レビュー

我が家の生活必需品になったスマートスピーカー。生活が楽しく変わる

 2017年後半になって各社から製品が発売され、国内の市場が一気に立ち上がった感のあるスマートスピーカー。テレビCMなどを含め、その話題を目にしない日はないくらいの盛り上がりだ。筆者もGoogle HomeとAmazon Echoを導入し、我が家ではすっかりスマートスピーカーがなくてはならない存在になっている。

 しかし、テレビのように機能がわかりやすい家電製品に対し、新ジャンルのスマートスピーカーは、スペックだけでは何ができるかが伝わりにくい。最近では家電量販店でもスマートスピーカーの体験コーナーが用意されてはいるものの、「自分の家で使ったらどうなるか」という体験はなかなか難しいだろう。

 今回は発売日からスマートスピーカーを愛用している筆者が、「導入して生活がどう変わったか」という体験を主軸にして、スマートスピーカーの使用感をレポートしてみたい。


    【スマートスピーカー活用例】
  • テレビの電源をON/OFF(Google Home+Chromecast)
  • テレビのチャンネル切り替え(Google Home+Nature Remo)
  • 音声で照明OFF(Amazon Echo Plus+Hue)
  • エアコンのON/OFFや温度変更を音声で(Nature Remo)
  • 家族ごとに違った音楽が聴ける(Google Home+Google Play Music)
  • 音声でタイマー(Google Home&Amazon Echo Plus)
  • 音声メモ(Google Home&Amazon Echo Plus+IFFTT)
  • 天気予報

Chromecastとの組み合わせでテレビの電源を音声でオンオフ

 スマートスピーカーの導入で我が家が最も変わったのはテレビの視聴スタイルだ。これまでテレビで番組を視聴するには当然のようにリモコン操作が必須だったが、Google HomeとChromecastを連携させることで、音声でテレビを点けたり消したりできるようになった。

Google HomeとChromecastの組み合わせでテレビのオンオフが可能

 すでにChromecastが利用できる環境であれば、Google Homeの初期設定以外に特別な設定は必要なく、「OK Google テレビをつけて」「OK Google テレビを消して」と発声するだけでコントロールが可能だ。Google Homeのヘルプには「オンにして」とあるが、実際には「つけて」「消して」でコントロールできる。なお、同様の機能はAmazon EchoとFire TVにもあるのだが、1月31日現在利用できるのは海外のみで、日本ではまだこの連携機能は提供されていない。

Google HomeとChromecastでテレビをオンにしたところ

 Google Home導入前、Chromecast単体で利用していた時は、ChromecastへコンテンツをキャストするとHDMI入力が自動でChromecastに切り替わり、コンテンツが再生されていた。そのため、テレビの電源を入れる時もHDMI入力がChromecastに切り替わってしまう、と勝手に思い込んでいたのだが、実際の挙動は最後に見ていた画面が表示される。つまりテレビリモコンの電源オンと挙動は変わらない。出かける時にリモコンを探さずにさっと電源を消したり、起床時に布団の中からテレビをつけられるのは非常に便利だ。

Nature Remoの導入でチャンネルの切り替えも音声で操作

 しかし人間欲が出るもので、テレビを電源オンオフだけでは物足りなくなってしまい、「やはりチャンネルも音声で切り替えたい」と考えて導入したのが、Nature Japanの「Nature Remo」だ。これは無線LANと赤外線を搭載したリモコンデバイスで、テレビやエアコンといった赤外線でリモコン操作できる機器をスマートフォンからコントロールできる製品だ。このNature Remoとスマートスピーカーを連携させることで、テレビのチャンネルを音声で切り替えることが可能になる。

Nature Remo

 Nature Remoの仕様や細かな設定は別記事を参照して欲しいが、電源だけでなくチャンネルも音声できりかえられる便利さは一度体験するとやめられない。元々テレビのリモコンで操作するのは電源のオンオフとチャンネル変更程度で、ゲーム機は起動すればHDMI CECで自動的に画面が切り替わるし、ボリュームも普段ほとんど変更することがないため、電源オンオフとチャンネルを音声で切り替えられるようになった最近ではほとんどテレビリモコンを使わなくなっている。

 なお、Nature RemoはAmazon Echoにも対応しており、テレビの電源オンオフやチャンネル変更を音声でコントロールできる。電源オンオフなら今後の提供が期待されるFire TV連携でも実現できるが、チャンネルも音声で変更したいのであれば今のうちにNature Remoを購入しておくのもよいだろう。

