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ソニー、24bit/192kHz対応ハイレゾ「ウォークマンF880」
電源/S-Master改良で音質向上。バッテリも35時間に
(2013/9/25 13:06)
ソニーは、24bit/192kHzまでの高音質(ハイレゾ)楽曲に対応したウォークマン上位シリーズ「NW-F880シリーズ」を10月19日より発売する。内蔵メモリ容量16GBの「NW-F885」、32GB「NW-F886」、64GB「NW-F887」の3モデルが用意され、価格はオープンプライス。店頭予想価格は16GBが27,000円前後、32GBが3万円前後、64GBが4万円前後。
カラーは、16/32GBがブラック、ホワイト、ブルー、ビビッドピンクの4色、64GBがブラック/ホワイトの2色。
2012年発売のFシリーズ(NW-F800)は、3.5型液晶/Android 4.0だったが、新Fシリーズ「NW-F880」は4型液晶/Android 4.1を搭載。最大の強化ポイントは音質で、新たに24bit/192kHzまでのFLACやApple Lossless、WAV(リニアPCM)などの「ハイレゾ」音楽ファイルに対応した。ただし、DSDには対応しない。
独自のデジタルアンプ「S-Master HX」もハイレゾ対応で強化したほか、電源の見直しなどで全体的な音質を向上。さらにハードウェアボタンの搭載などでオーディオプレーヤーとしての操作性を向上している。
また、パソコンなどと外部機器との接続に利用するWM-Portがデジタル音声出力に対応。ポータブルアンプ「PHA-2」などと接続して、ウォークマンの内蔵音源をそのままデジタル音声出力可能になる。
ソニーでは、量子化ビット数24bit、サンプリングレート96kHz以上の楽曲を「ハイレゾ」と分類し、それらのファイルに対応し、かつ同社の音質規準を満たした製品について「Hi-Res」ロゴを付与。NW-F880シリーズはハイレゾ対応ウォークマンの主流モデルとして展開する。
アンプ、電源などで音質を徹底強化
新F880シリーズの最大の強化点は「音質」。
従来モデルと同様に、「7つのクリアオーディオテクノロジー」を搭載するほか、また、新たに24bit/192kHzのFLAC、Apple Lossless、WAV、AIFFなどのハイレゾオーディオファイルに対応した(従来は16bit/48kHzまで)。音楽配信サービスなどで配信されている24bit/192kHzまでのハイレゾファイルを再生できる。ただし、DSDには対応しない。
対応音楽フォーマットは、FLAC、Apple Lossless、AIFF、WAV、MP3、AAC、WMA、ATRAC。新たにAIFFやApple Lossless、AAC、MP3などのコーデックでも、曲間ギャップを抑えて再生できる「ギャップレス再生」をサポートした。楽曲管理/転送ソフトはMedia Go Ver.2.5以降。
ハイレゾ音源ではCDの3~6.5倍の情報量を持つ。そのために、電源やアンプ、高音質化処理などの各領域で強化を図っている。
アンプについては、独自のデジタルアンプ「S-Master」を強化し、ハイレゾ対応とした「S-Master HX」を搭載。主な強化点は、ハイレゾ音域でのノイズ低減、コンデンサ除去による低音強化、電源強化の3点。
ハイレゾ音域でのノイズ低減については、ノイズを除去する音域を従来より高周波帯まで拡げ、音質への影響を排除した。また、カップリングコンデンサを除去。従来はアンプの直流成分の影響でヘッドフォンを壊すことが無いように、LCフィルタの後段にコンデンサを入れていたが、S-Master HXの制御を改善し、コンデンサを不要とした。これにより低音を必要以上にカットすることがなくなり、低域の沈み込みを高め、力強くキレのある低音出力が可能になったという。
また、電源も強化。ヘッドフォンとオーディオ出力のために4つの独立電源を搭載した(従来は1つ)。これにより、合計出力を向上するだけでなく、左右の音の相互干渉を低減。ステレオ感を高め、力強い再生を可能にした。
音質補間技術の「DSEE」も強化した新バージョン「DSEE HX」を搭載する。圧縮音源でも高域などを補完し、高音質再生するものだが、従来は16bit/48kHzまでの処理を行なっていた。しかし、DSEE HXでは、16bit/48kHz処理から、24bitにビット拡張し、さらに192kHzにアップサンプリングし、圧縮ファイルでも内部では24bit/192kHzで処理を行なう。これにより、圧縮で消えがちな微小な音の再現性を高めたとする。なお、DSEE HXは10月の発売時には対応しておらず、12月予定のファームウェアアップデートで搭載予定。
