AV Watchアワード

TCLのミニLED液晶「C8K」。ピーク輝度は脅威の3300nit!!【測定データすべて見せます(5)】

TCLのミニLED液晶テレビ「65C8K」

読者へ本当にオススメしたい製品をセレクトする「AV Watchアワード」。今年も、高画質・高音質なナンバーワンテレビを決めるべく、テレビメーカー7社から全11モデルの液晶テレビ・有機ELテレビを集め、横並びでの比較視聴とデータ測定を行なった。

10月31日公開の「2025年液晶テレビ大賞」「2025年有機ELテレビ大賞」発表に先立ち、比較視聴を実施した11モデルをブランド別に紹介する。

※実際のテスト時は、スタンドにテレビを乗せて視聴しています

今回取り上げるブランドは「TCL」。

AV Watchアワード2025では、今年5月に発売した4KミニLED液晶テレビの「65C8K」(36万円前後)をテストした。65C8Kの概要・仕様と合わせ、マスターモニターとの比較動画および視聴機の測定データを掲載する。

シリーズ・製品概要

TCLは現在、98型のプレミアムモデル「X11K」を頂点に、ミニLEDと量子ドット搭載の「C8K」「C7K」「C6K」、量子ドット搭載の「P8K」「P7K」、そしてエントリー「P6K」の全7シリーズ26機種の4K液晶テレビをラインナップしている。

2019年から量子ドット技術を積極的に採用するブランドで、非常にビビッドな画作りが特徴。ミニLEDモデルも55型15万円(55C6K)から用意するなど、手頃な価格で大画面と最新の液晶技術を提供している。

各シリーズのインチサイズと、市場想定価格は以下の通り。

インチサイズと市場想定価格

98857565555043
X11K200
C8K120604436
C7K8044342720
C6K6035221814
P8K30201512
P7K98
P6K1511987

最上段の数字は「インチサイズ」、マス目の中の数字は市場想定価格(万円)

シリーズ別の比較

エン
ジン
ミニ
LED
量子ドット倍速HDRアトモス音声
出力
チュ
ーナ
HD
MI
入力
X11KAiPQ
Pro
120Hz

144Hz
(VRR)
Dolby
Vision IQ

HDR10+

HDR10

HLG
非公表4K:2
2K:2
4
C8K3
C7K
C6K40W
P8K40W
or
35W
P7KAiPQ20W
P6KHDR10

HLG
30W
or
20W

テストした「65C8K」について

65C8K

C8Kは、テレビ画面の四隅にある黒い縁を限りなく排除した「Virtually ZeroBorder」と、高コントラスト・低反射フィルム・広視野角性能を備える「CrystalGlow WHVA」パネルを採用した、量子ドット×ミニLEDテレビのプレミアムシリーズ。

24年モデルで採用していたミニLEDチップを改良。輝度53.8%、エネルギー効率10%アップした発光チップとマイクロレンズにより、調光ゾーンの均一な明るさを実現。また、バックライト制御技術であるプレサイスローカルディミングによりハローを抑制。23ビット制御の微細調光技術も新たに採り入れている。

映像エンジン「AiPQプロセッサー」が放送やネット配信映像を分析し、最適化。鮮やかな色彩やコントラスト、滑らかな動き、透明感のある映像が楽しめるという。

対応するHDR規格は、HDR10、HDR10+、HLG、Dobly Vision IQ。Disney+など、一部動画配信サービスで展開する「IMAX Enhanced」認証も獲得している。

ゲーム機能もサポート。最大4K/144Hz VRRのゲーム信号ほか、Dolby Visionゲーミングにも対応。低遅延なゲーム専用モード、画面キャプチャやゲームのパラメータが一目で確認できる専用メニュー「Game Bar」も用意する。

側面

オーディオ面では、Bang & Olufsen(B&O)と共同開発のスピーカーを搭載。チューニングもB&Oが担当しており、「低音域と高音域で深みがあり、大音量にしても音割れすることがなく、包みこまれるような音響空間」を目指した。

OSはGoogle TV。搭載チューナーはBS/110度CS 4K×2基と、地上/BS/110度CS×2基。HDMI入力は3系統。

消費電力は380Wで、年間消費電力は160kWh/年。スタンドを含む外形寸法は1,434×368×860/890mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は23.1kg。

背面

マスターモニターとの比較動画

4KブルーレイのHDR映像(1,000nits/24p)を、TCLの4K液晶テレビ「65C8K」(左、映像モードは「映画」)と、ソニーのマスターモニター「BVM-HX3110」(右)に同時に表示し、ミラーレスカメラで4K/HDR収録した映像

※鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65

ディスプレイ性能

映像モード「インテリジェント」

映像メニュー「インテリジェント」(デフォルト時)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D93」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」

映像モード「映画」

映像メニュー「映画」(デフォルト時)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D65」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」

映像モード「FILMMAKER MODE」

映像メニュー「FILMMAKER MODE」(デフォルト時における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D65」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」

輝度

輝度値
映像モード
「インテリジェント」
24年モデルは「標準」
C8K
(25年モデル)
C855
(24年モデル)
10%輝度3,328cd/m22,658cd/m2
全白輝度772cd/m2839cd/m2
映像モード
「映画」
24年モデルは「動画」
C8K
(25年モデル)
C855
(24年モデル)
10%輝度3,166cd/m2732cd/m2
全白輝度1,965cd/m2825cd/m2
映像モード
「FILMMAKER MODE」
C8K
(25年モデル)
10%輝度3,127cd/m2
全白輝度714cd/m2

カラースペクトラム

カラースペクトラム

色域

色域
映像モード
「映画」
24年モデルは「動画」
C8K
(25年モデル)
C855
(24年モデル)
BT.2020
1931カバー率
76.28%74.89%
BT.2020
1976カバー率
81.61%78.47%

画素構造

映り込み

入力遅延

映像モード
「ゲーム」
C8K
(25年モデル)
C855
(24年モデル)
4K60p9.2ms12.1ms
2K120p0.8ms1.3ms

HDMI仕様

HDMI入力信号C8K
(25年モデル)
C855
(24年モデル)
4K120fps
4K144fps
ゲーム用HDR10
ゲーム用Dolby Vision
4K50Hz
1440p
非圧縮ステレオ
非圧縮5.1ch
非圧縮7.1ch
ドルビーデジタル
DTS
Dolby Atmos
DTS:X
その他C8K
(25年モデル)
C855
(24年モデル)
電源ケーブル着脱
スイーベルスタンド
測定について

・パネル性能の測定には、キャリブレーションサービスを行なっている株式会社エディピットに協力を依頼した
・「シネマ系」「おまかせ系(無い場合は標準)」の2つのモードで測定(プレキャリブレーション)を実施した
・パターンジェネレータから、色温度D93/D65のHDR信号をテレビに入力。カラースペース(BT.2020)、EOTF、RGBバランス、色精度(デルタE)、10% Window(ピーク輝度)、100% Window(全白輝度)を、ソフトウェア「Calman Ultimate」で測定した
・測定環境は全暗。テレビは全モデル、工場出荷時にするため初期化し、センサー系の機能は全てオフとした
・「シネマ系」「おまかせ系」のモードは、デフォルト状態で測定した。ただし、デフォルトで明るさが低く抑えられている機種については、明るさを調整し、輝度が最大になる状態でも測定を行なった
・測定は何度か実施し、最も良い数値をセレクトした
・測定値で異常が見られた場合は、機器の状態や設定、接続などを見直し、テレビやPC、ジェネレータの再起動などを実施した。それでも変化が見られない場合は、メーカーに問い合わせを行なった

阿部邦弘