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シャープ、独自パネルの量子ドット×ミニLEDアクオス。輝き1.5倍で消費電力32%カット
2025年5月14日 11:00
シャープは、量子ドットとミニLEDバックライト技術を搭載したAQUOS XLEDの新製品「HP1」「HP2」シリーズを、5月31日より順次発売する。ラインナップと価格は以下の通り。
AQUOS XLED「HP1」シリーズ 5月31日発売
・75型「4T-C75HP1」 57.2万円前後
・55型「4T-C65HP1」 44万円前後
・55型「4T-C55HP1」 35.2万円前後
AQUOS XLED「HP2」シリーズ 6月21日発売
・50型「4T-C50HP2」 25.3万円前後
・43型「4T-C43HP2」 24.2万円前後
2024年発売の4KミニLED液晶「GP1」「GP2」シリーズの後継。
新モデルでは、高効率の光反射シートにより従来比約1.5倍のピーク輝度を備え、AQUOS史上最高の輝きと色彩を実現。また、輝き感を維持しながら、全サイズで省エネ目標基準値100%の低消費電力性能も達成。65型モデルでは、前機比32%も年間消費電力を削減した。
2シリーズの主な違いは、パネルやスピーカーシステム、ハンズフリー対応の有無など。そのほかの基本機能や仕様は共通となる。
同時発表の有機ELテレビ「AQUOS QD-OLED」については、別記事を参照のこと。
AQUOS XLED 2025年モデルの高画質機能
HP1/HP2シリーズともに、すべて4K/3,840×2,160ピクセルの液晶パネルを搭載。全サイズ、バックライトには青色ミニLEDを使用し、色変換に量子ドット技術を採用している。
フラッグシップHP1には、高輝度・広色域を実現する「N-Black Wideパネル」を搭載。N-Black Wideパネルは、表面と空気の屈折率の違いを抑えるナノカプセル素材により、外光の映り込みを低減。さらに視聴位置による色変化も軽減できる。
新モデルでは、高効率なミニLEDチップ・QDシートの変更に加え、高効率の光反射シートをパネル内に敷くことで、より多くの光を取り出せるように改良。ミニLEDバックライトの制御も最適化し、前機比約1.5倍のピーク輝度を実現した。
なお、HP2シリーズには低反射のN-Blackパネルを引き続き採用している。
画像処理エンジンは、第6世代AIプロセッサー「Medalist S6X」を搭載。新たに「空間認識AI」機能を追加した。
空間認識AIは、各被写体の前後関係を認識し、明暗と精細感を自動補正する機能。具体的には、AIが近くの被写体と認識した場合はその被写体のコントラストを上げ、逆に遠くにあると認識した風景や建物などは、精細化処理をせずに、奥行き感を作り出すという。
コンテンツに応じて音の広がりや聞きやすさを自動で整える音質モード「AIオート」も強化。USB HDDに録画した1.5倍・2倍速再生時でも、人の声がクリアに聞こえるよう自動調整させるようになっている。
2025年モデルから追加された新機能
2025年モデルで加わった、ユニークな機能が「L字カット機能」。これは、録画した番組に、災害情報や気象情報を表示するテロップが表示されている場合に番組部分だけをトリミングするもの。
放送局により、L字の場所やテロップの幅が異なるが、L字カットでは4パターンのL字と幅変更に対応。「L字カットを使えば、推しの俳優が出ているドラマなども、より集中して楽しめる」という。なお、同機能はリアルタイムの放送中は適用不可。録画した番組の再生時のみ利用できる。
去年復活した「2画面機能」もアップデート。従来の2画面は「放送×放送」「放送×外部入力」に限られていたが、新モデルでは「録画番組」も組み合わせ可能になった。またサブ画面の字幕表示にも対応した。
リモコンのツールボタン長押しで呼び出せるゲームメニュー画面に「リサイズ」を追加。画面上の表示サイズを25~70%の間の10段階から好みのサイズに変更できるようになった。また縮小した画面を左上や右下など、全9ポジションに移動可能。映り込みの少ない部分に画面を移してゲームを楽しむことができる。
またゲームモード時の低遅延化も実現。4K/120Hz、2K/120Hzの映像入力時で、約0.83msecの信号遅延量に抑えている。
