鳥居一豊の「良作×良品」

安価で高機能。画質/音質も優れたソニー「BDP-S5100」

「Before Meteor:FF XIV」で世界の始まりと終わりを体感

BDP-S5100

 今回取り上げる良品は、ソニーのBDプレーヤー「BDP-S5100」。すでに詳しいレビューが掲載されているが、Wi-Fi(無線LAN)内蔵をはじめ、DLNA再生や多彩な動画配信に対応するほか、BDやDVDだけでなく、CDやSACDの再生も行なえるなど、かなり充実した機能を持つユニバーサルプレーヤーだ。それでいて、価格はBDプレーヤーの売れ筋である2万円ほどと、極めて安価だ。

 ここでは、BDプレーヤーとして肝心な画質・音質を中心に紹介していく。題材となる良作は、「Before Meteor:FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack」だ。FF XIVは、FF XI に続くMMO RPG。Windows用ソフトとして、2010年に発売されたが、サービス開始時点での完成度が低く、運営体制を一新し、ソフトもゼロから作り直すという決断が下された。面白いのはここでサービスを中断してしまうのではなく、新規のソフト開発と並行して現状のサービスもソフト改修を加えながら続行。いずれ訪れる世界の終わり(サービスの一時終了)をユーザーがプレイしながら体験できるようにした。

Before Meteor:FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack

 転んでもタダでは起きないというか、せっかくプレイしてくれたユーザーを最後まで楽しませたいという姿勢は立派なものだと感じる。説明が長くなったが、ここまでが「Before Meteor:FINAL FANTASY XIV」(以下「Before Meteor」)となり、2013年8月27日にWindowsとPS3版でサービス開始となるのが、「FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼア」(以下「新生エオルゼア」)となる。

 ここで取り上げる「Before Meteor:FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack」は、「Before Meteor」用に用意された楽曲を集めたBDM(ミュージック仕様のBDソフト)ということになる。全104曲、総再生時間は6時間を超えるボリュームで、CDで発売したら何枚組になるのだろうか? という大作だ。

 FF関連のBDMタイトルとしては、以前も取り上げた「FINAL FANTASY ORCHESTRAL ALBUM」に続くもので、その内容はさらに充実したものとなっている。収録した楽曲はすべて24bit/96kHzで、ムービーコンテンツとして、YouTubeで公開されている「FINAL FANTASY XIV:A New beginning」をフルHDで収録している。音声はリニアPCM 2chと5.1ch、ドルビーデジタル5.1ch音声も収録している。詳しくは、試聴を交えながら紹介していくが、ハイレゾの素晴らしい音質に加えて映像の質もかなりグレードアップしており、聴き応えも見応えもあるものになっている。僕は「Before Meteor」は未プレイ(PlayStation 3版の発売を待っていた)で、サントラ版だけ聴いても十分に楽しめないかとも思ったが、音楽だけでも見知らぬエオルゼアの世界をリアルに感じることができ、そのドラマチックな展開も含めて存分に楽しめた。

 このサントラ盤の公式ホームページでは、多くの楽曲を手がけている植松伸夫からメッセージが掲載されているが、「Before Meteor」の世界はすでに消失しており、それはこのBDMの中にしかないという言葉が印象的だ。「Before Meteor」をプレイしていた人にとっては貴重なメモリアルでもあるし、未プレイで「新生エオルゼア」から始めようという人にとっても、これから体験する世界の過去の歴史を知る資料となるだろう。

クリスタルカットを施した意匠がユニークなコンパクトボディ

 ではまず、BDプレーヤーのセッティングからはじめよう。本体は横幅360mmとコンパクトで、全体的に見ると逆台形のフォルムとなっており、天板部は多面体カットとなっていて、光の加減によってその形がよくわかる。本体部の操作ボタンまで多面体フォルムになっているなど、デザインの完成度は高い。

斜め上方から眺めたところ。天板の形状がよくわかる。操作ボタンのある手前側の面だけ淡いグリーンに光る仕上げが施されている
正面から見たところ。逆台形のフォルムで、天面部分が斜めに盛り上がった形状になっていることがわかる
多面体カットされた操作ボタン。電源オンや再生/停止、ディスク取り出しボタンの4つが並ぶ。前面にはUSB端子も

