ミニレビュー
ソニー「WF-1000XM5」さっそく聴いてみた。前モデルやAirPods ProとNC対決
2023年7月25日 10:05
ソニーの完全ワイヤレスイヤフォンのフラッグシップモデル「WF-1000XM4」の後継機で、世界最高ノイズキャンセリングを謳う「WF-1000XM5」が発表された。ノイズキャンセル性能の強化に加え、新開発の8.4mm径「ダイナミックドライバーX」搭載による音質の強化、イヤフォン自体のスリム化などによる装着性の改善など、全方面的に進化している。短時間ながら実機に触れることができたので、試聴した感想などをファーストインプレッションとしてお届けする。
WF-1000XM5の詳細は別記事で掲載しているが、WF-1000XM5の特徴を簡単にまとめると次のとおりとなる。
- デュアルプロセッサー&複数マイクでノイズキャンセリング性能向上
- 異素材を組み合わせた振動板採用の「ダイナミックドライバーX」初搭載
- 装着性と機能性を追求した新デザインの小型ボディ
- 発売時点でマルチポイント接続に対応
- LDACや圧縮音源をハイレゾ相当に変換する「DSEE Extreme」対応
- 360 Reality Audio認定モデル
- 付属イヤーピースの形状変更とSSサイズ追加
よりスリムになったイヤフォンと充電ケース
WF-1000XM5とWF-1000XM4を見比べると、まずそのサイズの違いに驚かされる。WF-1000XM4のケースは、手のひらに収まるサイズではあるものの、少し大柄でぽってりとした印象があった。しかし、WF-1000XM5のケースは、体積で約15%、重さで約5%のスリム化が果たされており、かなりスマートな印象になっている。丸みを帯びたデザインも相まって、シャツの胸ポケットやパンツのポケットに入れても、あまり飛び出しが気にならないだろう。
ケース同様に、イヤフォンもよりスリムなデザインに進化している。前モデルは“豆”のような丸いフォルムが特徴的だったが、フットプリントが大きく、耳に接地する面積も広いため、長時間装着していると痛みなどストレスを感じることも多かった。新モデルのWF-1000XM5ではフットプリントが小さくなり、耳と触れる部分が少なくなったため、装着時の圧迫感は少なく感じられた。また耳からの飛び出しも少なくなってるので、より安定感も感じられた。
ノイズキャンセルは全帯域で強化
続いてはデュアルプロセッサーと複数マイクの搭載によって性能が向上したというノイズキャンセリングについてチェックしてみた。今回は地下鉄の中のような、「ゴーッ」という騒音がスピーカーから大音量で流れている環境で、WF-1000XM4とWF-1000XM5のどちらが、ノイズを低減できるかを比較してみた。
WF-1000XM4は、完全ワイヤレスイヤフォン市場ではトップクラスのノイズキャンセリング性能を持っているが、WF-1000XM5では、さらに騒音が低減される。WF-1000XM4は「コーッ」という低域と高域が混じったようなノイズが残るのに対し、WF-1000XM5は騒音の低音から高音までまんべんなくキャンセルされているイメージで「サーッ」という高音域のノイズが少し残っているような印象だった。
同じ騒音下で筆者私物のアップル「AirPods Pro(第2世代)」を装着してみると、騒音のうち低音~中音は完全にカットされて聞こえなくなるものの、「サーッ」という高音成分は強めに残って耳に届く。
ふたたびWF-1000XM5に切り替えてみると、AirPods Proよりは低音成分のキャンセル量は少なく感じられるものの、高音成分についてはAirPods Proよりもしっかりとキャンセルされていて、やはり全帯域のノイズがまんべんなくキャンセルされている印象だった。
またWF-1000XM5は、WF-1000XM4同様にノイズキャンセルをONにしていても、耳が詰まったような圧迫感・閉塞感はほとんど感じられなかった。
音を聴いてみる
ソニーのストリーミング対応ウォークマン「NW-A300」シリーズとペアリングして「上白石萌音/君は薔薇より美しい」や「エド・シーラン/Bad Habits」を聴いてみた。
前モデルのWF-1000XM4は、モニターライク・ピュアオーディオライクなバランスの良いサウンドが特徴。新しく発売となるWF-1000XM5も、その傾向は変わらないものの、例えば「上白石萌音/君は薔薇より美しい」では、ボーカルの抜けが良くなり、上白石の声がスーッと伸びるようで心地いい。またバックバンドのサウンドも含め、ベールが1~2枚取れて、より解像感の高い、クリアなサウンドに感じられた。
この解像感の高さ、見通しの良さは「エド・シーラン/Bad Habits」でも変わらず、エド・シーランのボーカルが広い空間にスッと溶けるように伸びていく。
同じ楽曲をWF-1000XM4で聴き比べると、音像が少し近く感じられ、窮屈な印象を感じてしまった。また、それでいて低域の沈み込みもWF-1000XM5のほうが一段上で、Bad Habitsのようなビートが心地良い楽曲も、より楽しめる印象だった。
またWF-1000XM4の特徴でもあった、音が出ていないときの音場の静けさや、音が出てくるときのトランジェントの良さなど、基本的な再生能力の高さは、WF-1000XM5にもしっかりと受け継がれているように感じられた。
ちなみに、WF-1000XM4ではイヤフォンの起動時に電池残量やペアリング状態などが音声でアナウンスされていたが、WF-1000XM5では音声ではなく電子音のみで状況を知らせてくれる。