クリアベース、クリアステレオ、EXヘッドフォン、クリアフェーズなども引続き搭載。付属イヤフォンを使ったデジタルノイズキャンセリング(NC)にも対応する。ヘッドフォン出力は出力は5mW×2ch(16Ω)。
再生/停止のハードウェアボタン搭載。バッテリは35時間に
操作性も改善。従来のFシリーズではボリューム以外の操作キーとして、Wボタンを装備し、このボタンでミニプレーヤーを呼び出して、タッチパネルで操作を行なう仕組みだったが、F880シリーズでは、再生/停止、曲送り/戻しボタンを追加した。これにより、アプリを立ち上げたり、画面を見なくても基本操作が行なえるようになった。
プレーヤーアプリの「W.ミュージック」は、ハイレゾ楽曲に対応したほか、TOPページとなるマイライブラリー内に好きな曲やアルバム、アーティストのショートカットを作成可能にした。また、再生画面からマイライブラリーに戻るボタンも追加している。また、12月のアップデートにより、W.ミュージックでの楽曲検索機能を追加する。
バッテリ駆動時間も35時間に強化(NC OFF時。従来モデルF800シリーズは25時間)するなど、音質以外においてもオーディオプレーヤーとしのての使い勝手を高めている。スピーカーも内蔵する。
また、パソコンや外部機器と接続する際に利用する「WM-Port」がデジタル音声出力に対応。ポータブルアンプ「PHA-2」などの対応機器にデジタル信号のまま出力可能になった。NW-F880のほか、上位モデルのNW-ZX1でもデジタル音声出力に対応する。
ディスプレイはオプティコントラスト+トリルミナス
4型/480×854ドット液晶ディスプレイを搭載し、OSにはAndroid 4.1。Google Playによるアプリ追加に対応するほか、YouTubeやGmail、Google Map、Webブラウザなどの標準アプリに加え、ソニー独自のW.ミュージックや、ビデオプレーヤー、フォトビューアなどを搭載する。IEEE 802.11a/b/g/nの無線LANや、Bluetooth(A2DP/AVRCP/OPP/HID)に対応する。プロセッサは「OMAP4 Coretex-A9」デュアルコア1.0GHzで、従来モデルよりなめらかな挙動を実現したという。
4型液晶は、広色域でx.v.colorに対応した「トリルミナスディスプレイ for mobile」を採用。トリルミナス対応のビデオカメラやデジタルカメラで撮影した映像/写真を鮮やかに表示できる。また、液晶が1枚のガラス板のように見える「オプティコントラストパネル」とし、コントラスト感や高級感を高めている。
機能面の特長としては、NFCリーダ/ライター機能を搭載。NFC対応スピーカーとワンタッチするだけで、Bluetoothのペアリングから接続までを一気に設定できる。切断もワンタッチで行なえる。
ビデオプレーヤーも搭載し、対応ビデオ形式は、MPEG-4 AVC/H.264(High/Main/Baseline Profile)、MPEG-4(.mp4、.m4v)とWMV。1,920×1,080ドット、20Mbpsまでサポートする。写真はJPEGに対応する。
定額制音楽配信の「Music Unlimited」アプリや、音楽配信「mora」、電子書籍の「Reader」などのアプリを搭載。DLNAやDTCP-IPもサポートする。FMラジオやモノラルスピーカーも搭載している。ただし、F800シリーズで搭載していたレトロ ウォークマン風のスキンを使った操作アプリ「ウォークマンクラシックス アプリケーション」は省略された。
パソコンからの楽曲転送はドラッグ&ドロップに対応するほか、アプリケーションとして「Media Go Ver.2.5」を本体内に内蔵する。従来のx-アプリからMedia Goに統一される形となる。Media Goでは、24bit/192kHzのハイレゾファイルの楽曲管理などが可能で、FLAC形式でのリッピングも行なえる。
バッテリ駆動時間は音楽再生時で35時間(NC OFF)。ビデオ再生時(NC OFF)は約5時間、Bluetooth利用時は約5時間。外形寸法は116.6×59.9×8.5mm(縦×横×厚み)、重量は約103g。付属品はUSBケーブルやEXヘッドフォン、イヤーピース(S/M/L)など。
アクセサリとして、ソフトケース「CKS-NWF880」(実売3,000円)や、シリコンケース「CKM-NWF880」(実売2,300円)、クリアケース「CKH-NWF880」(同約2,500円前後)などが同時に発売される。