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見せてもらおうか、世界シェア2位TCLの実力とやらを!コスパだけじゃない「Q6C/Q7C」驚きの実力

量子ドットとminiLED技術による「QLED」を採用した2モデル。左から「Q6C」と「Q7C」。どちらもAmazon向けモデルだ

TCLというテレビメーカーを知っているだろうか。安価なテレビをネットで探すとよくヒットするメーカーとして、見たことがある人も多いだろう。だが実は薄型テレビの世界シェアは第2位であり、最近では国内数量シェアでも5位にまで浮上してきているメーカーなのだ(2025年1~5月/TCL調べ)。

そんなTCLは中国の深圳に本社を持ち、表示パネル製造会社もグループ企業にあり、テレビの製造に必要な部品のすべてをグループ企業だけで製造する巨大企業だ。オリンピックのパートナー企業になるなど、世界的な知名度は高いのだが、残念ながら日本におけるテレビメーカーとしての知名度はあまり高くない。このあたりはTCLもよくわかっており、どんな会社で、どんなテレビを作っているのかという情報発信に力を入れているところだ。

巨大な深圳の工場でテレビが作られている

同社が特に注力しているのが、量子ドットとminiLED技術。より広い色域を再現可能だ。液晶パネル自体もVA型とIPS型の長所を合わせ持つ、つまり高コントラストで視野角も広い“HVAパネル”を開発・採用している。

そんな同社のプレミアムクラスが「C7K」、「C6K」シリーズとなる。ただ、今回紹介するのはC7K、C6Kではない。この2シリーズをベースとしつつ、コストパフォーマンスをさらに高めた“Amazon向けモデル”の「Q7C」と「Q6C」だ。サイズ展開は、どちらのシリーズも55型、65型、75型、85型、98型展開となる。

Amazonでの通常価格は後述するが、かなり低価格であり、数量限定だが5% OFFになるクーポンコード「TCL2506」(※注文時に入力。クーポンがなくなり次第終了)も用意されている。また、対象機種を購入すると最大30,000円のVISA eギフトがもらえるキャンペーンもある(※Qシリーズの一部モデルは対象機種/キャンペーンの詳細はTCLのAmazonブランドストア限定セールページにて)。

このQ7CとQ6Cが、7月8日0時からスタートする、Amazonプライム会員向けビッグセール「プライムデー」の先行セールにおいて、例えば75型の「75Q6C」は139,800円、「75Q7C」は154,800円と、さらに低価格になるという。

国内メーカーの上級モデルと比べると半額近い価格で、消費者として嬉しい反面、「クオリティはどうなのだろう?」と気になってしまう。そこで、実際に75Q6Cと75Q7Cの実機をチェック。その実力を体験した。

75Q6C
75Q7C
  • 【Amazonでの通常売価】
    【Q7Cシリーズ】
    55型「55Q7C」 139,800円
    65型「65Q7C」 169,800円
    75型「75Q7C」 208,000円
    85型「85Q7C」 298,000円
    98型「98Q7C」 598,000円
    【Q6Cシリーズ】
    55型「55Q6C」 109,800円
    65型「65Q6C」 153,000円
    75型「75Q6C」 178,000円
    85型「85Q6C」 198,000円
    98型「98Q6C」 498,000円
    ※数量限定で5%OFFクーポン用意
    ※7月8日0時からプライムデー先行セールでさらに低価格

TCLのテレビが安価でお得な理由

価格が安い理由は、液晶パネルをはじめ、すべてをグループ企業で生産する垂直統合型のメーカーであること。さらに、グローバル市場を相手にしているため、生産台数が多く、量産効果によるメリットがあることなどが挙げられる。

もちろん、海外向けのテレビをそのまま日本で売っているわけではない。それぞれの国に合わせたローカライズもしっかりと行なっていて、テレビチューナーも国内向けのものをきちんと設計・開発している。

テレビのスペックとしても、Q6C/Q7Cどちらも量子ドット+miniLED技術搭載で液晶パネルはHVAパネル。内蔵スピーカーは2.1.2chでONKYO製スピーカーを採用(Q7Cシリーズ)、Q6Cシリーズでは2.1chスピーカーとなる。

