トピック

ソニー、WF-1000XM4が対応“マルチポイント接続”ってどんな機能?

「WF-1000XM4」がマルチポイント接続に対応した!! で、何ができるの?

ソニーの完全ワイヤレスイヤフォン「WF-1000XM4」がアップデートでマルチポイント接続に対応した。ソニーの完全ワイヤレスイヤフォンでは、「LinkBuds」「LinkBuds S」に次ぐアップデートでの対応となった。

この“マルチポイント接続”は、2台のデバイスと“同時に”接続できる機能なのだが、「今までも複数のデバイスと接続できたじゃん」「PCでYouTubeの配信を聴きながらスマホゲームの音も聴けるってこと?」といった誤解がされがちな機能でもある。今回はこのマルチポイント接続でできることをおさらいしてみた。

前述の通り、マルチポイント接続は2台のデバイスと同時に接続できる機能。例えば、スマホとPCなどと同時に接続しておくことで、スマホで音楽を聴いていたときに、スマホ側での音楽を停止して、PCで音楽再生を始めるだけで再生機器が自動で切り替わる。PCで音楽を聴いているときにスマホが電話を着信すれば、自動でスマホの通話に切り替わって、そのまま通話することもできる。

PCとスマホで設定しておけば、オンライン会議の度にいちいちスマホからPCに手動で切り替えなくて済む

ちなみに、スマホ2台と接続している場合は、一方のスマホで通話中にもう一方のスマホに着信があっても、イヤフォン側に着信音は流れず、そのまま通話できるとのこと。通話を終えたときに着信が続いている場合は、イヤフォンに着信音が流れて、そちらに出ることもできる。

ソニーのWF-1000XM4や、LinkBudsシリーズの場合、専用アプリ「Sony|Headphones Connect」コネクトアプリから、「2台の機器と同時に接続」をタップすれば有効にでき、ステータスタブ内の「接続中の機器」を選択すると、ペアリング済みの端末が表示されるので、その中から同時に接続したい端末を「1」と「2」の項目に設定すれば、イヤフォンを装着した際に同時に接続してくれるようになる。

システムタブにある「2台の機器と同時に接続」をオンに(左)、ステータスタブの接続中の機器をタップするとこの画面に(右)

筆者が手元のiPhone 14 ProとPixel 6aでマルチポイント接続設定してみたところ、iPhoneではAAC、Pixel 6aとはLDACで接続している状態になったので、異なるコーデックで同時に接続できるようだ。

これであれば、普段の音楽は高音質なLDACで繋がるPixel 6aでDLしてある楽曲を聴きつつ、移動中にYouTube配信を観たい時はデータ利用量を多く設定しているメインのiPhone 14 Proで観る、というのをスムーズにできるようになったのでありがたい。

左側がiPhoneで再生時、右側がPixel 6aで再生時
赤枠で囲った部分を見てもらうと、コーデックも別で接続されているのがわかる

名前がややこしいけど違う“マルチペアリング機能”

名称が似ている故に誤解されがちな機能なのだが、様々なBluetoothデバイスで対応している「最大○台のデバイスと接続できる」機能は“マルチペアリング機能”といって、こちらは複数のデバイスと同時に接続するのではなく、接続先を記録しておく機能になっている。

この場合、先ほどのスマホとPCの例と同じことをしようとすると、スマホの音楽を停止して、一度スマホとイヤフォンの接続を切って、接続先をPCに切り替えて再生、とする必要があるほか、PCで音楽を聴いているときにスマホに着信があっても、再度接続を切り替えないと、同じイヤフォンでスマホの通話に出ることができない。

マルチポイント接続とマルチペアリング機能。正直ややこしいのでもう少しわかりやすい名称になってくれるとありがたかった。

もう1つ誤解されがちな内容として、マルチポイント接続であっても、2つのデバイスの音を混ぜて再生することはできない。

同時に接続しておいて自動で再生元のデバイスが切り替わる機能なので、例えばスマホの音楽を聴きながらPCでビデオチャットする、といったことはできない。切り替える際も、一度再生中のデバイスを停止してからもう一方のデバイスで再生開始しなければうまく切り替わらないので、確認しておきたい。

また、ソニーの完全ワイヤレスイヤフォンでは、マルチポイント接続ができるバージョンへのアップデートには時間がかかるため、時間に余裕がある時に行なった方が良さそうだ。「WF-1000XM4」のアップデートを編集部で試したところ、iPhoneで約1時間、AndroidのPixel 6aで約40分かかった。アップデートは、デバイスへのデータ転送とアップデートの実施の2段階で行なわれるのだが、この転送の部分で時間を要する形となっている。

野澤佳悟