第259回:[BD]BLOOD THE LAST VAMPIRE
いつの間にか実写化もされてた
デジタルアニメの先駆者、Blu-rayで復活
■ 3DCGが使われるアニメが増えた
BLOOD THE LAST VAMPIRE |
(C)2000 Production I.G/ANX・SCEI・IPA |
価格:5,040円 |
デジタル制作が当たり前となった最近のアニメを観ていて感じるのは、「3DCGの活用が増えたなぁ」という事。例えば、「攻殻機動隊」(S.A.C.)を観ていた2002年頃はまだ珍しく、2Dアニメの中の自動車や兵器、一部のキャラクター(タチコマ)などが3DCGで表現されると「おお、テレビアニメなのに積極的に3DCGが活用されている」と感激したり、2Dアニメ部分との質感の違いがちょっと気になったりしたものだ。
最近では「マクロスF」や「RIDEBACK」など、CGを積極的に使った作品も増加。特に美少女が生身でバイク型ロボに乗る「RIDEBACK」は、2Dキャラが写るシーンをコクピット内の閉鎖描写で乗り切ることができないので、“2Dと3Dの融合真っ向勝負”となり、非常に興味深く、美しい映像に仕上がっていた。
話題の「ヱヴァ新劇場版」も、ヱヴァや舞台となっている第3新東京市の兵装ビルなどは大半3DCG。パンツではない何かばかりに気をとられる「ストライクウィッチーズ」も敵のネウロイや艦船などは3DCG。「戦場のヴァルキュリア」は、原作ゲームと同様に手描きイラストの質感を実現するため、キャラの服や髪の影の部分に鉛筆で描いたような斜線のエフェクトを入れており、同じものを3DCGの戦車の暗部にも重ねることで、2Dと3Dを巧みに融合させている。もはやCGが使われていない作品の方が珍しいと言ってもいいかもしれない。
ただ、アニメらしい誇張された、カッコイイ動きを3DCGで表現するのは現在でも難しいようで、ガンダムのようなロボットアニメが全部3DCGになっているかと言うとそうではない。動きが直線的な戦車や軍艦などは3DCGで、巨大ロボの格闘は2Dでと“特性を活かした使い分け”が一般的。巨大ロボを大量生産の使い捨て兵器として描く「ボトムズ」が、新作の「ペールゼン・ファイルズ」でアーマード・トルーパーを3DCGで描いたのは象徴的な事例と言えるだろう。どうでもいいが、この勢いで「セーラー服と重戦車」とか「蒼海の世紀」とか「女皇の帝国」とかがTVアニメ化されないかと個人的には淡い期待を抱いている。
そんなデジタル制作、3DCG活用の流れの発端となったのが、今回取り上げる「BLOOD THE LAST VAMPIRE」。2000年に公開されたProduction I.Gの作品だ。押井守監督が開いた、若手企画者育成のための「押井塾」。当時そこに参加していた、今ではアニメ界を引っ張る神山健治氏、藤咲淳一氏が提出した企画をもとに、北久保弘之監督が当時最新のCG技術を駆使して生み出した作品だ。
48分という短編で、劇場公開もされたが、当時の事を思い出すと“大ヒット”した記憶は無い。ただ、CGを駆使しつつも、それを誇示しない高いセンスでまとめられた映像は、従来の2Dセルアニメとは異質なものに仕上がっており、作画からアニメを語るアニメファンや、業界の中で盛り上がっていたようだ。クエンティン・タランティーノが大いに気に入り、「キル・ビル」(第1作)のアニメパートをProduction I.Gに依頼したという話も有名である。
約10年前の作品であるが、そのクオリティは今見ても色褪せていない。そんな作品がBlu-ray Disc化された。発売日は「ヱヴァ」と同じ5月27日。温故知新ではないが、10年前と現在の最新技術を駆使した劇場用アニメのBDが、同じ日に発売されたというのも面白い話だ。
■ セーラー服と日本刀