 画質・音質などの設定については、標準的な内容となっており、特別なものはない。セカンダリーオーディオのミックス再生をオフにするといった基本的な設定を行なうだけで済む。HDMIケーブルも出力は1本だけなので、取材ではAVアンプに接続し、AVアンプの出力からプロジェクタへ接続するという標準的な接続だ。このほかに行なったことと言えば、カラーバーなどのテストチャートを使ってプロジェクタの画質を調整したくらいだ。

 設定などはごく簡単で誰でも手軽に使えるようになっており、薄型テレビで番組は録画できるから、BDレコーダは不要という人には便利だろう。DLNA再生や動画配信サービスなども利用できるので、最新の薄型テレビが持つネットワーク機能を追加できるという意味でも便利なモデルだ。

 ではさっそく再生をはじめよう。電源オンも高速起動に対応しているので、素早く使える。そして、ディスクのローディングも速いので、再生スタートがスムーズだ。このあたりの使い勝手はさすがは最新モデルで、特に数年前のBDレコーダでの再生開始と比べて体感では1/2くらいまで短縮されていると感じる。BDメディアはディスク入れ替えが必要で、しかも全体にローディングに時間がかかるものが多いので、こうした高速設計は実に便利だ。

付属のリモコンは、コンパクト。十字キー操作主体のため、再生ボタンの配置も間隔が広く、使いやすい
背面。HDMIは1系統のみ

全104曲の連続再生のほか、出身国別など6つのプレイリストを用意

 ディスクをセットして再生ボタンを押すと、自動再生でお約束とも言うべきクリスタルのテーマ(「001:プレリュード ~追憶の煌めき~」)が流れ始める。フルオーケストラ的な編成になっているのに加え、透明感のある合唱も加わっており、聴き慣れたメロディーながらも新鮮さもある。このまま再生を続ければ、全104曲がずっと再生される。曲数は多いものの、普通の音楽CDなどと同じだ。

 ここでユニークなのは、ポップアップメニューを呼び出すと、全曲再生のほかに6つのプレイリストも用意されていること。出身国などいくつかのテーマで曲をセレクトしたものになっており、プレイしたユーザーならば自分の出身国を選択すれば、自分の冒険を振り返るような気分で楽曲を楽しめる構成になっているようだ。再生をスタートすると、ゲームの舞台となるエオルゼアの全体マップからその国へ移動するムービーが挿入されるので、実際にゲームをしているような感覚も味わえる。

 音楽用ソフトとして、こうした複数のプレイリストが用意されているのは初めてではないかと思うほど画期的。よく考えてみれば現在主流の音楽データをPCで管理する再生では、プレイリスト再生が主流で、ユーザーは自分の好きなように曲を並べて楽しむことが少なくない。ゲームというインタラクティブ性の強いメディアのサントラならではかもしれないが、こうした現代的な音楽再生の楽しみを採り入れているのも先進的だ。

 「プレリュード」から「002:オープニングテーマ」(いわゆるFFのテーマ)と続き、楽曲は「潮風の集う街 ~リムサ・ロミンサのテーマ~」となる。BDMは音楽仕様ではあるが、映像付きのコンテンツでもあるので、音楽だけでなく映像も画面に表示される。そのムービーは、キャラクターや世界観を設定するために用意された設定画をぜいたくに使っており、フルHD画質で美麗なイラストによるスライドショーを楽しめる。ルムサ・ロミンサという街がどんな場所かは僕にはわからないが、この設定画を見ていると、見晴らしのよい港町であることがわかる。こんな街でどんな冒険が展開するのだろうと、ちょっとウズウズしてしまう。

 BDP-S5100の音は、明快でスカッとした爽快感のあるサウンドだ。低音は比較的しっかりと出るのだが、映画を重視した量感たっぷりのものではなく音楽を聴いてももやもやと感じない解像感重視の再現になっており、音の立ち上がりやリズムのキレ味もしっかりと出る。高域はやや強めで音のエッジを立たせ、個々の音を明瞭に再現する。

 序盤で印象的だったのは、「005:ラノシアの疾風」。落ち着いたムードの郷愁感あふれる曲。そこに海沿いの断崖に広がる草原を描いたイラストが組み合わされる。きっとプレイ序盤はこのあたりの草原を走り回ることになるんだろうなと思うし、世界各地を旅して回った後にここに帰ってくると、我が家に帰ってきたような気持ちになるだろう(出身国によって印象は変わるだろうが)。

