ミニレビュー

世界初“骨伝導”完全ワイヤレス「earsopen PEACE」、最新試作機を聴いた

耳を塞がずに音楽を聴ける骨伝導イヤフォンを手掛けるBoCoは、世界初となる、完全ワイヤレスの骨伝導イヤフォン「earsopen PEACE」の製品化に向けたクラウドファンディングを、GREEN FUNDINGで11月21日23時59分まで実施中。目標金額は100万円だが、11月6日16時現在、1億2,086万2,455円と大きく上回る支援額を集めており、これは国内のクラウドファンディング最高額に迫るものだという。

完全ワイヤレスの骨伝導イヤフォン「earsopen PEACE」音楽再生用モデル「TW-1」の試作機。製品版とはデザインが異なる

音楽再生用モデル「TW-1」の一般販売価格は28,380円(税込)の予定だが、支援プランでは44% OFFの15,800円(税込)のプランなどを用意している。製品の配送時期は12月上旬の予定。

11月2日、3日に中野サンプラザで開催された「秋のヘッドフォン祭 2019」でも参考展示されるなど、支援者以外からも注目が集まっている。その最新試作機を聴いたので、音質インプレッションをお届けする。

詳細は既報の通り。耳を塞がないため、「究極のながら聴き」が可能になるという完全ワイヤレスの骨伝導イヤフォン。筐体は「i」型で、耳を挟むように装着。世界最小の骨伝導デバイスを、最も骨伝導の能力を発揮するという耳介の内側後方に装着できる。

デバイスホールド部とアーム部の設計を最適化。進化した振動デバイスやハウジング技術も組み合わせる事で、従来の骨伝導イヤフォンでは難しかった量感と中低音域を表現したという。さらにIPX7等級の防水設計であるため、ランニングなどでも利用可能という。

通信方式はBluetooth Ver5.0、プロファイルはA2DP、AVRCP、HFP、HSP、SPPに対応。充電は専用クレードルで行なう。通話用マイクも装備。動作時間は4時間、充電時間は1時間。外形寸法は36×27×15mm。重量は左右セットで15g。

充電は専用クレードルで行なう

ラインナップとして有線タイプの「WR-6」や、収音用のマイクを備えた、聴覚補助向けの「TWHA-1」も用意する。

装着してみる

最新の試作機を装着してみた。最も気になるのは“落ちやすいのではないか?”という点だが、実際に装着してみると、ホールド力が非常に高く、ブンブンと首を強く降ってもまったく落ちない。落ちないどころか、ホールドしたポイントからまったくズレない。耳穴に挿入してホールドする通常の完全ワイヤレスイヤフォンよりも、装着安定感があり、落下の不安を感じない。

こう書くと、ものすごく強い力で耳を挟むように固定しているのではないかと思ってしまうが、耳は痛くない。というのも、earsopen PEACEのアームは耳を洗濯バサミのように挟んでいるわけではないのだ。

アーム部分は耳から浮いており、を挟んでいるわけではない

振動デバイス部分は耳穴の入り口あたりのくぼみに固定。そこからアームが丸く伸びており、耳の裏に配置されるバッテリーなどを搭載した本体へと繋がっている。アームの力で、振動デバイスを耳穴入り口のくぼみに押し当て、しっかりと押し付けられるように、裏側から本体で支えているようなイメージだ。クリップのようなもので耳たぶや、耳の端を挟んでいるわけではないので、まったく痛くない。

この固定力の強さは、高音質にも貢献している。骨伝導イヤフォンは、振動デバイスが耳の近くの、体のどこに当たるかで聴こえ方が変化する。earsopen PEACEの場合は、音が伝わりやすい耳穴の入り口に、しっかりと固定できるため、振動デバイスが当たる位置が徐々にズレていって、聴こえる音が変わってくるという事がほとんどない。安定した音質が楽しめる。

そのため、骨伝導では出にくい中低域の豊かな量感も聴き取れる。地鳴りのような低音はさすがに無理だが、低音から高音までバランスの良い、自然なサウンドが音楽再生用モデル「TW-1」の特徴だ。その自然なサウンドを楽しみながら、外の音も聴き取れるのが面白い。

装着して音楽やラジオを流したままでも、アナウンスやチャイム、電話などに気付けるため、長時間の使用にも適した製品だが、この装着安定性の高さは長時間使用にマッチする。また、低音がぜんぜん出なかったり、高域がキツすぎるサウンドでは、聴き疲れしてしまうが、TW-1はサウンドが自然なので、聴きながらのストレスも少なそうだ。

なお、今回試聴したのは試作品で、今後音質はさらにブラッシュアップする予定だそうだ。

山崎健太郎