音声操作ができて気がつく「リモコン操作」のわずらわしさ

 テレビの視聴スタイルもGoogle Homeで大きく変わった。我が家ではテレビをつけっぱなしにしていることが多く、あまりに興味がない番組だったり、他の番組が見たいという強い意識がない限り、リモコンを手に取ってチャンネルを変えるという行動に至らず、そのまま同じチャンネルを見続けていることが多かった。

 これがGoogle Homeを導入して以降、「他のチャンネルでは何をやっているかな」と気軽にザッピングするようになった。声でチャンネル名を発するだけで切り替えられるようになってみると、「リモコンを探して手に取り、ボタンを押す」という一連の流れが簡単に見えて地味に面倒だったのだな、と気づかされる。

すっかり家で出番の無くなったテレビのリモコン

 また、我が家は起床時にテレビのタイマーを設定しておき、テレビがつくことが目覚まし代わりになるという使い方をしているのだが(余談ながらその時に映るのはフジテレビの「めざましテレビ」)、我が家のテレビは1時間何も操作しないとそのままテレビが消えてしまう仕様になっている。

 休みの日などに目は覚めているのだが布団からは出たくない、けれどテレビも見ていたいという時に、今まではリモコンで1時間以内に何らかの操作する必要があったのだが、Google Homeを使えば布団の中からテレビを操作できるし、万が一消えてしまってもすぐに音声でテレビをつけられる。布団から出てリモコンを使えばいいだけの話なのだが、起床時に布団から出なくてすむという幸せは何者にも代えがたい。

 テレビ視聴中もGoogle Homeは大いに活躍している。ドラマやバラエティを見ている時など、「この人は芸歴が長いけど年齢はどれくらいなんだろう」といったちょっとした疑問を投げかけると、Google Homeが簡単に答えてくれる。まるでリビングで雑学に長けた友達とテレビを見ているような感覚だ。

 また、音楽番組などで気になるアーティストがいた場合、録画を止めて過去の楽曲をYouTubeで楽しむ、といったザッピングにも活用している。HDMI CECのおかげでテレビ番組からYouTubeに移行するのも自動で切り替わるし、Nature Remoを使えばテレビに戻るのも音声操作だけでいい。リモコン操作から解放されたテレビの視聴スタイルは、我が家では想像以上の便利さだった。

音声操作で「布団から出て照明をオフ」の面倒から解放

 利用頻度が高いながら娯楽の範疇であるテレビに対し、生活の中で実際に役に立っているのが照明のコントロールだ。我が家ではスマートハブ機能を搭載した「Amazon Echo Plus」とフィリップスのスマート電球「Hue」を組み合わせて、寝室の間接照明を音声でコントロールできるようにしている。

 家の照明そのものではなくあくまで間接照明のコントロールでしかないのだが、自宅にいる時間はほぼリビングで過ごしており、寝室もリビングの照明で十分なことに加え、寝室の照明は就寝時にしか使っていなかったこともあり、間接照明くらいの明るさでも寝室での役割は十分に果たしている。

Amazon Echo PlusからHueを音声でコントロール

 今までは寝室の電気を消すために布団から立ち上がって壁のボタンを押す必要があったのが、布団の中に入ったまま「Alexa、電気を消して」というだけで照明を消すことができる便利さは、一度体験するとやめられない(欲を言えばAlexaは電気を消してから「ハイ」と答えるのだが、すでに消えているなら返事はいらないし、返事するなら消える前に答えてくれないか、とは思う)。

 なお、Hueには「Hueブリッジ」という中継機能を備えた周辺機器が用意されており、このHueブリッジを導入すればスマートハブ機能のないEcho/Echo Dotはもちろん、Google Homeでも照明のコントロールが可能だ。また、IKEAでも「TRÅDFRI」というスマート電球を販売しており、こちらはHueよりもやや安価な上にHueブリッジとも接続できる。しかし、残念ながらEcho PlusとTRÅDFRIは直接接続できないようで、今さらHueブリッジを改めて導入すべきか悩んでいるところだ。