 こうして、柔らかな日差しが気持ちよさそうな森林地帯や、森の中に立つ大きな城と街並み、タフな戦いを連想させる巨大な塔のようなイラストと、イメージを駆り立てられる楽曲が続いて行く。険しい山岳地帯や地下の洞窟に広がる薄暗い迷宮など、楽曲に合わせて多彩な世界の様子を見ることができ、まさに音楽とともに世界を旅しているような気分になる。

 楽曲が24bit/96kHz収録であることはすでに述べたが、元々のオリジナル楽曲は48kHz制作が多く、アンプコンバートによるハイレゾ化となっている。わざわざアップコンバートするほどの効果があるかと疑問視する人も少なくないだろうが、生音をサンプリングした音源を多用していることもあり、96kHzにアップコンバートされることでデジタルくさい音の硬さがなく、うっかりすると生演奏かと思うくらいに音色が自然だ。ゲーム中で聴く楽曲は48kHzサンプリングの圧縮音源の再生となるし、クオリティには圧倒的な差があるだろう。そうしたきめ細やかな音色のニュアンスの差や、細かい音のディテールをBDP-S5100はしっかりと再現してくれる。安価だとはいえ、ハイレゾ再生が各所で注目されはじめた今の時代に対応した音質に仕上げられていることがわかる。

中盤にはバトル展開な曲といつものファンファーレ。ストーリー性豊かな選曲

 試聴では、未プレイということもあって全曲再生の曲順どおりで聴いているが、序盤では世界各地を巡り、イラストで飛空挺のテーマとわかる曲も入るなど冒険家気分を存分に味わえる。それが「060:憤怒」からいかにもなバトルテーマが始まる。いわゆる中ボス曲だろうか? 軽快なキーボードのメロディに力強いリズムが組み合わされた曲で、テンションの高いものになっている。リズムのキレ味はしっかりとしており、若干ドラムの力感が不足しがちだが、テンションの高さとスピード感はよく出ている。

 中ボス曲はさらにつづき、ますますタフな戦いを強いられる展開にこちらの緊張感も増す。植松伸夫の手による曲は1聴してそれとわかるくらいに聴き込んで(やり込んで)いる僕だが、それでいて同じ印象にはならないところには改めて感心する。そして、いつものファンファーレ「062:勝利のファンファーレ ~凱歌~(ショート)」が流れ、やり遂げた気持ちになって思わずガッツポーズをしてしまう。実に盛り上がる選曲だ。

 このあたりからは、ストーリーの根幹に関わると思われる楽曲が続く。シリアスなストーリーを連想させるものや、ラストダンジョンを連想させる不気味なムードの曲と毒々しい沼地のイラストなど、まだ中盤なのにラス前を思わせる盛り上がりだ。

 楽曲には設定画を多用したイラストで構成されると言ったが、曲によってはゲームで使用されたであろうムービーが入る曲もある。「066:原始の審判」がそれで、2本の大きな角を持つ炎の巨神(イフリートか?)がムービーで迫力たっぷりに動き回る。激しい曲調ではなく、コーラスを交えた荘厳にして絶対的な強さを感じさせる楽曲。きっと強敵や難度の高いイベントで繰り返し使われる曲なのだろうと、プレイしてもいないのにトラウマになりそうで怖い曲だ。リズムのキレがしっかりとしているので、テンションの高さがよく出ているし、コーラスの声も明瞭に再現されるので、たくさんの音が重ねられて生まれる音の厚みもしっかりと出る。2万円のBDプレーヤーとは思えない、なかなかレベルの高い再生音だ。

チョコボのテーマに、モーグリの王様と、人気キャラクターも続々登場

 このあたりでは、プレイヤーのレベルもあがり、ストーリー展開もクライマックスに近づいてくるのだろう。全般にシリアスな曲調のものが増えてくる。そこにうまい具合にコミカルな曲や新たな土地と思われる楽曲が組み合わされ、単調にはならないようになっている。実に楽しいのが爽快感たっぷりな「076:エオルゼア de チョコボ」。いつものメロディーがオーケストラ編成となり、音の厚みは増しながらも軽快さや爽快感たっぷりの曲。乗れるようになるにはいろいろと手間がかかるのだろうが、やはりFFをやったらチョコボに乗ってこの曲を聴かないとプレイした気にならない。

