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JVC、ネイティブ4K+レーザー光源の4K D-ILAプロジェクタ「DLA-Z1」。350万円
2016年10月4日 11:00
JVCケンウッドは、ネイティブ4K解像度のD-ILAホームシアタープロジェクタ「DLA-Z1」を12月上旬より発売する。価格は350万円。
JVCブランドのホームシアター向けで初となる4K解像度(4,096×2,160ドット)のD-ILAチップを搭載したフラッグシップ機。従来のe-shiftによる4Kに比べて解像感が向上しているほか、光源もレーザーに変更し、高輝度/高コントラスト化を可能とした。従来の「DLA-X750R」(90万円)より大幅に高価だが、DLA-Z1はその上のフラッグシップモデルという位置づけで、X750R等は継続販売される。
D-ILAデバイスは0.69型/4,096×2,160ドットで、アスペクト比は17:9でDCI 4Kに対応。ピクセルピッチは従来比31%縮小した3.8μm。画素間ギャップ0.18μmを実現し、開口率は91%。応答速度は4ms。倍速駆動に対応する。デバイス単体のコントラストは2万:1。DLA-Z1に初採用するほか、デバイスの外販も予定している。
また、光源にはレーザーを採用し、ピーク輝度は3,000ルーメン。明るさを向上したことで、200型を超えるスクリーンに対応可能となったほか、HDR投写時のピーク輝度を大幅に高めている。青色レーザーと固定式の無機蛍光体を使用しており、高信頼性や長寿命(2万時間)が特徴。同社はこの光源を「BLU-Escent」という呼称で訴求する。
青色レーザーから白色光を作るために、一般的なレーザーフォスファーでは、回転する黄色の有機蛍光体に光をあてるが、ホイールによる騒音と蛍光体の経年劣化が課題となっていた。BLU-Escentっでは、固定式の無機蛍光体を採用することで、騒音低減と信頼性確保を実現したという。
レーザー光源では、従来に比べて光源が安定化。さらに、レンズ絞りではなく、レーザーの光出力制御により遅延のないダイナミックな明るさ調整が行なえるため、フレーム単位で明るさを制御。コントラスト比は無限:1。
レンズは4Kに最適化した100mm径の大型レンズを新たに採用(従来は65mm)。構成は16群18枚、5枚のEDレンズによる光学2倍ズームで、オールガラス・オールアルミ鏡筒レンズ。F値は2.6。レンジシフトは上下100%、左右43%を確保している。光漏れを抑えてコントラストを高める「ワイヤーグリッド」は従来比で2倍以上の精度とし、コントラストを高めている。
なお、レンズの大口径化やレーザー化により、筐体はDLA-X750Rなどの従来製品より大型化した。特に奥行きが720mm(X750Rは472mm)と長くなっているため、設置スペースには注意が必要となる。特にレーザーの冷却機構などがサイズの大型化に影響しているという。
色域はDCI P3比100%で、BT.2020比は80%以上。「業界最高レベルの広色域」としている。HDRは、HDR 10(ST.2084)に対応するほか、HDR放送向けにHybrid Log Gamma(HLG)にも対応。新たにHDR専用のピクチャーモード(画質モード)を用意している。HDR 10の信号が入力されると自動的にHDRピクチャーモードに切り替わる。
カラープロファイルもHDR、DCI、BT.2020、BT.709が選択できる。BT.2020とHDRの違いは、シネマフィルタのON/OFFで、フィルタONで色重視のプロファイルがBT.2020、フィルタOFFで明るさ重視がHDRとなる。
独自の映像処理技術「Multiple Pixel Control」(MPC)回路も搭載し、新モデルでは4Kに特化した形で適用する。4K/60p 4:4:4信号に対応した動画補間技術「Clear Motion Drive」とD-ILAデバイスの駆動を最適化する「Motion Enhancce」を搭載。倍速駆動などの一部映像処理をスキップする「低遅延モード」も用意。遅延2フレーム以内を目標に開発しているという。また、プロジェクタとして初の「THX 4K」認証も取得している。
3Dには別売のエミッタを接続して対応。入力はHDMIが2系統(HDCP 2.2、4K/60p対応)で、コントロール用のEthernetやRS-232C、3Dシンクロ端子などを装備。ファームウェアアップデート用のUSB端子も備えている。消費電力は750W(待機時1.5W)。外形寸法は500×720×235mm(幅×奥行き×高さ)、重量は37.5kg。外部センサーを用いたオートキャリブレーションに対応する。