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シャープ、ICC技術搭載の4K次世代液晶TV「ICC PURIOS」

60型で約262万円。AQUOSではないプレミアムブランド

「ICC PURIOS」(LC-60HQ10)

 シャープは13日、アイキューブド研究所と共同で開発した、60型/解像度3,840×2,160ドットのICC 4K 液晶テレビ「ICC PURIOS(ピュリオス)」(LC-60HQ10)を発表した。2013年2月20日発売で、受注生産。受注は2月13日より開始し、納期は通常5週間程度。価格は262万5,000円。

 アイキューブドの4K映像創造技術「ICC」(Integrated Cognitive Creation)と、シャープの大画面/高精細液晶技術を組み合わせた液晶テレビ。ICC技術は、「目で対象物を追い、ピントを合わせ、脳内で合成する」という自然界の風景を見ているのと同じような認知の流れを、ディスプレイでも実現することを目指した技術。シャープでは「光クリエーション技術」と呼んでいる。

 入力された映像信号を解析し、人の視覚が光の反射で風景や物体などを認知する仕組みを利用し、遠近感のある風景や物体の立体感、質感などを映像として再構成。実際にその光景を見ているような映像空間を創出するという。

「ICC PURIOS」(LC-60HQ10)
付属のリモコン
ICCの概要
左下にあるのがICCチップ
「ICC PURIOS」(LC-60HQ10)

 解像度3,840×2,160ドットの4Kパネルを採用。バックライトは直下型のLEDだが、搭載している個数は非公開。「数十個×数十個=数百個とイメージして欲しい」(シャープ)という。

 通常の直下型LEDバックライトの液晶テレビでは、映像の暗部にあたる部分のバックライトを消して、コントラストを高めるエリア駆動(ローカルディミング)を行なうが、ICC PURIOSでは行なっていない。多数の直下型LEDバックライトを用いて、パネル各部の輝度を細かくコントロール。「高い映像品質が求められる放送局や編集スタジオなどで使用される業務用マスターモニター規格を超える、ムラの少ない均一な輝度を実現した」という。

 この、均一な輝度を持つパネルに、ICCで再構成した映像を表示。映像信号に忠実な明るさ、階調表現などを行なうことにこだわっている。そのため、黒の締まりなどを単体で比較すると、エリア駆動の液晶テレビの方が締まる場合もある。しかし、ICC PURIOSでは、ICCによって再構成した映像を忠実に表現する事で、現実の光景のようなリアリティのある映像を表現する事を魅力として訴求。画面全体の明るさが均一になる事で、現実世界のような光認知が可能になり、高い臨場感に繋がるという。

 また、自然で滑らかな階調表現にも注力。バラつきをおさえる「平滑化アルゴリズム」を導入しており、暗部の階調表現を改善、微妙な立体感も正確に再現できるとする。

パネルの輝度均一性に注力
階調表現も重要だという

 なお、パネルは4原色のクアトロンパネルではなく、RGBの3原色パネルとなる。また、パネルへの映り込みを大幅に低減する「モスアイパネル」は使われていない。

解像感とコアリングの設定画面

 ICCの効果の具合は、ユーザーが調節可能。映像調整メニュー内の「プロ設定」から、「解像感」という項目を0〜+10まで調節可能。これとは別に、コアリングという、フォーカス感を調節する項目も用意されている。

 例えば、風景の環境映像などを鑑賞する場合、ICCの解像感を強くしていくと、山の岩肌や草木の輪郭などがクッキリして、肉眼で現実世界を見ているのと同じような見え方になる。

 しかし、映画などでこの強い処理をかけると、主人公にフォーカスが合い、背後の群集がボケているような絵作りのシーンであっても、背景の群集までクッキリしてしまう可能性がある。

 そこで、フォーカスが合った部分はICCによるクリアな解像感、素材が持つ質感などを表示しつつ、フォーカス感の効き過ぎを抑える「コアリング」という項目も用意されている。これらはユーザーがカスタマイズする事もできるほか、映画用に、前述のような設定を行ない、映画監督の意図する映像表現を残しつつ、ICCも効かせた「映画」モードや、「映画THX」モードも用意。

 ICC PURIOS(は、THXが定める「THX 4Kディスプレイ規格」認証を、世界で初めて取得しており、取得までには400を超えるテストが実施されたという。その結果、「映画監督の意図する映像を自宅でも忠実に再現できる」と判断されたという。

 表示モードではその他に、アイキューブド研究所による「ICC」モード、シャープが用意する「標準」モードも用意する。これらのモードではICCが使われているが、ICCを使わない「ゲーム」、「PC」、「フォト」モードも選択できる。