物語の舞台は1966年の日本。ベトナム戦争真っ最中の、米軍・横田基地。ファントムF4戦闘機が慌ただしく発進する基地の周辺では、不審な自殺が相次いでいた。その原因は、人間社会に身を潜めた“翼手”と呼ばれる吸血鬼だった……。そんな街に、翼手の殲滅を目的とした組織から、1人の少女が派遣される。セーラー服にお下げ髪。その手には似付かわしくない大振りの日本刀。彼女こそ、“翼手”を狩ることを宿命付けられ、組織が“唯一のオリジナル”と呼ぶ少女・小夜(SAYA)だった。
あらすじをカッコ良く書くと上記のようになるが、1文で書くと「セーラー服姿の少女が日本刀で化け物をぶった切る話。以上」だ。身も蓋もないが、ストーリーはあって無いようなもの。横田基地内に潜入した小夜が、人間に化けた吸血鬼を探し出すという基本ラインはあるが、伏線に頭を悩ますような事は1つも無い。ただひたすらに、「いかに生々しく、カッコ良くぶった切るか」を追求した作品であり、頭を空っぽにしてアクションシーンの鮮烈さに痺れるのが正しい観賞スタイル。単にカッコ良さを追求しただけでなく、刀で肉を断ち切る、重さ、堅さが感じられるリアルな“動き”も大きな特徴で、後半の緊張感溢れるバトルシーンは必見だ。
映像の斬新さは冒頭シーンから感じられる。人けのない地下鉄・銀座線の車内で、人間に化けた翼手を小夜が追い詰め、叩き切るシーン。地下鉄のトンネルや線路、電車は3DCGで描かれており、そこに2Dで描かれた小夜と吸血鬼のおっさんが乗っている。カメラは車両の先頭から後方に向けて一直線に空中を飛ぶように移動し、椅子に座った小夜へと辿りつく。手描きの2Dでは、カメラが空中を移動するたびに1コマ1コマ、電車内を描きなおさなければならず、大変手間がかかるが、3DCGならば手間を軽減しつつ、なおかつ正確な映像が描ける。そうして生み出されるのは一見2Dアニメでありながら、今までにないカメラワークを取り入れた新しい映像というわけだ。
今回BD版を観賞して感じたのは、“3DCGの使い方のセンスの良さ”だ。冒頭シーンや基地を飛び立つ戦闘機、車両など、わかりやすいCG部分もあるのだが、店を出た小夜を上空から撮影し、そのままカメラが引いて街を見渡すカットなど、気を抜いているとそうだと気付かない場面も多い。
例えば小夜が学校の保健室に入るシーン。L字型の保健室は、ドアから入っただけでは全体を見渡すことはできず、数歩進んで右を向かないと、奥にあるベッドは見えない。カメラが小夜の動きと連動して動き、シーンの切り替え無しで一気に室内を“散策”する。言葉にすると“だからどうした”というシーンだが、実は保健室は3DCGで作られており、手前にいる小夜は2Dアニメ。空間を立体的に描いたままカメラの向きを変えることが2Dアニメでは大変なので、それに気付くと3DCGだとわかるが、物語に入り込んでいるとわからない。こうした、ちょっとしたシーンに技術を効果的に使うセンスが素晴らしく、同時にCGの可能性を積極的に引き出そうとする姿勢も感じられる。
また、2Dアニメ部分の斬新さも特筆すべき要素。キャラクターデザインを担当しているのが寺田克也氏という人気イラストレーターなのだが、これがまあ絵の上手い人で、可愛いとかカッコイイを通り越した、性格とか苦悩まで感じさせる非常に生々しいキャラクターを独特の色彩で生み出している。ゲームでは「探偵 神宮寺三郎シリーズ」、小説では「幻魔大戦」(平井和正)や、「マルドゥック・スクランブル」(冲方丁)の表紙/挿絵で見た事がある人が多いだろう。
良い意味で荒々しい線のタッチが特徴だが、驚くべきはそのタッチがアニメで再現されていることだ。鮮やかさを抑え、質感を重視したカラーも寺田チックであり、画面全体がドロドロとした、“昭和のガード下”っぽい暗さを帯びている。公開当時は「まさか寺田克也の絵がアニメで動くとは」と大いに驚かされた。今見ても、センスのカタマリのような“濃い映像”はオリジナリティに溢れている。