HDR対応は当然で、HDR10/HDR10+/HLG/Dolby Visionに対応。Google TVを採用しており、NetflixやYouTubeなどのアプリで、映像配信も楽しめる。

Google TVを採用、動作もサクサクだ
各種メニューももちろん日本語化されている

ゲーム用の低遅延モードにも対応。ゲーム向けの機能としては倍速パネルで144Hz表示にも対応。VRRやALLMにも対応する。残像感の少ない鮮明なゲーム表示を可能にしている。このほか、USB HDDを追加してのテレビ録画機能も備えるなど、現在の薄型テレビとしての機能はほぼ網羅している。

TCLならではの特徴としては、miniLEDバックライトをエリアごとに分割して高コントラストを実現する、自慢の「プレサイスローカルディミング」を搭載していること。

エリア分割数を、Q7Cでは最大2,000以上に増やすことでより緻密な発光制御を行なう。さらに超高密度マイクロレンズ、Micro-OD技術によるエリアごとに光制御精度を高め、発光したLEDの周囲がぼんやりと光ってしまうハローを抑える、TCL全領域ハロー制御テクノロジーも搭載する。

TCL全領域ハロー制御テクノロジー

高画質エンジンも独自に開発した「AiPQ Proプロセッサ」を採用しており、AI技術も応用することで美しい映像の再現を可能にしている。

自慢のプレサイスローカルディミング

Q7CとQ6Cシリーズの違いとしては、ローカルディミングのエリア分割数が異なるほか、Q7Cでは広視野角のための技術が採用されていて、斜めから見たときのコントラストの低下が抑えられている。また、上記の通り内蔵スピーカーのチャンネル数やスピーカーメーカーの違いがある。

Q7Cを斜めから見たところ。コントラストの低下が抑えられている

見せてもらおうじゃないか。TCLの実力とやらを!

では、いよいよQ7CとQ6Cの実力をチェックしよう。BDプレーヤーを使って、UHD BD『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』を見てみた。

Q6Cは斜めから見てみるとコントラストの低下がわかるが、画面の正面に座ればまったく問題なし。75型クラスの大画面になると、正面に座っていても、画面の端の方は視野角の影響でコントラストの低下を感じる製品もあるが、Q6Cではそういった問題もない。

広い部屋に置いて、いろいろな場所からテレビを見るのであればQ7Cの方が良いと思うが、リビングでテレビの前に置いたソファで楽しむ一般的な利用シーンであれば、Q6Cでも十分な視野角が確保されている。

75Q6C

『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』では「ドルビービジョン:ダーク」で冒頭の海戦シーンを見たが、薄暗い船内で大勢が手こぎで船を進める様子も見通しがいいし、船団に降り注ぐ弓矢の様子、カタパルトから射出される巨大な炎の榴弾などの迫力も十分。船が上陸してからの白兵戦でも、くっきりと明瞭な映像で血湧き肉躍る戦いをリアルな映像で楽しめた。

コントラストの高さは映像のスケール感や立体感がよくわかるし、戦士の肌の色の質感の違いなどもよくわかる。将軍たちの装備もディテールが豊かに描かれる。「ドルビービジョン:ダーク」は元となる映像を忠実に再現するモードだが、色やコントラスト、ディテール再現などで物足りなさを感じることはほとんどない。忠実度の高い映像と感じた。

内蔵スピーカーの音も忠実傾向な音で無数の矢が降り注ぐ場面など、細かな音もしっかりと再現。低音も内蔵スピーカーとしては十分な迫力がある。サラウンド音声も無理に音の広がりを強調しない素直や広がりで違和感がないのもよい。

より綿密で上質なQ7Cの映像美

これがQ7Cとなると、さらに映像の密度が上がる。

75Q7C

暗い船内などもより暗部の見通しがよくなっていて、しかも階調感がスムーズだ。また、輝度のピーク感も上がるのか、戦士の顔や肌に浮かぶ汗の様子がリアルになる。音響はよりクリアで迫力が高まり、2.1.2chとなるので音の広がりもより豊かになる。高さ方向の音が豊かになるので包囲感もなかなか良い。

