プレイバック2018

USB Type-C移行の1年。最後はPayPay祭りに液晶モニター購入で締めくくる by 日沼諭史

USB Type-C端子への本格的な移行は、この1年でかなり進んだ。2017年のMacBook Pro購入直後のあの「どこを探しても変換コネクタばかりでまともなType-C機器がない」状況から、たった1年でずいぶん変わったなあと思う。

2018年最後の締めにType-C対応の液晶ディスプレイのフィリップス「258B6QUEB/11」を購入した

変換コネクタがあればそれいいんじゃ? なんて言う人もいるかもしれないが、使ってみるとわかる。周辺機器の何をつなげるにも変換コネクタが必須で、お出かけ時は必ず変換コネクタも持ち歩かなければならない面倒くささ……。変換コネクタは安物も多いので、工作精度が低いのか端子がゆるゆるですぐに外れたりもする。

変換コネクタを使ったときのこの危うさを見てほしい

そうすると、使用中はちょっとでも無理な力がかからないようにデバイスをそっと配置して、触れないようにしなければならず、ものすごく気を使う。ストレスがたまる。仕事にならない。帰ってふて寝する。朝起きると仕事が終わっておらず、泣く。仕方なく変換コネクタを使う。ストレスがたまる……。この繰り返しである。

そんなわけで、仕事を少しでも前に進めるために買い揃えていった結果、MacBook Pro以外の純粋なType-C機器は以下のように、けっこう増えた。

所有するType-C機器の一部
  • スマートフォン(LG V30+ L-01K)
  • モバイルバッテリー(Anker PowerCore+ 26800mAh PD)
  • ACアダプター(Innergie PowerGear 60C USB-C Laptop Adapter)
  • 外付けSSD(ineo USB 3.1 Gen 2 Type-C Rugged Aluminum 2.5″ SATA Hard Drive Enclosure)
  • USBメモリ(SONY USBメモリー USB Type-C & A USM64CA1(64GB))
  • USBドック(HyperDrive Thunderbolt 3 USB-C HUB for MacBook Pro)
  • SDカードリーダー(AUKEY usb type c カードリーダー)
  • 無線LANルーター(TP-Link Deco M5)
  • セキュリティキー(Yibico YubiKey 4C)
  • USB PD対応マグネットケーブル(製品名不明。eBayにて購入)

仕事上使っている電子機器のほとんどが、今やType-C接続だ。普段から持ち歩いているデバイスのうちType-C化が済んでいないのはイヤフォンとボイスレコーダーの2つのみ。これらもType-C化は時間の問題だろう、たぶん。

周辺機器をType-Cで統一できるメリットは少なくない。電源アダプターを統一でき、持ち運ぶケーブルを減らすことができる。周辺機器の共通化、たとえばPCとスマートフォンで使うUSBメモリやSDカードリーダーを1つに集約できる、といった利点もある。最近では高出力かつ小型なUSB PD対応のType-C ACアダプターも登場して、ますます持ち運びが楽になってきているところだ。なによりコネクタの表裏を区別しなくて良いので接続時の煩わしさがないのが、ストレスをためずに済む大きな要因になっている気がする。

そんな中で2018年、最後の最後まで迷っていた買い物が、Type-C接続のPCディスプレイだった。半年以上もどれを買うか悩み続けていたのだが、2018年12月から始まったいわゆる「PayPay祭り」に乗っかる形でようやく購入したのである。モノはフィリップスの25インチWQHD(2,560×1,440ドット)液晶ディスプレイ「258B6QUEB/11」だ。

フィリップスの25インチWQHD液晶ディスプレイ「258B6QUEB/11」。古いディスプレイはアームで縦置きにした

最初に目を付けたのが、同じフィリップスの31.5インチディスプレイだったのだが、その後にこの25インチを見つけてAmazonのカートに入れておきながらゆうに半年が過ぎた。その間何度店舗に足を運び、何度ググってもっといい製品がないかと調べたかわからない。なぜそんな無駄な時間を費やしてしまったのだろう。案の定、使ってみると「こんなにいいモノならもっと早くに買っておけば……」と、購入後のよくある思考パターンで後悔している。