導入済みの照明コントロールにも挑戦するが悪戦苦闘中

 寝室の照明コントロールは十分に満足していたのだが、ここでも筆者の欲が出てしまい、どうせならリビングの照明も音声でコントロールしたくなってきた。しかしリビングは間接照明だけでは光量が足りないし、かといって全部で6つもあるリビングの電球を全部Hueにするのはさすがに効率が悪い。何かいいアイディアがないかと探したのが、Naranの「マイクロボットプッシュ」だ。

マイクロボットプッシュ

 このマイクロボットプッシュはスマートフォン連携機能を備えたボタンで、照明などのスイッチを物理的に押してくれるというシンプルなIoTデバイスだ。ボタンに粘着テープをつけることで、ボタンを押すだけでなく粘着テープでボタンを引っ張り上げることもできる。また、Hueのようなスマートハブデバイスとして提供されている「プロタ S」というデバイスを導入することで、IFTTTを通じてスマートスピーカーから音声でマイクロボットプッシュをコントロールできるのだ。

プロタ S
Micro USBで給電。その他機器との連携用としてMicro USBやMicro HDMIも備える
iPhone 7 Plusとのサイズ比較

 手順としては先にプロタ Sの対応アプリ「Prota Space」からプロタ Sを自宅の無線LANに接続し、その後プロタ Sをアクティベーションする。続いてプロタ Sとマイクロボットプッシュをペアリングし、プロタ SのアプリにIFTTT連携機能を追加。最後にIFTTTからスマートスピーカーとマイクロボットプッシュを操作できるよう設定する、というのが一連の流れだ。

Prota Spaceからプロタ Sを選択→画面の指示に従ってプロタSをネットワークに接続してアクティベーション→画面右上のアイコンからマイクロボットプッシュを登録

 基本的にはアプリの指示に従っていけばいいだけなのだが、日本語が翻訳調でわかりにくいことに加え、無線LANの接続やアクティベーションが非常に不安定なため、何度も設定をやり直す必要があった。Webでプロタ Sの情報をいろいろと調べると他にもうまく動作しないとの声がいくつも見られており、そもそもが不安定なデバイスではあるようだ。無線LANの設定やアクティベーションは焦らずしばらく放置してから様子を見ることをお勧めする。

 また、IFTTTはプロタ Sのアプリと連携するために、ブラウザではなくアプリから行う必要があるようだ。IFTTTアプリから「this」にスマートスピーカーを設定し、「that」にはプロタ Sではなくマイクロボットプッシュを指定、マイクロボットプッシュの動作や、マイクロボットプッシュが複数ある場合はどの端末を操作するのかを指定する。

IFTTTの「that」に「Microbot Push for Prota」を登録
プロタ SにIFTTT連携機能をインストール
MicroBot Push for Protaを選択
ボタンの動作を選択。「Press」は押してから指定した秒数後に戻る動作

 マイクロボットプッシュは「押す」「引く(押した状態から戻る)」「押して引く」「トグル(押した状態なら引く、引いた状態なら押す)」という4つの動作が可能になっており、前述の通り、両面テープを使って照明のスイッチと固定すれば、電気を消すだけでなくつけるという操作も可能だ(Naranのサポートサイトにも同様の説明がある)。我が家では音声で照明を消すところまで成功したので、今後は両面テープを使った照明のオンオフ両方のコントロールに挑戦しようと考えている。

 なお、マイクロボットプッシュは内蔵バッテリーで動作するが、充電するためのMicro USBは本体の底面にあるため、ボタンに設置した状態で同時に給電するのは難しい。スマートフォンアプリから操作する場合は常にバッテリー状態が確認できるのだが、音声ばかりで使っているとバッテリー状態を確認することができないため、いざというときにバッテリー切れで使えないということがないよう、時々アプリでバッテリーを確認しておくといい。

マイクロボットプッシュの充電は底面のMicro USBで行なう
壁への取り付けイメージ。後で取り外しできるが壁に設置した状態で充電はできない
マイクロボットプッシュをプロタ S経由でGoogle Homeからコントロール

エアコンのオンオフや温度変更も音声で操作

 Nature Remoの赤外線機能は、テレビだけでなくエアコンもコントロールできる。というより、Nature RemoのWebサイトを見る限り、エアコンのコントロールこそがNature Remoにとってメインの利用シーンのようだ。

 テレビの場合はチャンネルや音量といったボタンを1つ1つ設定する必要があるのだが、エアコンの場合は対応機種であれば自動的に機能が設定される。我が家のエアコンの場合は電源オンオフに加えて設定温度や風量、運転モードの切り替えが可能になっており、これもスマートスピーカーと組み合わせることでエアコンの電源を入れたり、温度を調整するといった操作を音声で行える。