 そして、今回はモーグリの王様も登場する。こちらもムービー付きの再生で、どうやらプレイした人にとってはこの曲を聴いたら自動的に映像が思い浮かぶほど印象的なイベントで使われたものらしい。曲は「090:善王モグル・モグXII世」。英語による歌も入った楽しい曲だ。FFにはこうした人気のあるキャラクターが数多くいるが、作品ごとに設定は多少の違いがあり、今回のモーグリはモンスターではなさそうだが、いわゆるゴブリン族のような人間ともそれなりに関わりを持つ異民族として活躍するようだ。

 そして、ついに終盤では、エオルゼアの終焉が描かれる。ムービーも数多く使われ、メテオの召喚、そして最後の戦いや「堕天せし者」と表現される天使のような悪魔のようなキャラクターの登場と一気にテンションは高まる。そして、世界は一度終わりを迎え、新たに再生していく。

 6時間超という時間は、音楽をじっと聴き続けるには極めて長い時間だ(実際に途中で何度も休憩を挟んでいる)。しかし、ゲームのプレイ時間としてはあまりにも短い。その短時間で、エオルゼアの世界を訪れ、さまざまな土地を巡り、敵と戦い、世界の終わりまでも体験してしまった。そんな満足感が得られた。システム上の不具合や未完成な部分が多いなど多くの問題を抱えた「Before Meteor」ではあるが、それを乗り越えてプレイしてきた人には、かけがえのない体験だっただろうと羨ましく思う。そんなプレイ体験に及ばないものの、「新生エオルゼア」のスタート直前である現在、それに近いものを本作で感じられるのはありがたいと改めて感じる。冒険する気満々になれるサントラだ。

大作ムービー「FINAL FANTASY XIV:A New beginning」で、画質の実力をチェック

 BDP-S5100の画質は、静止画主体のムービーを見る限り、デッサン調の描線のタッチがややソフトな印象もあるものの、色再現はなかなか豊かで、設定画のやや粗いタッチの塗り分けもしっかりとしており、いわゆる設定画集としてみても、なかなかのレベルの再現ができている。それに、設定画集がいかに大判でも大画面にはかなわない。ちょっと大げさだが、我が家の120インチスクリーンで見れば世界を体感できるように思える。

 とはいえ、静止画主体では映像の実力をすべて確認できるわけではない。そこで、ムービーコンテンツとして収録されている「FINAL FANTASY XIV:A New beginning」で、画質の実力を確認してみた。

 このムービーでは、「Before Meteor」の最後を描いたもので、召喚されたメテオ、そして降臨したバハムートによる世界の破壊が迫力ある映像で再現される。メテオを召喚した闇の勢力との最後の戦いや、エオルゼアの賢者たちがバハムートに立ち向かおうとする姿は壮大でもあるし、その結末に胸を打たれる。

 その映像は、暗いシーンでやや黒潰れしやすい部分も多少あるものの、影の部分での色ヌケも少なく、重みのある色が再現できた。ディテールについては特に動く部分でやや甘さを感じるなど、さすがに最高画質とは言いにくいが、ハイライト部分の艶や輝き、風になびくキャラクターの髪の質感など、きちんとした実力を備えている。

 では、高級機や多くの人が使用するPlayStation 3(PS3)と比べてどのくらいの実力があるだろうか? 今度はそれを試してみることにする。PS3は発売以来7年が経過し、年末には後継機の登場も予定されている古参プレーヤーだが、本機があればBDMも再生できるし、そのまま「新生エオルゼア」もプレイできるというメリットがある。ちなみにPS3は僕が所有する最初期の20GBモデルを使用している。

 PS3の再生は、大前提としてファンノイズがうるさい点が問題。コントローラーがワイヤレスなので、なるべく視聴位置から遠ざけて使うようにしたい。音については、96kHz/24bitの楽曲再生でも確認しているが、全体にちょっとにぎやかで元気のいい音と感じる。ハイレゾの情報量はしっかりと出ているのだが、シャキっとしたというよりシャカシャカした感じがある。周波数バランスとして比較的フラットなのだが、曲のメリハリやエネルギー感はやや演出が強めに出ていると感じる。ゲームの音の再生なども考慮した音作りなのだろう。

