レビュー

小型サウンドバーでゲームやスマホを高音質化! 4,000円以下でも侮れない実力

新しい生活様式を求められるようになった2020年、テレワークの推進や不要不急の外出自粛などにより、自宅で過ごす時間が増えている。その“おうち時間”を充実させるために、自宅の視聴環境をアップデートしたいと思っている人も多いはず。そこで、実売3,999円前後と手の届きやすいサウンドバー、TaoTronics「TT-SK028」を使って、“おうち時間の充実化”を実践してみた。

TaoTronicsは、2007年にアメリカで創業したサンバレーグループが展開しているオーディオ・家電ブランド。アメリカやヨーロッパ、アジアなどグローバルに展開しており、日本ではサンバレージャパンからワイヤレスイヤフォンやPC用スピーカーのほか、LEDライト、加湿器など、さまざまな製品を販売している。数千円のコンパクトなサウンドバーも従来から手掛けており、Amazon.co.jpなどでも人気になっている。

内容物一式

今回試用した「TT-SK028」は6月26日に発売されたサウンドバー。実売価格は4,000円以下ながら、3.5mmオーディオケーブルによる有線接続に加え、Bluetooth 5.0によるワイヤレス接続も可能だ。

さらに、デュアルスピーカー&デュアルパッシブラジエーターを搭載しながらも、外形寸法は420×73×60mm(幅×奥行き×高さ)、重さ760gと、設置しやすいコンパクトサイズが特徴。サウンドバーと聞くと、テレビの前に設置する横長のスタイルを連想する人が多いと思うが、パソコンのディスプレイとキーボードの間のスペースにも設置できてしまうほどコンパクトな製品だ。

PS4用コントローラーと比べても、このコンパクトさ

電源はUSB経由なので、PCなどのバスパワーでも駆動できる。巨大なACアダプタを設置しなくていいのは快適だ。逆にACアダプタは付属しないので、コンセントから給電したい時は別途アダプタを用意する必要がある。USBケーブルは本体直出しで、取り外しはできないものの、長さが約133cmあるので、取り回しに苦労することはないだろう。

27インチモニター前に設置したところ

今回はBluetooth経由で音楽を楽しみながら、ゲームや映画なども楽しめるよう、自室のゲーム用モニター前に設置した。モニターはLGの27型4Kモデル「27UL600-W」で、スピーカーは内蔵していないが、ステレオミニのヘッドフォン出力があるので、この出力とTT-SK028を接続した。

ディスプレイにUSBポートがあれば、そこから給電もできるはずだが、この27UL600-WにUSBポートはないため、自宅に余っていたiPhone用のアダプタ(Apple 5W USB電源アダプタ)を使用してコンセントに繋いでいる。

TT-SK028の横幅は27型モニターよりも短いため、見栄え的にも収まりがいい。先に紹介したように重さは760gと片手で持てるほどなので、設置に苦労することもなかった。実際に筐体に触れてみると、4,000円前後と安価な製品ながら、本体の縁取りなども丁寧で、筐体の仕上がりにも不満はない。

本体に備えられたボリュームノブ。電源を入れると青く光る

TT-SK028に電源スイッチはなく、USBケーブルを電源に接続すると起動する。電源をオフにしたい場合はUSBケーブルを抜く必要があるが、本機はポータブルデバイスではないため、基本的に電源は入れたままの運用になるだろう。本体向かって右側にはボリュームノブがあり、上下に回転させれば音量を調整できる。またノブを2度押し込むとBluetoothのオン/オフを操作でき、押し込み続ければペアリングモードが起動する。このあたりの操作はシンプルにまとめられている印象だ。

音を聴いてみる

まずは手持ちのiPhoneと接続してBluetooth経由で音楽を聴いてみた。対応しているBluetoothコーデックはSBCだけだが、サウンドのクオリティは必要十分。低音を売りにしているスピーカーや、サブウーファーがセットになった2.1chスピーカーと比べると、低域に物足りなさはあるが、高域の抜けは良く、「YOASOBI/夜に駆ける」のような女性ボーカル楽曲でも不自然な響きなどが乗ることはない。

なによりUSBバスパワーで動作するため、サウンドバー側のバッテリー残量を気にすることなく、いつでも端末側から音楽を再生できるのは、ポータブルBluetoothスピーカーでは味わえない快適さだ。

本体背面にAUX入出力ポートを装備

次はオーディオケーブルをつないだモニターで、PlayStation 4ソフト「Ghost of Tsushima」と「Call of Duty Modern Warfare(CoD MW)」をプレイしてみた。やはり、ホームシアターのような低音は得られないが、Ghost of Tsushimaのようなアクションゲームであれば音質に不満を感じることはない。1つ1つの音の分離も良好で、プレイ中のBGMはもちろん、キャラクターたちの会話も効果などに埋もれることなく、しっかりと聴き取れる。

普段ゲームをプレイする際は、2015年発売の「ワイヤレスサラウンドヘッドセット(CUHJ-15001)を使っているため、サウンドバーを使うと音場の広がりが気持ちよく感じられる。Ghost of Tsushimaでフィールドを駆ける際も、道案内がわりに吹く風の音がリアルで、ゲームの世界に没頭できた。またヘッドセットと違い、耳や頭に負担がかからない点も快適だった。

映画として2010年公開の「十三人の刺客」や、音楽ライブのBlu-rayも視聴してみたが、コンパクトなサイズながら、十分なサウンドが再生でき、特に大きな不満を感じることはなかった。

ただCoD MWのようなFPS(一人称シューティング)の場合、足音などから敵の位置などを把握するのは少し難しい。コンピューターを相手に戦うオフラインモードでは大きな不満を感じることはないが、音で敵の位置を知り、撃ち勝たなくてはならないオンラインの対人戦で勝ちたいという場合は、ゲーミングヘッドフォンなどを用意する方がいいだろう。

なお、別途、ヘッドフォンなどを使用したい場合は、TT-SK028背面にあるAUX出力ポートにケーブルを挿せばいい。ちなみに、AUX出力ポートにヘッドフォンや、ほかのアクティブスピーカーなどを接続すると、TT-SK028に入力された音源はすべて接続したヘッドフォンやスピーカー側で再生されるため、TT-SK028をBluetoothレシーバーのように使い、手持ちのスピーカーなどをワイヤレス化できる。少しトリッキーな使い方かもしれないが、便利な機能だ。AUX出力ポートに別の機器を接続した際も、音量はTT-SK028のボリュームノブで調整できた。

いつでも接続できるBluetoothスピーカーがあり、就寝前などのリラックスタイムやテレワーク中のBGMとして音楽を楽しめる生活は快適そのもの。1週間程度使ってみたが、もう元の環境には戻れないと思うほど快適だった。TT-SK028は設置もしやすく、なにより手の届きやすいリーズナブルさが魅力。リビングはもちろん、寝室などに手軽における1台と言えそうだ。

酒井隆文