COCORO VISIONの新アプリとして、かんたんに視力チェックが行なえる「めめログ」も追加される。「多くの場合、目は悪くなってから『視力が落ちた』と気が付くパターンが多い。手軽に子どもの視力をチェックできる用途を想定し開発した」という。なお、今後は旧モデルにも「めめログ」が利用できる、前向きに準備を進めているという。
このほか、ニュースや天気予報、ショッピングサイトなどをテレビの大画面で閲覧できる「Sleipnir TVウェブブラウザ」や、テレビをウイルス・ランサムウェア・フィッシングなどの脅威から守るサイバーセキュリティソフト「ESET SMART TV SECURITY」も新たに搭載した。
リモコンの電池寿命が約2倍に。地デジの2番組同時録画が復活
音響システムは、HP1シリーズがハイトスピーカーを搭載する「ARSS+(AROUND SPEAKER SYSTEM PLUS)」で、HP2シリーズが独自のリフレクター構造「FRONT OPEN SOUND SYSTEM PLUS」を搭載する。構成は、HP1が11ユニットで80W(55型は9ユニット)。HP2が5ユニットで50W。
様々なアプリやサービスが楽しめる「Google TV」を引き続き採用。登録中のサブスクサービスの映画や番組を横断的に集約。厳選のおすすめを再生したり、1万以上のアプリから番組を見つけたり、無料チャンネルの閲覧が可能。パーソナライズされたプロフィールで、家族全員が自分好みの視聴体験を楽しめる。
音声操作もサポート。リモコンのGoogleアシスタントボタンから「OK Google」と話しかければ、アプリの起動から映画の検索や音楽再生、テレビの基本操作まで音声で操作する事ができる。
電池長持ちリモコンを新採用。一部操作のみ無線化していた従来モデルに比べて、オール無線化したことで電池寿命が約2倍になったという。
搭載チューナーは、BS/CS 4K×2基と、地上/BS/110度CS×3基。別売りの外付けUSB HDDを接続することで、4K放送視聴中に別の4K放送と地上/BS/CSデジタル放送の裏番組録画が可能。昨年地デジチューナー数が削減されたが、新モデルは3基に復活。再び2番組同時録画が可能になっている。
消費電力も大幅に低減、全サイズで省エネ目標基準値100%を達成した。
スタンドを含めた外形寸法、重量は以下の通り。
AQUOS XLED「HP1シリーズ」
・75型「4T-C75HP1」 166.7×33.0×102.1cm 約49.5kg
・65型「4T-C65HP1」 144.3×28.1×89.7cm 約37㎏
・55型「4T-C55HP1」 122.4×25.8×77.3cm 約24㎏
AQUOS XLED「HP2シリーズ」
・50型「4T-C50HP2」 111.0×23.8×70.7cm 約18.5㎏
・43型「4T-C43HP2」 95.7×23.8×62.1cm 約15.5㎏
「納得するまで、輝きと色の表現力を高めることができた」
発表会には、シャープ TVシステム事業本部 国内事業部 事業部長を務める高橋秀行氏が登壇。テレビ市場の動向と、新製品の狙いを語った。
まず、市場については「有機ELテレビとミニLEDテレビを合わせた“高付加価値テレビ”の販売は年々増加傾向にあり、テレビ全体の販売金額で構成比41%まで拡大。25年以降もこの流れは続いていくことが予想される」と分析。
「高付加価値テレビの購入者の6割以上が、購入ポイントに“画質を重視”と回答しており、一般的な液晶テレビと比べて映像や音への関心がより高いことが読み取れる。我々はそうした声に対し、暗いシーンの明暗表現力が抜群に優れ、映画やライブなどにじっくり没入して楽しむにはぴったりのデバイスである有機EL、そして周囲の環境に負けない明るさでリビングなどでもオールマイティに楽しめるミニLED、という2つのフラッグシップモデルを今年も継続して提案して行く」とコメント。
新製品については「最新のディスプレイ技術に加え、我々独自の画作りも行ないながら、納得するまで、輝きと色の表現力を高めることができたと思っている。また高性能だけでなく、節電意識や環境へ配慮、好きな時に好きなコンテンツを楽しむオンデマンド視聴に対する各種機能も盛り込んだ」と、魅力を語った。