AV Watchアワード

TCLハイグレード4K液晶TV「C855」。中国ミニLEDメーカーの実力は!?【AV Watchアワード参戦製品①】

ミニLEDテレビ「65C855」

その年に登場した製品から、読者に本当にオススメしたい優れた製品を決める「AV Watchアワード」。2023年に引き続いて今年も“No.1テレビ”を決めるべく、テレビメーカー7社から11モデルの液晶テレビ・有機ELテレビを集め、比較テストを行なった。本稿では11月のNo.1モデル発表に先立ち、テストを実施した全11モデルを順次掲載していく。

今回取り上げるテレビは、TCLジャパンエレクトロニクスが2024年5月に発売した、量子ドット搭載のミニLEDテレビ「65C855」(33万円前後)。製品の概要・仕様の紹介と合わせ、昨年好評だったマスターモニターとの比較動画および各種測定データも合わせて掲載する。

なお、3名の主観評価と測定データを基に決定したAV Watchアワード2024の大賞モデル(液晶テレビ、有機ELテレビ)は、11月1日に発表する。

テスト中の様子
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「65C855」製品概要

TCL「C855」シリーズ(85/75/65型)は、同社が展開する4K液晶テレビのプレミアムモデル。C855の上位にはシグネチャーモデルの「X955MAX」シリーズ(115型)、「X955」シリーズ(98/85型)も用意しているが、“65型サイズの最上位”は「65C855」となる。

65C855は、4K/3,840×2,160解像度の液晶パネル(倍速対応)を採用。鮮やかな発色が特徴の量子ドット技術と、ミニLEDバックライト技術を組み合わせることで、鮮やかなビジュアルと、リアルな色彩、高いコントラスト比を実現している。

同社が力を入れているミニLED光源には、単一コアではなく、6カットのクリスタルチップを導入。これにより輝度が約27.5%、エネルギー効率を約30.2%向上させているという。また16bitのバックライト制御システムにより明部から暗部までのディテールの精緻な表現を目指した。

光源を必要なエリアに拡散させる光学イメージマイクロレンズには、耐熱性に優れ、黄変しにくい素材を使用。これにより、バックライト均一性は約95%、光学安定性は約8倍向上。DCI-P3カバー率は最大95%で、プロフェッショナルレベルの色精度の高さも謳っている。

映像エンジンには、AI技術も統合した「AiPQプロセッサー3.0」を搭載。豊富なデータベースを活用しながら、環境に応じて放送やネット配信映像の画質を分析し最適化する。これにより、鮮やかな色彩やコントラスト、滑らかな動き、クリスタルのような透明感のある映像が楽しめるという。

対応するHDR規格は、HDR10、HDR10+、HLG、Dobly Vision IQ。Disney+など、一部動画配信サービスで展開する「IMAX Enhanced」認証も獲得している。

ゲーム機能もサポート。最大4K/144Hz VRRのゲーム信号ほか、Dolby Visionゲーミングにも対応。低遅延なゲーム専用モード、画面キャプチャやゲームのパラメータが一目で確認できる専用メニュー「Game Bar」も用意する。

音声は、ONKYOのオーディオ技術も活用したHi-Fiシステムを内蔵。フルレンジ、サブウーファー、トップツイーターの6基を備え、最大出力60Wを実現している。Dolby Atmosのほか、DTS-X、そしてバーチャル3Dサラウンド「DTS Virtual:X」にも対応している。

搭載チューナーはBS/110度CS 4K×2基と、地上/BS/110度CS×2基。別売りの外付けUSB HDDを接続することで、4K/HD放送の裏番組録画が可能。

側面
背面

HDMI入力は3系統。ARC/eARC、ALLM機能をサポート。そのほか、AV入力(3.5径ミニジャック)、光デジタル出力、LAN端子を備える。ヘッドフォン出力は非搭載。USBは3系統。Wi-Fi、Bluetoothに対応する。

消費電力は380Wで、年間消費電力は150kWh/年。スタンドを含む外形寸法/重量は、1,444×298×900mm(幅×奥行き×高さ)/26.5kg。

マスターモニターとの比較動画、および各種測定データ

【AV Watchアワード】液晶テレビ①TCL「65C855」~マスターモニターとの映像比較
※これはHDRで撮影した映像です。鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65
TCL「65C855」各種測定データ
映像メニュー「動画」(デフォルト時)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D65」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」
映像メニュー10%輝度
(最大)
全白輝度
(最大)
標準2,658 cd/m2839 cd/m2
動画1,965 cd/m2825 cd/m2
カラースペクトラム
映像メニューBT.2020
1931カバー率
BT.2020
1976カバー率
動画74.89%78.47%
画素構造
映像モード入力遅延
4K60p
入力遅延
2K120p
ゲーム12.1ms1.3ms
HDMI入力信号対応状況
4K120fps
4K144fps
ゲーム用HDR10
ゲーム用Dolby Vision120Hzまで
4K50Hz
1440p〇(最大120Hz)
非圧縮ステレオ
非圧縮5.1ch
非圧縮7.1ch
ドルビーデジタル
DTS
Dolby Atmos
DTS:X
その他対応
電源ケーブル着脱
スイーベルスタンド
阿部邦弘