なお、舞台が横田基地であることから登場キャラクターの多くがアメリカ人であり、台詞が英語が基本。そこに日本語字幕が付いている。小夜を演じるのは、英語が堪能な工藤夕貴。日本語部分の声優としての演技力は正直どうかという感じだが、あまり抑揚や感情がこもらないぶっきらぼうな声は小夜には合っていると思う。
■ 2種類の本編映像を収録
BDの仕様的に面白いのは、テレシネ版(ニューマスター)とデジタルマスター版の2種類の本編を収録していること。丁度先週レビューしたヱヴァと同じで、フルデジタル制作の作品ながら、映画館での上映の雰囲気を再現するため、一度フィルムにしてからテレシネしたものと、デジタルデータをそのまま持ってきた本編が入っているというわけだ。
冒頭の地下鉄シーンから、電車内の広告や吊り輪の輪郭、駅構内ポスターの文字、怒鳴るデイビッドの顔の皺など、細かいポイントに注意して見比べてみたが、非常に面白い。輪郭線の荒いタッチが克明に見えるデジタル版は、線の端の“かすれ具合”までクッキリ見え、液晶ディスプレイに目を近づけると、あまりにクリアで誰かがフォトショップやペインターのブラシツールで描いた絵がそのまま動いているような錯覚を覚える。テレシネ版は全体的に線が甘くなり、複数の線が重なってできていた輪郭線が、所々、太い一本の線に融合してしまう。グレインも乗り、一時停止してじっくり見ると、緑や薄いオレンジの色ノイズが付帯している線もある。しかし、全体的に荒々しいタッチが生み出す雰囲気は残っている。
デジタル版はコントラストが高く、全体的にクリアで、単色部分のノイズも少ない。テレシネ版から切り替えると視力が良くなったようだ。ポスターの文字や線もクッキリと解像されており、カメラで例えるならレンズの絞り開放と、数段絞った映像というイメージだ。ただ、夕暮れの校舎などのグラデーション部分でバンディングが幾つか見受けられる。どちらかというとデジタル版の方が目立つようだ。
色味が違うのも面白い。駅員の制服の色が顕著で、デジタルの方は青と緑が強く、紺色寄りの寒色。フィルムは赤が強く、灰色と茶色の中間のように見える。駅構内もデジタルでは閑散として、寒々しく感じるが、フィルムでは赤みが強いため、ノスタルジックな懐かしい映像に見える。前述のクッキリ感の違いと合わせ、画面から受ける印象は大きく違う。
ただ、液晶画面に顔を近づけ、パーツ単位で見比べている時は、「やっぱりデジタル版がクリアで良いな」と思うのだが、プロジェクタでスクリーンに投写してみると、一概にそうとも言えない。テレシネ版のフィルムならではの色の濃さ、暗部が強い腰の据わった画調は、'66年の日本を舞台にしたこの作品に極めてマッチしている。ジメジメとした地下鉄の空気感、物陰に何かが潜んでいそうな飲み屋の裏手など、昭和の風景にフィルムの“重い”映像はよく似合う。
翼手を切った後に立ち上がる小夜と、背後のCG電車の質感の違いも面白い。テレシネ版は特に気にならないのだが、デジタル版では2つの質感の違いが明確で、小夜が背景から浮いているように見えてしまう。キャラクターの輪郭線が細い作品ならば違った映像になったのだろうが、とにかくデジタル版は良くも悪くも“見え過ぎ”る。「デジタルのアニメにはレンズを通した空気感が無い」という言われ方をするが、その違いをまさに体験した気分。個人的にはデジタル版を再生し、「Blu-rayってスゲー!!」と、解像感やクリアさを堪能した後、「さて、テレシネ版でゆっくり最初から再生するか」という観賞スタイルになっていた。
映像はMPEG-4 AVCでビットレートは35~39Mbps程度をキープ。圧縮によるブロックノイズなどは見られず、後半の倉庫でのバトルシーンの炎のゆらめき、金網越しのシーンなどもあるが、目立ったノイズも無く、画質は安定している。
