デノン、「MUSIC MANIAC」などヘッドフォン4シリーズ発表

-“最高の音”やNCなど、スマホ連携対応8製品


MUSIC MANIAC<の「AH-D7100EM」

 デノンは、ヘッドフォン/イヤフォンの新製品4シリーズ8モデルを8月上旬より順次発売する。

 ユーザーのライフスタイルに合わせて、ハイエンド向けの「ミュージックマニアック」、トラベル向けの「グローブクルーザー」、重低音が強力なクラブ音楽向け「アーバンレイバー」、スポーツ向け「エクササイズフリーク」という4シリーズを用意。価格はオープンプライスで、店頭予想価格はヘッドフォンが4万円~12万円前後、イヤフォンが15,000~35,000円前後。


GLOBE CRUISERのNC搭載モデル「AH-NCW500BKEM」URBAN RAVERのアンプ内蔵モデル「AH-D400EM」EXERCISE FREAKの「AH-W150BUEM」



シリーズ製品型番発売時期店頭予想価格
MUSIC MANIAC
ミュージックマニアック
ヘッドフォンAH-D7100EM8月上旬12万円前後
AH-D600EM5万円前後
バランスド・
アーマチュア
イヤフォン
AH-C40035,000円前後
GLOBE CRUISER
グローブクルーザー
ノイズキャンセリング
ヘッドフォン
AH-NCW500BKEM(ブラック)
AH-NCW500SREM(シルバー)
9月上旬5万円前後
カナル型イヤフォンAH-W200EM8月上旬18,000円前後
URBAN RAVER
アーバンレイバー
アンプ内蔵ヘッドフォンAH-D400EM4万円前後
ネックバンド型イヤフォンAH-C30025,000円前後
EXERCISE FREAK
エクササイズフリーク
AH-W150BKEM(ブラック)
AH-W150BUEM(ブルー)
AH-W150YWEM(イエロー)
15,000円前後
AH-D7100EMの内部構造

 MUSIC MANIACシリーズのヘッドフォン「AH-D7100」は、新開発のナノファイバー振動板を搭載。カナル型(耳栓型)イヤフォンの「AH-C400」は、バランスド・アーマチュアのデュアルドライバを搭載する。

 そのほか、GLOBE CRUISERシリーズの「AH-NCW500」は、アクティブノイズキャンセリング(NC)機能を搭載。URBAN RAVERシリーズの「AH-D400EM」はアンプ内蔵、EXERCISE FREAKシリーズの「AH-W150」は防滴対応など、それぞれの用途に応じた機能を備える。

 各シリーズ用に、「オーディオ」、「トラベル」、「クラブ」、「スポーツ」という4種類のiPhone/Androidスマートフォンアプリを用意することも特徴。アプリをスマートフォンにインストールすることで、各ヘッドフォンのパフォーマンスを最大限に引き出すという。

 各ヘッドフォンの詳細や、発表会の模様は追って掲載する。

 なお、同社は「繭をイメージした」というネットワーク対応のiPhone/iPod/iPadドックスピーカー「COCOON」(コクーン)も発表した。この製品についても別記事で紹介する。


AH-D600EMAH-C400
AH-W200EMAH-C300


 


■ 想定ユーザーごとに最適化。「最高の音をあきらめない」

 

キム・テイホウ氏
 D&Mホールディングスのセールス アンド マーケティング アジア・パシフィック プレジデントのキム・テイホウ氏は、新ブランドの立ち上げに際して、「従来は、幅広いユーザーをターゲットとしていたが、新シリーズは、ターゲットユーザーごとに最適な商品へと転換した」と説明。デザインについても「これまでのデノンのテイストを覆す」とした。

 オーディオを取り巻く現在の環境については、ストリーミングサービスの普及など「音源の多様化」や、PC/ネットワークプレーヤー/スマートフォンといった「再生デバイスの多様化」、いつでもどこでも気軽に聴ける「音楽の楽しみ方の変化」といった動きから、機器のデザインや楽しみ方が多様化したとの認識を示した。しかし、一方で「デバイス本来の目的である、良い音を聴くことが損なわれている気がしてならない」とも指摘。