Nature Remoを使えばエアコンも音声でコントロールできる

 なお、我が家ではリビングと寝室に2台のエアコンが設置されており、普段はリビングのエアコンをメインに使用しているのだが、寝室側のエアコンは設定温度なども取得できたのに対し、リビングのエアコンは対応エアコンとして認識されなかったため、テレビのように電源のオンオフなどを自分で作成する必要があり、温度のコントロールなどは利用できない。とはいえ、温度をこまめに変更することはあまりないので、音声でエアコンをオンオフできるだけでも十分に役に立っている。

リビングのエアコンは電源オンオフのみを登録

 音声操作ではないものの、Nature Remoを導入するとインターネットを介してエアコンを操作できるため、外出先からでもエアコンの操作が可能だ。この時期になると家に帰る前に暖房を入れておきたい、という時にも重宝する。余談かつあまり外出先でやる意味はないかもしれないが、AndroidのGoogle アシスタント機能を使えば外出先からスマートフォンを使って音声でエアコンをオンにする、ということも一応は可能だ。

家族ごと違った音楽がかかるGoogle Home

 家電連携が魅力的なスマートスピーカーだが、単体でも十分に魅力的な機能を備えている。各社がそれぞれ力を入れている音楽配信サービスだが、我が家ではGoogle Play Musicを契約してGoogle Homeで音楽を楽しんでいる。

 Google Play Musicを選んだ理由は、「もともと契約していたから」だけなのだが、面白いのが発声する人によって流れてくる音楽が変わること。我が家の場合、Google Play Musicは自分のほかに5人まで再生できるファミリープランを契約、Google Homeにも家族のアカウントをそれぞれ登録しているのだが、同じ「音楽をかけて」でも人によって流れてくる音楽が違うのだ。

 筆者の場合、'80年代や'70年代といった懐メロ系の音楽を好んで聴いており、Google Homeでもこの手の音楽が自動的にかかるのだが、ある日家族がGoogle Homeで聴いている音楽が、明らかに自分では聴かないような曲ばかりだと気がついた。Google Homeは複数のGoogleアカウントを設定でき、話者認識機能も備えているためこういう機能が実現できるのだろう。現在のところ複数アカウントの設定と話者認識を備えているのはGoogle Homeのみのため、家族など複数人で音楽を使い分けたい、というユーザーにとっては隠れた差別化要因と言える。

 本稿のようなレビュー原稿を書くときは自宅で作業することが多いのだが、テレビを見ながらだと気が散ってしまうし、かといって音がまったくないのも味気ない。カフェのような感覚で知らないBGMを適当に流してくれるスマートスピーカーは、自宅作業では陰ながらも作業の雰囲気を整えてくれる良き相棒として活躍している。

音声で操作できるタイマーは料理中に便利

 スマートスピーカーで最もよく使われている機能ではないかと思われるタイマー機能も、我が家では愛用している。特に便利なのが料理するとき。食べ物を触っている手でスマートフォンには触れたくなかったり、そもそも料理中にタイマーを操作するのが面倒な時も「3分でタイマー」と発声するだけで測ってくれるのは非常に便利だ。

 なお、Google Homeは複数のタイマーを同時に設定できるのだが、なぜか複数タイマー設定時は音声の認識精度が下がるようだ。「鍋のタイマーをスタート」と発声すると設定したい時間を聞かれるのだが、10回以上「15分」と発声しても一度も認識されず、諦めて「タイマー15分スタート」というとすんなり設定された経験から、今はスマートスピーカーそのものが複数あるメリットを利用して、Google HomeとAlexaで2つのタイマーをかけるようにしている。

 スマートスピーカーはタイマーだけでなくアラームも搭載しているのだが、こちらはあまり活用できていない。これは好みの問題だが、スマートスピーカーのアラーム音がどうにも合わず、音が鳴っていてもアラームときがつけないためだ。Amazon Echoはアラーム音を変更でき、一般的なアラーム音も用意されているのだが、音声で操作するスピーカーから「ピピピピピ」というアラーム音が流れるのも違和感があり、結局のところ未だに携帯電話のタイマーを活用している。

