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LGテレビ「OLED G5」は放送も配信もNo.1。有機ELテレビ発売10年目の集大成モデルだ!

AV Watchアワード2025で有機ELテレビ大賞に選出された、LGエレクトロニクス・ジャパンの4Kテレビ「OLED65G5PJB」

発売中のテレビ製品の中から、“読者に本当にオススメしたい優れたモデル”を選ぶ「AV Watchアワード」。2025年は、LGエレクトロニクス・ジャパンの4Kテレビ「OLED65G5PJB」(以下OLED G5)が、栄えある“有機ELテレビ大賞”に選出されました。

LGの有機ELテレビ大賞は、3年前に行なわれた第1回開催「AV Watchアワード2023」に続く、2年ぶり2度目の受賞になります。

本稿では、選考会後に行なわれたアワード座談会の延長戦として、有機ELテレビ大賞を獲得した「OLED G5」をフィーチャー。西川善司氏、秋山真氏の2名を招集し、OLED G5の魅力を再び語ってもらいました。

AVWatchアワード2025 結果

・有機ELテレビ大賞
 LGエレクトロニクス・ジャパン「OLED65G5PJB」

'25年の立役者は、最新パネル「次世代RGB有機EL」

西川氏(以下敬称略):今年「OLED G5」が大賞を獲得できた理由の一つには、やっぱりパネルの大幅なジャンプアップ……つまり、最新パネルである「次世代RGB有機EL(RGBプライマリータンデム)」の存在が大きいと思うんですよね。

西川:少し歴史を振り返ると、世界で最初にテレビ向けの大型有機ELパネルの量産に成功したのはLGディスプレイ(以下LGD)でした。他社がRGB3色のサブピクセルをどのように塗り分けるか?と試行錯誤する中で、LGDは白色OLED層とカラーフィルターの組み合わせて色を表現するという、ある意味で割り切った手法を採ったわけです。

編集部・阿部:LGが世界初の55型有機ELテレビを発売したのが2013年、日本初の55型有機ELテレビ「55EG9600」の発売はそれから2年後の2015年でしたね。

西川:出始めの頃は、お世辞にも明るいと言えなくてね(笑)。それに暗部の階調も苦手でした。ある程度の電荷を与えないと光り始めなかったため、薄暗い表現ができなかったのです。

でもLGDの技術陣は発光層を増やしたり、蛍光体を改良するなどして、地道にパネルの輝度性能を追求。また、多くのテレビメーカーが有機ELパネルを採用したことで、各社で競争が生まれて階調などの表現もどんどん向上しました。

先ほど挙げた苦手な暗部階調も、”一瞬だけ光らせて、すぐ消す”制御を時間方向と空間方向に分散させることで、液晶のアナログな感じの階調が実現できるようになったのです。

秋山:有機ELテレビの登場は、フラットディスプレイの歴史における一つのターニングポイントだったと思います。有機ELテレビの誕生前、そして誕生後では、テレビの映像のレベルが変わりましたよ。

西川:そして今年登場したのが、次世代RGB有機ELですよね。従来の黄色の発光層が赤色・緑色へと変わり、赤と緑の純色がしっかり出せるようになりました。弱いとされてきた色域も他方式と互角に戦えるようになったし、ピーク輝度・全白輝度も大きく上がって、明るい部屋で見ても暗いだなんて感じなくなりました。

最新パネルでは、発光層が青×2、赤、緑の4層になった
旧世代と次世代RGB有機ELの比較

西川:この十数年の有機ELテレビの成長を見てきた僕からすると、OLED G5を見て「有機ELテレビもついにここまで来たか」と、非常に感慨深かったですね。なんせ、液晶派の僕が「有機ELもいいかな」と初めて思ったくらいですから(笑)。

阿部:私も有機ELを2011年から自宅で使ってきた人間なので、有機ELの毎年の画質向上には驚かされるのですけれど、今年は本当に衝撃でしたね。輝度も色も大きく違うのですが、表示されるオブジェクトにまるで命が宿っているようなリアリティを感じました。1年、2年前に有機ELテレビを購入した方にとっては、「ズルいよ」と泣いてしまうくらいの進化具合だと思います。

秋山:今年のパネルはピーク輝度と全白輝度が更に上がっただけでなく、画面全体から受ける説得力というか、画力が大幅に底上げされた印象です。マイクロレンズアレイ(MLA)パネルの誕生からわずか2年しか経っていないのに、これほどまでに違って見えるものなのかと感心しました。

それに、色域も拡がりについても量子ドットのような癖が感じられず、非常に自然で好印象でした。蛍光色のような色になっていたらどうしよう……と心配していたのですが、全くの杞憂でしたね。

従来の色域イメージ
新パネルの色域イメージ

西川:「量子ドットと違って色が自然」という秋山さんの指摘は、もしかしたらRGBのスペクトル成分がハッキリと別れていないことが関係しているのかも知れない。僕たちが普段目にしているのは、様々な波長の光が混在した世界であって、決して純色だけではないからね。

モニターとしても、テレビとしても完成度が高いオールラウンダー

65型4K有機ELテレビ「OLED65G5PJB」

秋山:私は今回、OLED G5の画がマスターモニターに近いと思いました。シュートアウトの時からそう感じていたのですが、特にOLED G5とマスターモニターを並べて動画撮影をしていた時にそれを確信しましたね。