古い映画のフィルムを4Kでスキャンし、レストアしたBDを再生。左が通常のアップコンバートをした4Kテレビ、右がICC PURIOS。甲冑の質感や、俳優の顔の輪郭などがクッキリとリアルになっているが、背後の群集の輪郭は強調され過ぎていない
同じ映画の遠景。右がICC PURIOS
通常のテレビ番組での比較も行なわれた。ICC PURIOSの方がコントラストはやや低く、白っぽい表示になるが、タレントの顔の立体感は増しており、リアリティのある映像だと感じる。テロップや細かいオブジェクトの輪郭が強調されるジラジラ感は、ICC PURIOSの方が少なく、自然だ
右がICC PURIOS
通常のアップコンバート映像。暗部は締まっているが、輪郭が強調され、不自然に見える
ICC PURIOSの映像。コントラストはやや低いが、精細感はあり、実際の風景の見た目に近く感じられる


メインメニューの「ビジュアル モーションガイド」

 メインメニューは、「ビジュアル モーションガイド」と呼ばれるものを採用。上部中央に視聴中のテレビが小画面(フルHD)表示され、左側に時計や天気予報、下部にAQUOS Cityのインターネットコンテンツがジャンル別にアイコン表示される。

 また、視聴履歴から、おすすめの番組を表示したり、予約録画を提案する「おすすめ選局ナビ」を搭載。見ている番組や登録しておいたキーワードから、関連する番組やインターネット情報など、知りたい情報を表示してくれるという。見ている番組を切り替えると、関連情報も同時に切り替わる。

 シャープ製テレビを使っている他のユーザーが視聴している番組を、視聴者の多い順に表示するランキング機能や、テレビ番組を視聴中でも他のチャンネル画面(静止画)がタイトルと一緒に表示される「新・裏番組表」も用意。

 チューナは地デジ×3、BS/110度CS×2で、別売USB HDDを接続する事で、2番組同時録画も可能。録画した番組リストを、静止画の表示付きで案内する「録画リスト」も用意する。

 無線LANユニットを内蔵し、ワイヤレスでインターネット接続が可能。DLNAプレーヤー機能用意する。「AQUOSファミリンクII」にも対応。スマートフォンをテレビのリモコンのように使える「おしえてリモコン」も利用可能。

 入力端子はHDMIケーブル1本で4K(3,840×2,160/30p)入力できるHDMIが1系統のほか、4端子(1,920×1,080/60pの4本同時入力)で4K対応できるHDMI×1、HDMI(1,920×1,080ドット)入力×4を装備する。

 アルミフレームを活用したボディデザインを採用。デジタルアンプを内蔵し、スピーカー出力は35W(10W+10W+15W)。対向配置で不要振動を抑えたウーファの「DuoBass」も搭載。タンドを含む外形寸法は137.8×32.6×88.5mm(幅×奥行き×高さ)、ディスプレイ部は137.8×13.2×82.2mm(最薄部6.4mm)。消費電力や重量は未定。

スピーカーの解説。対向配置で不要振動を抑えたウーファの「DuoBass」も搭載
ミキサーズラボがチューニングし、スタジオで聞いているようなリアルなサウンドを再現できるという音質モードも用意



AQUOSの上位モデルとなる新ブランド

デジタル情報家電事業本部 液晶デジタルシステム第一事業部の戸祭正信事業部長

 デジタル情報家電事業本部 液晶デジタルシステム第一事業部の戸祭正信事業部長は、「AQUOSの上位モデルとなる新ブランド」として「ICC PURIOS(アイシーシー ピュリオス)」を発表。「PURIOSは、“純粋”を意味する“ピュア”からの造語。プレミアムテレビブランドとして、よりピュアな映像を表現するテレビを提案していきたいという想いを込めた」という。

 ICC PURIOSのターゲット層として戸祭氏は、「本格ホームシアター用途として、映像に強いこだわりを持つお客様に向けて展開する」と説明。一方で、「13年の歴史を持つAQUOSは、リビングルームからパーソナルルームまで、幅広いお客様にエンターテイメントをお届けするテレビとして引き続き展開していく」と、2つのブランドの関係性を解説した。

デジタル情報家電事業本部 新規商品開発センター 第一開発部の三谷康一部長

 なお、ICC PURIOSは4Kの映像入力が可能だが、映像ソースとしては「4K入力の場合、現状ではPC関係を想定している。今後は、BD映像をアップコンバートしたものを入力する事も考えている」(デジタル情報家電事業本部 新規商品開発センター 第一開発部の三谷康一部長)という。

 海外での販売については、「検討中。日本での反応も見ながら考えていきたい」(戸祭氏)とのこと。また、今後の4Kテレビの広がりについて戸祭氏は、「2014年、2015年とメディアが増え、4K映像が増えていった時への備えを、今から準備していく」と説明。ICC PURIOS量産化の可能性については「検討の余地があると思う」と答えた。

 また、ICC PURIOSというブランド名の使い方については、「基本的にICCチップを搭載した製品をICC PURIOSを呼ぶ。ICCの無いPURIOSは、現在のところ考えていない」(戸祭氏)とのこと。

 今後、ICC搭載のテレビが他社から登場する可能性について三谷氏は、「アイキューブドとの契約があるのでお答えはできない」とした上で、「ICCチップだけでは、光クリエーション技術は再現できない。(ICCによって再構成される映像を)綺麗に見せるためのパネル技術が重要であり、このパネルはシャープでないと厳しいのかなと考えている」と語った。

(山崎健太郎)