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「ファインテック ジャパン」開幕。84型4Kや915ppiの超小型4Kなど

会場の東京ビッグサイト

 フラットパネルディスプレイの展示会「第23回 ファインテック ジャパン」が10日、東京ビッグサイトで開幕した。開催期間は4月12日まで。入場には、サイト上で無料申し込みできる招待券を持参するか、入場料(5,000円)が必要。

 ディスプレイに使われる部品、材料のほか、製造装置などを多数展示。同時開催の「高機能フィルム展」や「高機能プラスチック展」を含めると出展社は700社で、展示は東1~6ホールを使用している。

 会場には「4Kディスプレイコーナー」も特設。東芝が国内初披露となる84/65型の液晶テレビREGZAを展示したほか、LG Electronics Japanやアストロデザイン、EIZOらが業務向けの4K対応ディスプレイを出展している。なお、東芝REGZAについては、別記事で掲載している。

縦置き対応のLG 4Kサイネージや、アストロの8K対応信号発生器など

LGの84型4Kサイネージ

 LG Electronics Japanは、5月上旬に発売する84型の4K(3,840×2,160ドット)デジタルサイネージ用液晶ディスプレイ「84WS70」を出展。

 同社は民生用の84型IPS液晶テレビも開発しているが、84型/4K対応のサイネージ向け液晶ディスプレイは世界初としている。民生用との大きな違いとして、直射日光にも強い耐久性の高さと、縦置きの設置でも多くの人が同時に映像を観られる広い視野角などを特徴としている。フルHD映像の4Kアップスケーリングにも対応する。

 今回の展示には、サイネージ向けの同社製4K対応メディアプレーヤー「MP700」を使用。小型筐体のMP700をディスプレイの背面に装着して、DisplayPortから4K映像(3,840×2,160ドット/30p)を入力している。DisplayPortは4系統備え、うち2系統が4K、2系統がフルHDまでの対応。この製品は海外では販売中だが、日本での販売については未定。

フルHD映像をアップスケーリングして表示しているところ
製品の特徴
プレーヤーのMP700
56型4K液晶ディスプレイ「DM-3410」

 アストロデザインは、56型の4K液晶ディスプレイ「DM-3410」のほか、4K非圧縮のSSDレコーダ「HR-7510」や、4K対応のプログラマブルビデオ信号発生器「VG-873」といった発売中の業務用製品を展示している。既報の通り、総務省が4K/8K放送開始のロードマップを前倒ししたことなどを受けて、同社が扱う4K対応のBtoB製品に対する引き合いも高まっているという。

 今夏発売の新製品として、1台で4Kと8Kの両方に対応するデジタルビデオ信号発生器「VG-876」も出展。4Kテレビのメーカーなどに向けて販売するもので、従来モデルから映像エンジンを一新。4Kパターンの階調変更や、モーションブラーなどの高速描画を可能としており、DisplayPort 1.2やHDMIなどをサポートする。

 出力インターフェイスをモジュール化しており、最大4スロットに実装可能。DisplayPortからの1080p/XGA/VGA映像のマルチストリーム出力が行なえ、1台のVG-876から、ディスプレイをデイジーチェーンして各ディスプレイに異なる映像を表示させることもできる。また、4K映像の4分配出力にも対応。8Kディスプレイに4K映像を4本同時に出力することで8K映像信号として利用できる。

4K/8K対応デジタルビデオ信号発生器「VG-876」
4K対応ビデオ信号発生器(左)や、4K対応のHDMIプロトコルアナライザ(右)
同社の4K製品ラインナップ
EIZOの36.4型4K液晶「DuraVision FDH3601」

 EIZO(4月1日付で社名をナナオから変更)は、2011年に発売した36.4型の4K(4,096×2,160ドット)液晶ディスプレイ「DuraVision FDH3601」(直販252万円)を展示。また、このディスプレイで使える、パソコン用カラーキャリブレーションソフト(名称は未定)を4月末より無償提供することをブース内で紹介している。

 印刷物の作成やプロジェクタ用の映像制作などでの利用を想定したもので、あらかじめ用意されたプロファイルをユーザーが微調整して設定を記憶させておくことが可能。Windows/Mac対応で、新規購入すると無償添付されるほか、既に購入済みのユーザーに対しても、同社へ問い合わせることで無償提供されるという。

市販のキャリブレート用センサーユニットを使用
キャリブレーションソフトの設定画面
ユーザーによる設定を登録してすぐ呼び出せる

915ppiの世界最小4.8型4Kディスプレイも

オルタステクノロジーの4.8型4K液晶

 オルタステクノロジーは、世界最小とする4.8型の4K液晶ディスプレイを開発。画素密度は915ppiという超高精細表示を実現。放送/シネマ用の4Kカメラに搭載するビューファインダ(EVF)や、電子顕微鏡、医療などへの採用が見込まれている。

 その他にも同社は、2012年より発売している9.6型の4Kディスプレイや、4.8型の偏光3Dディスプレイ、双眼鏡のような2つのレンズを覗きこむことで3D立体視ができるディスプレイなどを展示している。

ルーペで拡大したところ
9.6型の4Kディスプレイ
4.8型の偏光3Dディスプレイ
双眼鏡のようなレンズを覗きこむと、左右の目に割り当てられた映像で立体視できる

 裸眼3Dのデジタルサイネージを関西国際空港などに導入するなど、用途に応じた裸眼3Dディスプレイの開発/カスタマイズや販売、保守などを行なうニューサイトジャパンは、3Dの様々な導入事例を紹介。42型の裸眼3Dディスプレイや、24型のタブレット型、タッチ対応型などに加え、実際に水を入れた水槽と組み合わせる3D映像といったユニークな展示も行なっている。

42型の裸眼3Dディスプレイ
24型のタブレット型3Dディスプレイ
水槽と組み合わせて3D映像を楽しむというディスプレイ

 ディスプレイ展示コーナーで多くの来場者から注目されていたのは、上海万博などにも採用されたLEDディスプレイを手掛けるシリコンサイン・ジャパンによる、幅7.3m、高さ4.1mという大型のLEDディスプレイ。最小視認距離1m、視野角160度としている。画素ピッチは1.9mm。LEDは3,840×1,080(縦×横)個が並んでいる。

シリコン・サインの超大型LEDディスプレイ
側面から見たところ
背面

 素材メーカーでは、ディスプレイのカバーガラスで知られる独ショット(SCHOTT)が、新開発の高耐久性/撥水/撥油コーティングの「DARO」を展示。タッチスクリーンに反射防止コートを施すと、表面の指紋が目立ちやすいという問題に対処するために開発。店舗/ゲーム/車載/医療などの用途を想定している。厚さは1.1mm~6mmで、サイズは最大990×1,770mm(対角72インチ)。薄型化も技術的には可能だが、スマートフォンなど民生用に向けて開発するかどうかは未定。

ショットのコーティング技術「DARO」
左がコート無し、右が反射コート済み、中央が反射コート+DAROを施したもの
DAROの概要
旭硝子(AGC)は、透明なガラスに情報を表示する「スマートウィンドウ(透過散乱型液晶デバイス)」を紹介
AGCは、超薄型ガラスへのナノインプリント技術も紹介。無反射ガラス(モスアイ)や、3Dテレビの偏光子などが主な用途
ぺんてるのブースでは、タッチパネル用のAGハードコート技術などを紹介

(中林暁)