ローマの上流階級の邸宅は豪華な調度品なども緻密に再現されるし、デンゼル・ワシントンの表情豊かな演技も見事な再現だ。TCLの実力を試すため、階調やディテールなど再現が難しいシーンを再生しても、黒つぶれやディテールが不鮮明になるようなこともなく、しっかりと描けている。

75Q7C

映像表現として、Q7Cの方がより緻密で上質な再現になるが、Q6Cの実力も十分に優秀で真夜中のようなかなり暗いシーンでのわずかな黒つぶれや斜めから見たときの視野角さえ気にしなければこちらも優秀。正直なところ、思った以上によく出来ていた。

こうしたUHD BDのような質の高い映像ならば、国内メーカーの優秀なモデルと比べても差は少ないと感じた。元の映像に忠実な「ドルビービジョン:ダーク」で見たこともあるが、暗部のグラデーションの再現や色の正確さなど、基本的に忠実度の高い画質傾向にある。はっきり言うと、かなり“真面目な画質”で、派手さはないが実力は極めて高い。この忠実感は個人的にも好ましい。

国内メーカーの高額なテレビとなると、メーカーごとに見栄えのする映像だったり、さらにディテールを深掘りするような緻密さなど、より高度な表現をするモデルはある。地デジ放送の圧縮ノイズの処理など、国内テレビメーカーの腕の見せ所という部分では、多少の差もあるかもしれない。

しかし、TCLのQ6C/Q7Cは“低価格だけが魅力の、実力が劣るテレビ”ではなく、質の高いソースを表示すれば、国内メーカーのテレビにも、ごくわずかな差まで迫る実力があると感じた。

音の点でも、とにかく低音がバリバリ鳴るタイプではなく、素直な音で忠実感があり、きちんとした実力を持っている。改めて世界シェア2位のテレビメーカーの実力がよくわかった。

大画面テレビの有力な候補となるQ7C、Q6Cシリーズ

Q7C、Q6Cシリーズはもともとプレミアムクラスのモデルをベースとしているので、その実力は十分に優秀だ。それでいて、Amazon向けモデルはさらに低価格で、セールでよりお買い得になるのであれば、魅力は大きい。欲しいと思っていたサイズより、ワンサイズ大きなテレビが買えるかもしれない。

Q6Cも十分に優秀な画質と言っていいが、75型クラスの大画面になると細かなディテールも目につきやすくなるので、その点では上位のQ7Cを選んだほうが満足度は高いと感じる。広い部屋に設置し、たとえば隣接するキッチンで料理をしながらテレビを見るなど、そういう使い方をする場合は、視野角がより広いQ7Cが有利だろう。

逆に、そうした部分が問題にならない、また、75型よりも小さなサイズにしたいという人は、より低価格なQ6Cを選んでも良いだろう。

個人的な感覚としては、これからテレビを買うならばできる限り大きな画面サイズのモデルの方が満足度は高いと思う。Q7C/Q6Cシリーズであれば、およそ20万円で、75型の大画面も現実的になる。TCLのQ7C、Q6Cならば実力の点でも安心しておすすめできるモデルだ。この夏に大画面テレビ購入を考えている人はぜひとも候補のひとつとして検討してほしい。

鳥居一豊

1968年東京生まれの千葉育ち。AV系の専門誌で編集スタッフとして勤務後、フリーのAVライターとして独立。薄型テレビやBDレコーダからヘッドホンやAVアンプ、スピーカーまでAV系のジャンル全般をカバーする。モノ情報誌「GetNavi」(学研パブリッシング)や「特選街」(マキノ出版)、AV専門誌「HiVi」(ステレオサウンド社)のほか、Web系情報サイト「ASCII.jp」などで、AV機器の製品紹介記事や取材記事を執筆。最近、シアター専用の防音室を備える新居への引越が完了し、オーディオ&ビジュアルのための環境がさらに充実した。待望の大型スピーカー(B&W MATRIX801S3)を導入し、幸せな日々を過ごしている(システムに関してはまだまだ発展途上だが)。映画やアニメを愛好し、週に40~60本程度の番組を録画する生活は相変わらず。深夜でもかなりの大音量で映画を見られるので、むしろ悪化している。