しかし、長い時間をかけて悩んだのにも理由はあるのだ。とにかく「Type-C接続」「WQHD以上でコンパクトなサイズ」「VESAマウント」、そして「DisplayHDR」という4つのポイントにこだわっていた。フィリップスの31.5インチディスプレイはDisplayHDR 400対応なうえにそれ以外の要素も満たしている。が、さすがに31.5インチはデカい。リビングに置いて見るレベルではないか。それを狭いデスクに置いて使うのはちょっと無理がある。

27インチまで視野を広げると、ここがPCディスプレイの主戦場なのか、かなり選択肢は多くなる。ただ、27インチでも店頭で見るとやっぱりデカい。主な用途が原稿執筆と写真編集(RAW現像)なので、視点の移動が大きいのはかえって疲れてしまう。今まで使っていたディスプレイは21.5インチのフルHD。これはさすがに小さいとしても、せいぜい我慢できる大きさは24インチ前後(23.8〜25インチ)かなと。

10年前に購入した21.5インチ、フルHDディスプレイ。さきほどのフィリップスに比べるとだいぶ色調が青みがかっている

ところが、そんなサイズでType-Cとなると一気に数機種に絞られる。WQHD解像度でVESA対応だともうその時点で今回のフィリップスの25インチしかない。いまだどんな活用方法があるのか判然としないDisplayHDRを試してみたいという名残惜しさはありつつも、さんざん探しまくって自分の理想に一番近いのがフィリップスしかなかったのだから、今後しばらくそれを上回る製品が登場することはないはず。そう見切りをつけてようやく購入を決めることができたわけだ。

そもそもこのフィリップスの製品、発売は2016年なのである。2年以上経過してこれに並ぶスペックの製品がないのは、フィリップスの技術力が高いのか、あるいはそういうサイズのニーズがないのか。しかし2年間販売し続けていまだカタ落ちになっていないところを見ると、ベストセラーとはいかないまでも、そこそこ人気の商品と言ってもいいんじゃないだろうか。

MacBook Proのキーボードやタッチパッドの使い勝手がいまいち自分に合わず、オフィスではクラムシェル状態で使うようにしている筆者。そんな使い方をしている状況で、外から戻ってきてType-Cのケーブルを1本サクッと接続すれば、すぐに外部ディスプレイを使い始められ、給電(最大60W)もしてくれるこの便利さは、もう手放せない(まだ使い始めて1週間だが)。

Type-Cのケーブル1本で映像出力、MacBook Proへの給電、ディスプレイ側のUSBドックの利用が可能に

 ディスプレイ側にはUSBドックがあり、Type-C接続すると、複数のUSB 3.0ポート×3とギガビットLAN、内蔵スピーカー、ヘッドフォン出力も利用できるようになる。なんだか一体型デスクトップPCのようだ。新しいMac miniも気になっていたけれど、これなら買わずに済みそう。映像入力は他にDisplayPort 1.2、HDMI 1.4、DVI、D-SUBが1つずつと充実していて、サブマシンのWindows PCと共用するのにも困らない。

充実のUSBドックと映像入力

 25インチでWQHDというサイズ・解像度も、筆者にとっては大きすぎず、小さくもなく、精細度も含めて想像通りの使いやすさだった。発色の良さは、当たり前だけれどこれまで使っていた10年モノの21.5インチディスプレイとは比べものにならない。プロの写真家ではない筆者には十分以上の画質で、DisplayHDRのことはもうどうでもよくなった(どうでもよくないけど)。ディスプレイをはじめType-C機器は、2019年以降も大活躍してくれて、さらにそこへ新しい仲間も加わってくれるものと期待している。

なにげにベゼルとシームレスに一体化したタッチ式の操作パネルが良さげ

日沼諭史

Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、フリーランスのライターとして執筆・編集業を営む。AV機器、モバイル機器、IoT機器のほか、オンラインサービス、エンタープライズ向けソリューション、オートバイを含むオートモーティブ分野から旅行まで、幅広いジャンルで活動中。著書に「できるGoProスタート→活用 完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS+Androidアプリ 完全大事典」シリーズ(技術評論社)など。Footprint Technologies株式会社 代表取締役。