 なお、Amazon Echoにはアラームの音として「セレブリティ音声」という機能が提供されており、現在はAmazonプライム・ビデオの自動車番組「グランド・ツアー」の音声が提供されている。これは非常に面白い機能で、日本でもぜひ俳優や声優によるオリジナル音声の目覚まし機能を提供して欲しい。声優人気の高い日本なら有料課金でも利用したいユーザーは多そうだ。

Amazon Echoのアラーム音に用意されている「セレブリティ音声」

つい面倒で忘れてしまいがちなメモも音声なら簡単に記録

 地味ながらも便利な機能がリスト機能。ふと思いついたアイディアや買わなければいけない備品などは本来こまめにメモしておくべきなのだが、ついつい面倒で忘れてしまいがち。その点、スマートスピーカーなら気がついたときに声を出すだけでいいので、作業中でも簡単にメモを保存できる。

 Google Homeの場合、「OK Google ショッピングリストに〇〇を追加」と発声すると、Googleのショッピングリストにアイテムが追加される。ショッピングリストはブラウザでアクセスするシンプルな仕様だが、Googleアカウントごとにショッピングリストを分けられるし、逆にショッピングリストを共有しておいて家族共有のリストを作ることもできるので、買い物リストにはこの共有機能が便利だ。

Google ショッピングリスト

 名称こそショッピングリストだが、機能としてはシンプルなToDoリストなので、ショッピングではなく自分のToDoリストとして活用しても便利。ただし、ショッピングリストは複数作成できるものの、音声で登録できるのはメインとして登録したリスト1つのみ。これが複数のショッピングリストをそれぞれ指定して登録できると便利なのだが、今後の機能拡充に期待したい。

 Amazon Echoの場合、「買い物リスト」「やることリスト」の2種類が最初から用意されており、「Alexa 買い物リストに〇〇を追加して」と発声するとリストに登録できる。ただし、こちらはGoogleと違って複数のアカウントでリストを共有することはできないので、あくまで個人のリストに留まる。

 一方、Google HomeもToDoリストは機能として用意されているようだが、「OK Google やることリストに〇〇を追加して」と発声すると「すみません、ToDoリストにはまだ対応していません」という回答が返ってきてしまい、日本ではまだ機能が提供されていないようだ。

Amazon Echoのリスト機能

 IFTTTを組み合わせれば他社のタスク管理サービスと連携させることも可能。我が家ではTrelloを連携させて音声でタスクを登録できるような環境を整えている。タスク管理サービスとの連携動作はGoogle HomeとAmazon Echoで異なり、Google Homeは任意のキーワードを登録できるのに対し、Amazon Echoは公式の買い物リストとやることリストの内容を他のサービスにもコピーする、という使い方になる点が違いだ。

 Google HomeでTrelloとIFTTTを使って連携する場合は、「this」でGoogle Assistantを検索し、「Say a phrase with a text ingredient」を選択。「What do you want to say?」に発声するテンプレートと、登録したいキーワードを「$」で設定する。「やることリスト」というテンプレートは前述の通りToDoリストと重複してしまうため、我が家では「やること $ を追加して」と設定、「やること 大掃除 を追加して」と発声すると「大掃除」がTrelloに登録される、という仕組みだ。

Google HomeとTrelloの連携サンプル

 Amazon Echoの場合は、「Item added to your To Do List」とTrelloをIFTTTで連携すると、ToDoリストの内容がTrelloにもコピーされる。同様に「Item added to your Shopping List」を連携すれば、ショッピングリストの内容をTrelloにコピーできる。

Amazon EchoはToDoリストの内容をコピー

「今雨が降っている」がわかる天気予報。家の中のスマートフォン捜索も

 音声検索機能は、結果も音声で返ってくるため内容をその場で記憶する必要があり、正直なところあまり活用できていない。検索結果はスマートフォンのアプリから確認できるのだが、スマートスピーカーを操作した履歴がすべて表示されるため、該当の検索結果を探すのも手間だ。指定した検索結果をスマートフォンへ個別に送る、というオプションもあればより便利に使えそうだ。

 一方で便利なのが天気予報で、天気や気温はもちろん、雨の時はいま雨が降っているいるかどうかを教えてくれるため、「家の外に出てみたら雨が降っていた」という事態を回避できている。

