AV Watchアワード
シャープの量子ドット有機&ミニLEDは、鮮やかな色と明るさが強み【測定データすべて見せます(4)】
2025年10月28日 08:30
読者へ本当にオススメしたい製品をセレクトする「AV Watchアワード」。今年も、高画質・高音質なナンバーワンテレビを決めるべく、テレビメーカー7社から全11モデルの液晶テレビ・有機ELテレビを集め、横並びでの比較視聴とデータ測定を行なった。
10月31日公開の「2025年液晶テレビ大賞」「2025年有機ELテレビ大賞」発表に先立ち、比較視聴を実施した11モデルをブランド別に紹介する。
今回取り上げるブランドは「シャープ」。
AV Watchアワード2025では、今年5月に発売した4K有機ELテレビの「4T-C65HS1」(60.5万円前後)と、4K液晶テレビ「4T-C65HP1」(44万円前後)をテストした。
それぞれの概要・仕様と合わせ、マスターモニターとの比較動画および視聴機の測定データを掲載する。
有機ELラインナップ
シャープは今年、最新世代の量子ドット有機EL(QD-OLED)パネルを使った「HS1」、高輝度パネルを搭載した「HQ1」、価格を抑えた「HQ2」の全3シリーズ8機種の4K有機ELテレビをラインナップする。サイズは42型から65型までで、価格は24.2万円前後から。
液晶ラインナップ
4K液晶テレビは、量子ドット×ミニLEDバックライトを採用した「HP1」「HP2」、80インチ以上の大型も揃えた「HV1」、そして手頃な中小型「HN2」の全4シリーズ12機種をラインナップする。サイズは43型から85型までで、価格は17.1万円前後から。
シリーズと市場想定価格
| 85 | 75 | 65 | 55 | 50 | 43 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| HP1 | ー | 57.2 | 44 | 35.2 | ー | ー |
| HP2 | ー | ー | ー | ー | 25.3 | 24.2 |
| HV1 | 55 | 39.6 | 28.6 | 24.2 | ー | ー |
| HN2 | ー | ー | ー | 20.9 | 18.7 | 17.1 |
最上段の数字は「インチサイズ」、マス目の中の数字は市場想定価格(万円)
シリーズ別比較
| エン ジン | ミニ LED | 量子ドット | 倍速 | HDR | アトモス | 音声 出力 | チュ ーナ | HD MI 入力 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| HP1 | Medalist S6X | 〇 | 〇 | 120Hz 144Hz (VRR) | Dolby Vision IQ HDR10 HLG | 〇 | 80W | 4K:2 2K:3 | 4 |
| HP2 | 120Hz (VRR) | 50W | |||||||
| HV1 | Medalist S6 | ー | ー | 144Hz (VRR) 65/55型は120Hzまで | 40W or 65W | ||||
| HN2 | 120Hz (VRR) | 35W |
有機ELテレビ「4T-C65HS1」について
HS1は、AQUOS OLEDのフラッグシップシリーズ。
最大の特徴が、量子ドット有機EL(QD-OLED)パネルの搭載。有機ELの青色光を純度の高い3原色に変換する量子ドット技術により、色鮮やかな映像を作り出せる。
最新世代では、新しい発光素子を使うことで発光ロスを抑制。このパネルと、シャープ独自の放熱構造「クールダウンシールドII」および駆動回路「クライマックスドライブ3.0」を組み合わせることで、セルの発光性能を最大化。前モデル比で約2倍のピーク輝度を実現している。
なお、最新のQD-OLEDパネルを搭載しているのは、国内ではシャープのHS1のみとなる。
液晶テレビ「4T-C65HP1」について
量子ドットとミニLEDバックライト技術を搭載した、液晶フラッグシップのシリーズが「HP1」。
HP1では、高輝度・広色域を実現する「N-Black Wideパネル」を搭載。N-Black Wideパネルは、表面と空気の屈折率の違いを抑えるナノカプセル素材により、外光の映り込みを低減、さらに視聴位置による色変化も軽減することができる。
'25年モデルでは、高効率なミニLEDチップ・QDシートの変更に加え、高効率の光反射シートをパネル内に敷くことで、より多くの光が取り出せるように改良。ミニLEDバックライトの制御も最適化し、前機比約1.5倍のピーク輝度を実現している。
有機EL「C65HS1」、液晶「C65HP1」ともに、第6世代AIプロセッサー「Medalist S6X」を搭載。各被写体の前後関係を認識し、明暗と精細感を自動補正する「空間認識AI」機能を新搭載している。
OSは、様々なアプリやサービスが楽しめる「Google TV」。搭載チューナーは、BS/CS 4K×2基と、地上/BS/110度CS×3基。'24年モデルは地デジが2チューナーに削減されたが、'25年モデルは3チューナーに回帰。2番組同時録画が行まえるようになった。
消費電力・年間消費電力は、有機ELの「C65HS1」が約501W・189kWh/年、液晶の「C65HP1」が約253W・145kWh/年。
スタンドを含む外形寸法/重量は、有機EL「C65HS1」が1,444×281×894mm(幅×奥行き×高さ)/約39kg、液晶「C65HP1」が1,443×281×897mm(同)/約37kg。
マスターモニターとの比較動画
※鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65
※鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65
ディスプレイ性能
ディスプレイ性能
輝度
| 映像モード 「AIオート」 | HS1 (25年モデル) | GS1 (24年モデル) | FS1 (23年モデル) |
|---|---|---|---|