BGMは弦/管楽器が活躍する厚めのオーケストラサウンドで、昔の大作ハリウッド映画のような雰囲気。飛行機が飛び去る際の低音、列車が地下を走るときの轟音など、サブウーファがかなり活躍する。DTS-HD Master Audio 5.1chの音場は広い。後半の倉庫内のバトルシーンで、格闘中のSEが視聴者に近く、広い倉庫に響く小夜の声の残響がその外側に広がり、さらにその外にBGMが広がるなど、音の描き分けも明瞭だ。また、同じDTS-HD Master Audio 5.1chでも、デジタル版とテレシネ版で音が微妙に違うように聞こえる。デジタル版の方が高域の抜けが良く、硬質なイメージ。中低域の張り出しも気持ち派手目に感じられた。
■ 人間の30%くらい犬だと良いんじゃないか
特典映像は、劇場で限定販売されたDVDや、レンタルVHSに収録された「Making of BLOOD THE LAST VAMPIRE」。さらに、2001年4月にスカパー! パーフェクトチョイスでオンエアされ、デジタルマスター版DVDに収録されている北久保弘之監督と、企画協力の押井守氏のインタビューも収録。さらに、パイロット映像と劇場予告編も収録。初回封入特典として劇場パンフレットの縮刷版も付属する。
欲しいものはあらかた網羅されており、SD解像度なのも仕方のないところだが、今回のBlu-ray版制作にあたっての新しいメイキングが無いのが残念なところ。新作の実写映画も公開されるので、テレビアニメ版「BLOOD+」なども含め、BLOODプロジェクトの“これまでの歩み”を紹介するコンテンツなどがあっても良かっただろう。
面白いのはやはりスタッフインタビュー。作品のコンセプトを「痛快B級アクションホラー」と言い切り、「セーラー服着て日本刀もったお姉ちゃんが吸血鬼を切る作品を描ききる」と断言する北久保監督に清々しさを感じる。一方で、実際に日本刀を持ってみて、その重さや恐怖を味わい、「これでカッコつけるのは俺にはできない。命と命の奪い合いを茶化したくない」と感じ、アクションのカッコ良さではなく、リアリティを追求することを決意。「芯の部分には痛快B級アクションだけでは終わらないぞという強烈な念みたいなものがある」という言葉も印象的だ。
押井氏は「獣のようで人であり、人のようで獣でありというような存在が好きで、小夜もそういうものの仲間」と解説。犬好きの押井氏らしく「僕自身、半分犬になりたいなと思う。人間の30%くらい犬だと良いんじゃないか」、「基本的に強い女が好き。獣の血中濃度が高く、男を必要としていない」など、一部分だけ抜き出すと意味がわからないが、聞いていると「なるほど」と深く頷くいつもの押井節を展開してくれる。なお、メイキング内の押井氏が着ているバセットハウンド柄の洋服に注目していると……。
メイキングで興味深いのは、寺田氏がデザインしたキャラクターを、いかにアニメで動かすかというポイント。荒々しいタッチの線を活かすため、絵コンテの段階でA/B/Cとシーンによって線のパターンを用意。アップ用のAパターンでは、荒々しいタッチで太目の線で描き、引きのBパターンは若干細めの線、Cパターンは普通の細い線でトレスをしたという。
ただ、荒々しいタッチの原画を上げて、「荒れた線でお願い」と動画に渡しても、皆スキルがあるので「流石にこんなに荒れた線ではダメだろう」と遠慮(?)して綺麗な線で動画を描いてしまうことが多く、リテイクもしばしばあったという。話を聞いてから“線の太さ”に注目して本編を見返すのも面白いだろう。CGやデジタルエフェクトの解説なども必見。「ここにもCGが」と気付かなかったシーンもあるだろう。
■ 実写映画も公開中
「ラスト・ブラッド」/R-15 HP:http://lastblood.asmik-ace.co.jp/ 出演:チョン・ジヒョン/小雪ほか 製作:ビル・コン/エイベル・ナーシアス 監督:クリス・ナオン 原作:「BLOOD THE LAST VAMPIRE」 (ProductionI.G) 配給:アスミック・エース 5月29日より、TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー中 |