「今雨が降っているか」を確認

 自宅内でスマートフォンがどこかにいってしまった、というときにもスマートスピーカーは便利。Google Homeなら「OK Google スマートフォンを探して」と発声すると、スマートフォンが仮想の着信を受けて着信音が鳴り、場所を特定することができる。家の中でついついスマートフォンを見失ってしまう人には地味に嬉しい機能だろう。これも話者特定により、家族それぞれのスマートフォンを特定することが可能だ。

 iOSやAmazon Echoを使う場合は、IFTTTに用意されている「VoIP Calls」を組み合わせることで、音声で呼びかけるとスマートフォンが鳴る、という設定が用意されている。また、Alexaの場合、紛失防止デバイス「TrackR」のAmazon Alexaスキルとして同様の機能が提供されているため、Amazon Echoユーザーはこの機能を使うのもいいだろう。

IFTTTアプリをインストールした端末を慣らすことができる

PS4の音声機能もスマートスピーカー的に活用

 スマートスピーカーではないので余談だが、音声操作できることがあまり周知されていないけれど、我が家で活躍しているのがプレイステーション 4(PS4)だ。周辺機器の「PlayStation Camera」を組み合わせることで、音声でPS4をコントロールできる。

 操作は他のスマートスピーカー同様「プレイステーション」と呼ぶと音声の待機状態になる。操作できる機能は画面に表示されるため、フレーズを覚えなくて済むのはありがたい。

「プレイステーション」で音声操作をスタート
読み上げるメッセージは画面に表示される

 「電源を始める」というフレーズなど日本語に違和感はあるものの、音声でスタンバイにできるのは嬉しい一方で、逆に電源をオンにはできないのが物足りない。また、操作できるのはメニューの遷移程度で、ゲームやアプリは音声でコントロールできない。個人的にはnasneの音声コントロール機能が欲しい。

音声操作で電源をスタンバイ状態にできる
電源スタンバイ中

自分で機能を作り出せるという楽しさ

 元々は簡単に自宅でのスマートスピーカー使用方法を紹介、という依頼だった本記事だが、書いているうちにどんどん長くなってしまった。これでもスマートスピーカーが持つ機能の一部でしかなく、細かな機能や使い方を書いていくとこの分量でも収まらないというのが正直なところだ。

 スマートスピーカーの面白さは、自分で機能を作り出せるカスタマイズ性だ。周辺機器を購入するなど費用もかかるが、「この機能とこの製品を組み合わせたらこんなことができないだろうか」とアイディアを考えていろいろ試行錯誤するのが楽しい。最近はすっかり新しいガジェットに心躍らなくなっていたのだが、スマートスピーカーは自分で使い方を考えられる楽しさに加え、音声で家電を操作できるという新しい体験にすっかり見せられてしまった。

 「音声操作は恥ずかしい」、という声もよく聞くが、自宅というプライベートな環境で声を出すのはさほど抵抗はない。歴史を振り返れば、電話の登場時は目の前にいない人に話しかけるのは恥ずかしい、携帯電話は外で電話するのが恥ずかしい、という声もあったかもしれないが、現在はこれだけ当たり前のように使われている。便利さと「みんなが使っている」という安心感により、「恥ずかしい」の谷を当たり前のように超えていくのではないだろうか。

 とはいえ、「いちいちどんな使い方をするのか考えるのは面倒」、という人が普通だろう。そんな人でも、今回のレビューで「こんな使い方ができるのか」という気づきが提供できるようなら嬉しい。店頭で試用するのと自宅で実際に使うのでは体験も段違いなため、気になる人はスマートスピーカーを活用している知人の家へ遊びに行って試すのもいいだろう。

 最後に、よく「EchoとGoogle Homeどっちがいいの?」と聞かれることがあるが、正直なところ現状ではどちらを選んでも大きな違いはない。家電のコントロールもNature Remoが両方に対応したのでテレビもエアコンも操作できるし、細かな点で違いはあるものの、おおむね同じような機能が搭載されている。音声認識の精度は現状のところGoogle Homeのほうが上だが、これも今後のアップデートで改善される可能性もある。現状は各社の陣取り合戦とばかりに割引キャンペーンも定期的に実施されているので、興味があればまずはスマートスピーカーを試してみることをお勧めしたい。

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甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、DTCP-IP周りのネット連携や動画配信サービスなどが興味分野。ライター以外にもネット家電ベンチャー「Cerevo」スタッフとして活動中。個人ブログは「カイ士伝」)