 画質は、若干ディテールが甘く感じるのはBDP-S5100と同様。細かいディテールが出ていないとCGで描かれたキャラクターの質感がつるっとしてしまい、いかにもCG臭い感じになるのが残念。暗部はやや黒浮きが気になるものの暗部の階調は比較的よく出ている。若干、色が抜け気味でストレートではあるがあっさりとした再現になるのが、BDP-S5100との違いだ。このあたりは、BDのフルHD映像処理の進化の差が出ているように感じる。

 続いては、手持ちのOPPO BDP-95での再生だ。音声はHDMI出力ではなく、アナログ出力をAVアンプに接続し、ピュア・ダイレクトで聴いている。さすがにその差はそれなりにあり、映像の解像感がかなり違ってくる。このムービーは映像の転送レートが20~30Mbpsほどと、映画ソフトに比べてもやや少なめという程度の高品質で、その情報量がしっかりと出た。ムービーでの速い動きでも甘さが気にならないし、キャラクターの肌の質感がしっかりと出るのでCG臭さもかなり抑えられている。エオルゼア終焉のシーンで満足げに微笑みを浮かべるエル爺(FF XIでの愛称。FF XIVでも名称は異なるがプレイヤーキャラクターの種族はFF XIを踏襲しており、エルヴァーンの老人キャラクターがFF XIVにも登場している)の姿には目頭が熱くなるほどだ。

 音質の点でも、音の深みや個々の音の質感がさらに豊かになり、充実した音になる。微小音の再現が優れるのか、サラウンドによる空間の広がりやバハムートのまき散らす無数の光弾が飛び交う場面でも周囲に音が乱舞する。ただし、中域の密度感やニュアンスといった部分についてはBDP-S5100がかなり健闘しているとも感じた。

 トータルの評価としては、ゲームもプレイできるメリットは大きいものの、映像や音の実力ではPS3は今や多少物足りない部分が目立ってしまう。BDP-S5100は、色再現性が豊かになったことや映画だけでなく音楽も視野に入れた音作りによって、音のど真ん中である中音域の充実度では高級BDプレーヤーに迫る音を楽しめるものに仕上がっている。このあたりはさすがは専用機ということだろう。本作「Before Meteor」のサントラだけでなく、映画や音楽も高品位に楽しむならば、PS3だけでなく、BDプレーヤーも組み合わせたいところだ。

「新生エオルゼア」に向け、「Before Meteor」の冒険を振り返っておきたい

 未プレイのゲームのサントラを聴くというのは僕自身ほとんど経験がなかったが、慣れ親しんだFFの音楽ということもあり、予想以上に体感的に楽しむことができた。二度と廃人化するようなプレイをするわけにはいかないので、「新生エオルゼア」をプレイすることにはためらいもあったが、もう覚悟は決まった。そんな体験ができた「Before Meteor:FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack」は、「Before Meteor」を知らない人にとっても欠かせない作品と言えそうだ。

 そして、多機能さばかりが注目されがちなBDP-S5100の実力の高さも確認でき、専用機であるBDプレーヤーの良さも改めて実感できた。BDP-S5100と本作のサントラがあれば、「新生エオルゼア」の冒険を始める準備は万端だし、映画や音楽もより良い画と音で楽しめるようになる。まだまだ暑い日が続きそうだし、涼しい家で快適に過ごすためにもオーディオ&ビジュアル環境の強化をぜひ検討してほしい。

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BDP-S5100Before Meteor:
FINAL FANTASY XIV
Original Soundtrack

鳥居一豊

1968年東京生まれの千葉育ち。AV系の専門誌で編集スタッフとして勤務後、フリーのAVライターとして独立。薄型テレビやBDレコーダからヘッドホンやAVアンプ、スピーカーまでAV系のジャンル全般をカバーする。モノ情報誌「GetNavi」(学研パブリッシング)や「特選街」(マキノ出版)、AV専門誌「HiVi」(ステレオサウンド社)のほか、Web系情報サイト「ASCII.jp」などで、AV機器の製品紹介記事や取材記事を執筆。最近、シアター専用の防音室を備える新居への引越が完了し、オーディオ&ビジュアルのための環境がさらに充実した。待望の大型スピーカー(B&W MATRIX801S3)を導入し、幸せな日々を過ごしている(システムに関してはまだまだ発展途上だが)。映画やアニメを愛好し、週に40~60本程度の番組を録画する生活は相変わらず。深夜でもかなりの大音量で映画を見られるので、むしろ悪化している。