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ちなみにこのラスト・ブラッド、日本映画ではなく、「HERO」や「グリーン・デスティニー」のプロデューサー、ビル・コン氏が中心となり、「キス・オブ・ドラゴン」などで知られるフランスのクリス・ナオンが監督、「レッド・クリフPartI」のアクションを手掛けたコーリー・ユンがアクション監督を担当。主役のサヤは「猟奇的な彼女」などで知られるチョン・ジヒョンが演じ、宿敵・オニゲンは日本の小雪が演じるという、国際的なプロジェクトになっている。
テレビなどで流れるトレーラーを見ると、セーラー服姿のサヤが日本刀を手に宙を舞ったり、オニゲンとの幻想的な戦いを繰り広げたり、都市が爆発したりと、「BLOOD THE LAST VAMPIRE」とはまた違った迫力や魅力のある作品に仕上がっているようだ。唯一気になるのはセーラー服を着込んだチョン・ジヒョンさん。非常に美しい方なのだが、確か20代後半……いえなんでもないです。
■ 一度は観ておきたい作品
約10年の時を経ても映像のクオリティやセンス、全編に漂う雰囲気などはまったく色あせておらず、CGのセンスの良い“使い所”など、現在のアニメを越えているような点も見受けられる。Blu-ray版は非常にクオリティが高いので、昔からのアニメファンは真の「BLOOD THE LAST VAMPIRE」を体験するために、知らなかった人は「こんなにカッコ良い作品あったのか」と知るために、一度は観ておくことをオススメしたい。特典映像内でセーラームーンやウテナで知られる幾原邦彦氏が「今後の日本のアニメを変えていくかもしれない」と語っていたが、現在のアニメに与えた影響も少なくない作品だ。
唯一気になるのは、ビジュアルインパクトを抜くと、ぶっちゃけ「ストーリーが面白いわけではない」事だ。ネタバレも何もなく、「小夜が吸血鬼をぶった切る」だけなので、彼女がその運命を背負う事になった過去や、組織の全容などは想像するしかない。それが作品の良い所でもあるのだが、小夜と吸血鬼の闘争に若い男でも巻き込まれて、助けた小夜が初めて恋を知って……というような展開でもあれば、俗っぽい私は御飯3杯くらいおかわりできたのにと余計な事を考えてしまう。ストーリーの薄さを吹き飛ばすほどのキャラクター性が小夜にあれば、尺が短くても良い意味で“萌え作品”的需要が生まれるのだが、寺田デザインの分厚い唇の仏頂面少女にサービス精神は期待しづらい。そうした諸々が“知る人ぞ知る作品”になっている理由だと思う。
実写映画化の前、2005年にはテレビアニメシリーズ「BLOOD+」(ブラッドプラス)も作られており、コミック化や小説化などのマルチメディア展開を果たしている。奥深いストーリーを味わうなら、こちらの作品ということになるだろう。
海外での実写映画化が実現した事を考えると、「セーラー服に日本刀でアクション」というビジュアルインパクトの強さは世界共通で、その“わかりやすさ”から、企画として通りやすい題材なのかもしれない。だが、ビジュアルインパクトは入口に過ぎず、それに負けないキャラクター性、もしくはストーリー性のどちらかが無いとヒット作品にはならない(両方あれば大ヒットだが)。実写版はまだ観賞していないが、観賞後に物語について熱く語りたくなるような作品になるか、主人公のフィギュアが欲しくなるような作品になるか……どちらかであって欲しいと期待している。ちなみに公開に合わせ、押井守氏は「次回作こそは、僕が撮ります」とコメント。BLOODはまだまだ現在進行形の作品と言えそうだ。
●このBD DVDビデオについて |
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[AV Watch編集部山崎健太郎 ]