| 10%輝度 | 2,159cd/m2 | 1,284cd/m2 | 1,301cd/m2 |
| 全白輝度 | 364cd/m2 | 245cd/m2 | 217cd/m2 |
| 映像モード 「映画」 | HS1 (25年モデル) | GS1 (24年モデル) | FS1 (23年モデル) |
|---|---|---|---|
| 10%輝度 | 2,081cd/m2 | 1,202cd/m2 | 1,180cd/m2 |
| 全白輝度 | 357cd/m2 | 260cd/m2 | 222cd/m2 |
| 映像モード 「AIオート」 | HP1 (25年モデル) | GP1 (24年モデル) | EP1 (23年モデル) |
|---|---|---|---|
| 10%輝度 | 1,792cd/m2 | 1,945cd/m2 | 1,623cd/m2 |
| 全白輝度 | 705cd/m2 | 739cd/m2 | 592cd/m2 |
| 映像モード 「映画」 | HP1 (25年モデル) | GP1 (24年モデル) | EP1 (23年モデル) |
|---|---|---|---|
| 10%輝度 | 2,037cd/m2 | 1,275cd/m2 | 908cd/m2 |
| 全白輝度 | 767cd/m2 | 568cd/m2 | 445cd/m2 |
色域
| 映像モード 「映画」 | HS1 (25年モデル) | GS1 (24年モデル) | FS1 (23年モデル) |
|---|---|---|---|
| BT.2020 1931カバー率 | 84.48% | 85.53% | 85.10% |
| BT.2020 1976カバー率 | 89.28% | 89.51% | 89.62% |
入力遅延
| 映像モード 「ゲーム」 | HS1 (25年モデル) | GS1 (24年モデル) | FS1 (23年モデル) |
|---|---|---|---|
| 4K60p | 9.0ms | 10.8ms | 12.0ms |
| 2K120p | 0.9ms | 1.0ms | 3.1ms |
| 映像モード 「ゲーム」 | HP1 (25年モデル) | GP1 (24年モデル) | EP1 (23年モデル) |
|---|---|---|---|
| 4K60p | 9.5ms | 11.8ms | 11.8ms |
| 2K120p | 0.7~2.0ms (変動) | 1.8ms | 3.1ms |
HDMI仕様
| HDMI入力信号 | HS1 (25年モデル) | GS1 (24年モデル) | FS1 (23年モデル) |
|---|---|---|---|
| 4K120fps | 〇 | 〇 | 〇 |
| 4K144fps | 〇 | 〇 | ー |
| ゲーム用HDR10 | 〇 | 〇 | 〇 |
| ゲーム用Dolby Vision | 〇 | 〇 | 60Hzまで |
| 4K50Hz | ー | ー | ー |
| 1440p | 〇 | 〇 | 〇 |
| 非圧縮ステレオ | 〇 | 〇 | 〇 |
| 非圧縮5.1ch | 〇 | 〇 | ー |
| 非圧縮7.1ch | ー | ー | ー |
| ドルビーデジタル | 〇 | 〇 | 〇 |
| DTS | ー | ー | ー |
| Dolby Atmos | 〇 | 〇 | 〇 |
| DTS:X | ー | ー | ー |
| その他 | HS1 (25年モデル) | GS1 (24年モデル) | FS1 (23年モデル) |
|---|---|---|---|
| 電源ケーブル着脱 | ー | ー | ー |
| スイーベルスタンド | 〇 | 〇 | 〇 |
| HDMI入力信号 | HP1 (25年モデル) | GP1 (24年モデル) | EP1 (23年モデル) |
|---|---|---|---|
| 4K120fps | 〇 | 〇 | 〇 |
| 4K144fps | 〇 | 〇 | ー |
| ゲーム用HDR10 | 〇 | 〇 | 〇 |
| ゲーム用Dolby Vision | 〇 | 〇 | 60Hzまで |
| 4K50Hz | ー | ー | ー |
| 1440p | 〇 | 〇 | 〇 |
| 非圧縮ステレオ | 〇 | 〇 | 〇 |
| 非圧縮5.1ch | 〇 | 〇 | ー |
| 非圧縮7.1ch | ー | ー | ー |
| ドルビーデジタル | 〇 | 〇 | 〇 |
| DTS | ー | ー | ー |
| Dolby Atmos | 〇 | 〇 | 〇 |
| DTS:X | ー | ー | ー |
| その他 | HP1 (25年モデル) | GP1 (24年モデル) | EP1 (23年モデル) |
|---|---|---|---|
| 電源ケーブル着脱 | ー | ー | ー |
| スイーベルスタンド | 〇 | 〇 | 〇 |
・パネル性能の測定には、キャリブレーションサービスを行なっている株式会社エディピットに協力を依頼した
・「シネマ系」「おまかせ系(無い場合は標準)」の2つのモードで測定(プレキャリブレーション)を実施した
・パターンジェネレータから、色温度D93/D65のHDR信号をテレビに入力。カラースペース(BT.2020)、EOTF、RGBバランス、色精度(デルタE)、10% Window(ピーク輝度)、100% Window(全白輝度)を、ソフトウェア「Calman Ultimate」で測定した
・測定環境は全暗。テレビは全モデル、工場出荷時にするため初期化し、センサー系の機能は全てオフとした
・「シネマ系」「おまかせ系」のモードは、デフォルト状態で測定した。ただし、デフォルトで明るさが低く抑えられている機種については、明るさを調整し、輝度が最大になる状態でも測定を行なった
・測定は何度か実施し、最も良い数値をセレクトした
・測定値で異常が見られた場合は、機器の状態や設定、接続などを見直し、テレビやPC、ジェネレータの再起動などを実施した。それでも変化が見られない場合は、メーカーに問い合わせを行なった


