 キム氏によれば、今回の製品は、実はもっと早い時期に発売することも可能だったとのこと。しかし、同社製品の音質責任者である“サウンドマイスター”が、「この音では出せない」と譲らなかったことから、「多少遅れてでもいい製品を出す」としてこの時期の発売になったという。新ブランドではデザインの大幅な変更など大胆な転換も図られているが、「ユーザーに応じた用途や、デザイン、利便性などを追求しながら、“本物の音”も兼ね備えた」としている。

 

ライフスタイルに合わせた4種類のシリーズを展開現在のオーディオ環境の変化デザインなどは多様化しつつ「最高の音をあきらめない」とした

 

MUSIC MANIACシリーズの製品
 ヘッドフォンについては、CEエンジニアリングユニット 設計本部の福島欣尚氏が説明。MUSIC MANIACの「AH-D7100EM」に搭載されている50mm径フリーエッジナノファイバー振動板の開発には約2年を要したとのことで、イヤーカップの天然マホガニー材も、手作りで成形。外側のGFRP(グラスファイバー強化プラスチック)により、一般的なプラスチックに比べて内部損失が高く、不要な響きを抑えている。この素材は塗装や成形が困難だったが、音質のこだわりから採用に至ったという。

 イヤフォンの「AH-C400」についても、ハウジングに用いた剛性の高い亜鉛ダイキャスト素材は高価な部品だが、採用したことで音質と外観の質感向上に寄与したとしている。

 スポーツ向けのEXERCISE FREAK「AH-W150」は、「軽快感のある音作りとした」としており、小型化には基板サイズの縮小や、モールドとの干渉を避けることなど多くの課題をクリアしたという。

 

全てのデノン製品は、マイスターが音質チェックしているという福島欣尚氏AH-D7100のハウジングに使われているGFRPの特性を通常のプラスチックと比較。この素材を実際に叩くと“プラスチックの音”が抑えられているのが感じられた

 スピーカーの「コクーン」については、“ドックスピーカー”というジャンルは低価格化も進んでいるという認識を示しつつ、「(他社とは)ネットワーク機能と、音質に違いがある。こうした良さをきちんと提案できる販売店などで訴求していく」(国内営業本部 開発営業部/国内マーケティンググループ 上田貴志部長)とした。

 

ネットワーク対応スピーカーの「コクーン」上田貴志氏新製品のスペシャルサイトも開設

 なお、今回の新ブランド立ち上げで、従来製品の展開にも変更はあるかという質問に対しては「AVアンプなどの製品については、従来の強みを活かしつつ最新の技術も盛り込み、アナログでも最高の音を出していく。しかし、ヘッドフォンやドックスピーカー、サウンドバーなどの成長市場においては、今までのような“良いものを作って提供する”というだけでは足りない。あらゆるユーザーに対して、どのように使っているのか、ということを掘り込んで考えて開発する。今回の第1弾に続き、第2弾は今年の秋に出し、その後も第3弾、第4弾まで既に開発の中身が決定している。同じようなコンセプトで、ライフスタイル系の製品を開発していく」とした。

 

発売を前にデザイン賞も受賞した
 「コクーン」を含む今回の新製品は、独自のデザインも特徴。通常の製品は川崎の同社デザインセンターが担当しているが、新ヘッドフォンは米国、コクーンは欧州のデザイナーが主導となって設計。コクーンは、スケッチやモックサンプルの時点で既に高く評価され、ドイツのred dot design awardや、米国のIDEA(International Design Excellence Award)の賞を獲得している。

 ヘッドフォンのデザインが従来製品と大きく様変わりした点には、来場していた販売店のフジヤエービックから「従来のデノンユーザーからは、歓迎の声と、戸惑いの声の両方がある」との指摘もあったが、これに対して前述の福島氏は「デザインの特徴である流線型や、(ハウジングの)丸いアイコンなどを、統一して提案しようという考えがあった。(ユーザーの)気持ちは分かるが、製品の音や装着性などを実際に体験して、“中身は(従来の姿勢と)変わっていない”と感じていただければ」とした。


(2012年 7月 12日)

[AV Watch編集部 中林暁]