AV Watchアワードを3年続けてきて、LGテレビとしてはこれまで「OLED G3」「OLED G4」「OLED G5」をテストしてきました。

いずれの機種も、他のテレビに比べて色差が少なく、EOTF曲線のトレース精度も高いなど、いつも測定の採点が高かったのですが、いざ映像を表示して、それをマスターモニターと見較べると、違うわけです。でも今年は測定通りと言ったらよいのか、マスターモニターと同じような画が出ていて感動しました。

マスターモニターとの比較動画

4KブルーレイのHDR映像(1,000nits/24p)を、LGの4K有機ELテレビ「OLED65G5PJB」(左、映像モードは「FILMMAKER MODE」)と、ソニーのマスターモニター「BVM-HX3110」(右)に同時に表示し、ミラーレスカメラで4K/HDR収録した映像

※鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65

秋山:何度も言うようにAV Watchアワードはモニター大賞ではないのですが、映画系モードの世界の潮流は“ディレクターズインテント”、つまりは制作者の意図したとおりの画を表示しなさい、マスターモニターの画に近づけなさいという流れになっている。世界で戦っているLGはそれをしっかり認識していて、実際の画に落とし込んでいる訳です。

阿部:LGは国内モデルで唯一、HDR10だけでなく、Dolby Visionに対してもFILMMAKER MODEを適用することができます。原画忠実派の方がOLED G5で映画を鑑賞する際は、どのようなフォーマットでもFILMMAKER MODEを選べばよいので、非常に分かりやすいですよね。

西川:YouTubeなどの配信も良かったけれど、特筆すべきは、地デジのクオリティだよね。今回は本当に明るくて見栄えが良くて、色のバランスも良かった。ノイズも目立たないし、すごく上手く処理している印象。放送は今まで国内メーカーが強かったのだけれど……時代が変わったなあと思ってしまったかな。

秋山真氏

阿部:テロップの鮮明さは、驚異的ですね。カメラで撮れば、誰でも他のテレビとの差が分かるくらいですから。ほんのりと人肌には赤みが乗って、血色よく見えるのも個人的には好感を持ちました。

秋山:超解像の処理を見ていると、かなりの高性能なエンジンを積んでいるのはないか?という気がしてきます。先鋭感を残しながらノイズを処理するというのは非常に難しくて、エンジンパワーのないテレビでは、こんな高度な処理はできないと思います。

地デジの高画質化なんて、といったら失礼かもしれませんが、世界市場的には重視されていないはず。にも関わらず、日本市場向けのテレビでそこをしっかり対策してきているというのは、我々にとってすごく嬉しいことですよね。

西川:OLED G5はモニターとしても、テレビとしても完成度が高いってことだよね。しかも、4K/165Hz対応や全入力HDMI 2.1サポート、低遅延性能など、ゲーム関連機能も抜かりが無い。まさに今年はオールラウンダーなテレビだったと思う。

阿部:それから、設置性・デザイン性の高さもLG有機ELテレビの特徴ですよね。LGは早くから「One Wall Design」を掲げ、壁にぴったり密着させて取り付けることができるスリムマウントを用意したり、圧迫感のない細いフレームと極薄パネル構造を継承してきました。OLED G5もパネルの厚みが2.43cm(65型の場合)ですし、スリムマウントで壁掛けすれば、より映像に没入できると思います。

側面。65型の場合、パネル部の厚みはわずか2.43cm
細いフレームも特徴

OLED G5は、LG有機ELテレビの歴史におけるひとつの集大成

西川:「液晶テレビと有機ELテレビでは、どちらがキレイですか?」なんてことをよく聞かれるのですけど、星空のような局所的な明暗さが際立つシーンを見れば分かるように、細かなディテールやコントラストなどは、ピクセル制御の有機ELでしか表現できないものがあります。

いまの液晶テレビも量子ドットやミニLED技術が向上して、色鮮やかで高輝度になりました。ローカルディミングも各社が頑張っている。けれどやっぱりハローなどの対策には限界があります。

秋山:前の座談会でも触れましたけど、今年は液晶にやや頭打ち感がありました。映像の表現力という点で、明らかに有機ELテレビに軍配が上がったと思います。

新パネルの登場で、これまで言われてきたような液晶に対するマイナス面が無くなり、自発光デバイスの強みが一段と生きてきます。本質的な画質を追求する人には、私は有機ELを勧めますね。

西川善司氏

秋山:これって、「OLED G5レベルの画を液晶で出すには現状、マスターモニターのような2重パネル構造にするしか方法はない」という言い方にも置き換えられます。2重パネル構造を大型テレビに搭載するには、現実的ではない価格になってしまうはず。最新の有機ELテレビのクオリティを考えると、両者の本質的な画質差はなかなか埋まらないのでは?という気がしています。

西川:日本でLGの有機ELテレビが発売されて今年でちょうど10年が経つわけだけれど、OLED G5はLG有機ELテレビの歴史におけるひとつの集大成、と言えるのかもしれないね。

是非来年は、LGの技術陣にも話を聞いてみたいよ。パネルの進化のこととか、どうしていつも測定値が良いのかとか、地デジが良くなった理由とかね。今度韓国まで取材しに行こう(笑)

AV Watch編集部