ステラヴォックスが国内販売をしていたが、6月1日からはゴールドムンドジャパンが取り扱う。ゴールドムンドジャパンの社長は、トライオードの社長でもある山崎順一氏。

 ラインナップの詳細は17日の記事で紹介しているが、ハイエンドショウでは実際にそのサウンドを体験できる。また、仕様が新しくなるプリアンプ「Mimesis 27.8」(134万4,000円)、プリメインアンプ「Telos 390.5」(144万9,000円)も展示。

 「Mimesis 27.8」と「Telos 390.5」は、従来バージョン(Mimesis 27.5/Telos 390.2)から、8項目に渡るグレードアップを行なっているのが特徴とのことだが、グレードアップの詳細な内容はまだ発表されておらず、今後、ゴールドムンドジャパンのWebページで順次情報が更新されるという。


プリアンプ「Mimesis 27.8」プリメインアンプ「Telos 390.5」GOLDMUNDの再生デモをしているところ

 トライオードの新製品としては、6月の発売を予定しているUSB入力対応DAC「TRV-DAC1.0SE」(157,500円)と、同じくUSB入力対応CDプレーヤー「TRV-CD5SE」(157,500円)がある。フロントパネルの左側から少し見えるように真空管も内蔵しており、トランジスタと出力を切り替え、音の違いを楽しむ事ができる。

 さらに、8月予定の新製品として、モノラルパワーアンプのリファレンス「TRX-M845」の300B版となる「TRX-M300」(ペア予価70万円)を展示。ウエスタン・エレクトリック911Bパワーアンプを基本としながら、独自回路で310A-310A-300B-274Bという構成を実現している。

 旧88Signatureをリファインしたプリメイン「TRX-88PP」も8月発売予定。予価は38万円。KT88 8本をパラレルプッシュプルとし、自己バイアス方式で真空管のライフを高め、無調整とし、クラスAで50W×2ch出力を実現している。

 また、女性向けの6BQ5プリメイン「Ruby」も8月発売予定で、予価6万円。赤いルビーのように光るというLEDを採用するなど、デザイン面にもこだわっているという。

上がCDプレーヤー「TRV-CD5SE」、下がDAC「TRV-DAC1.0SE」手前が「TRX-M300」、奥が「TRX-88PP」女性向けの6BQ5プリメイン「Ruby」



■ナスペック

 台湾KingRexの取扱いをしているナスペックでは、同ブランドの新製品「HQ-1」を参考展示。KingRexの製品は32bit DACを搭載したコンパクトなDACなどがあるが、「HQ-1」は据え置きタイプのヘッドフォンアンプ兼プリアンプ。6月発売予定で、価格は98,000円程度を予定。

KingRexの製品を展示KingRexの新モデルヘッドフォンアンプ兼プリアンプ「HQ-1」英Cambridge Audioの新製品で、5月1日に発売が開始されたばかりの、USB/光/同軸デジタル入力対応DAC「DacMagic 100」。左にあるのはiPod/iPad/iPhoneドック「iD100」

 同じく6月発売予定のMordaunt-Shortのブックシェルフスピーカー「Performance 2」も展示。スタンド込みの製品となっており、価格はペアで399,000円の予定。フラッグシップモデル「Performance 6」と同様のユニットを採用しており、エンクロージャの背後まで貫通しているようなATT(Aspirated Tweeter Technology)を投入したオリジナツイータがトレードマーク。25mm径のアルミドーム製。ウーファも振動板はアルミ製で、165mm径。

フラッグシップモデル「Performance 6」ブックシェルフスピーカー「Performance 2」「Performance 2」を横から見たところ。ツイータがエンクロージャを貫通している



■ポーカロ・ライン

 ポーカロ・ラインのブースでは、KEY SoundのUSB DACキットを参考展示。「UDA923KIT」と名付けられたもので、キットではあるが、大半のパーツは基盤に実装済みの状態で販売。「ユーザーがオペアンプを取付けるだけで完成し、その後もオペアンプの付け替えで音の違いを手軽に楽しめるような製品にしたい」という。

 標準ではバーブラウンの「OPA2134AP」が付属。DACはバーブラウンのPCM2704が使われており、16bit/48kHzまで対応。6月末頃に直販サイトで販売予定で、価格は19,800円。

ポーカロ・ラインのブースKEY SoundのUSB DACキット



■その他

 今月、直販サイトで販売を開始したというのが静岡にあるプラス産業のスピーカー「sui」。11cm径のフルレンジユニットを1基搭載したバスレフ型のスピーカーで、流れる水を連想させるような独特のフォルムが特徴。デザイン性だけでなく、左右上下、どこにも平行な面が無く、内部定在波が発生しにくい形状になっているという。価格はペアで595,000円。セットで6万円の、オリジナルスタンドも用意される。

 エンクロージャは漆と小石を混ぜたもので構成されており、静岡の無形文化財でもある“金剛石目塗”という特殊乾漆技法で作られている。「漆と小石という硬さの異なるものを組み合わせる事で、音にも良い効果がある」という。ユニットには、耐久性に優れるという雁皮和紙を使用している。

プラス産業のスピーカー「sui」エンクロージャは漆と小石を混ぜたもので構成されているユニークな形状のスタンドも用意
クリプトンは、DAC内蔵アクティブスピーカー「KS-1HQM」の特別モデルとして、ジャズ&ラテン・ボーカリストのMAYAさんとコラボした、カナリヤイエローの「KS-1HQM(M)」を展示。直販のみの製品であるため、イベントは実際に製品の色味を確認できる機会でもあるEscart(エスカート)のブースでは、新ブランドVento(ヴェント)の第一弾製品として4月から販売している、音響パネル「SQUARE」(写真左)を展示。、部屋のコーナーに設置する、arteブランドの音響拡散パネル「トライコーナー」(写真右)も紹介している
音元出版のブースでは、オオアサ電子の無指向性スピーカー「TS1000」(ペア262,500円)。ユニットを上部に搭載したもので、リフレクタを上部に取付ける事もできる。一番右の写真が新製品で、ドライブ用のパワーアンプ「TA1000」(157,500円)
ヨシノトレーディングのブースでは、価格や発売日は未定だが、新製品を参考展示。写真左がDIAPASONのブックシェルフスピーカー「ASTERA」。180mm径ウーファ、29mm径シルクドームツイータを搭載している。写真右はEARのSACDプレーヤーフルテックは、ヘッドフォン祭と同様に、ADL(ALPHA DESIGN LABS)ブランドの新製品として、据え置き型のDAC兼デジタルプリアンプ「ESPRIT(エスプリ)」や、3月から発売が開始された、ポータブルヘッドフォンアンプの新モデル「STRIDE(ストライド)」などを展示
四十七研究所のブースでは、今年の初夏に発売予定のAgaraというブランドの試作機を展示。デュアルモノ構成のヘッドフォンアンプ「PROTO H01」(写真左/アナログ入力4系統/ヘッドフォン出力1系統)や、コンパクトなヘッドフォンアンプ「PROTO HSJ01」(写真中央/アナログ入力4系統/ヘッドフォン出力1系統)、モノブロックパワーアンプ「PROTO PW01」(写真右)などを参考展示。いずれも価格は未定で、製品名も仮のものとなる
今回も音元出版ブースではPCオーディオ系や新製品の試聴など、様々なイベントが開催予定。19日の午後7時からはサントリーのウイスキー「山崎 10年」の特別試飲会も予定されている

(2012年 5月 18日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]