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0.5mm狭額縁の「FULL ACTIVE液晶」に注力するJDI。18:9を加速

 ジャパンディスプレイ(JDI)は26日、組織改革や新役員就任とともに、今後の中核製品と位置付ける狭額縁の「FULL ACTIVE液晶」の展開について説明した。2018年のモバイル製品売上の半分以上、7~8割をFULL ACTIVEにしていく方針。

6.62型/1,440×2,880ドットのFULL ACTIVE液晶

狭額縁/18:9トレンドにFULL ACTIVE液晶を提案

 FULL ACTIVE液晶の特徴は、幅が0.5mm~0.6mmという狭額縁の実現。これにより画面の限界までディスプレイになり、スマートフォンなどモバイルデバイスのデザイン性を向上。加えて、複数のディスプレイを組み合わせた空間表現や連携動作、AR連携などが注目されており、スマートフォンを中心に多数のメーカーから引き合いが来ているという。

6型/2.160×1,080ドットFULL ACTIVE液晶を採用したシャオミの「Mi MIX2」

 特徴としては、「下の額縁もない」とこと。通常は画面下などに配置するICなどを独自の実装技術により縮小したため、「表示画面とほぼ同じサイズの商品デザインが可能となる」という。

 10月1日にモバイルカンパニー社長に就任予定の 永岡一考 上席執行役員は、「LTPS(低温ポリシリコン)の技術や実装技術などの組み合わせでFULL ACTIVEを実現している。現在は、18:9の引き合いが多い。アスペクトが18:9だと実質2:1となり、正方形の画像を2つ同時に表示できる。例えばInstagramであれば、2つの写真を並べてどっちがいいか確認できるし、Android 7.0では画面を分割する機能があり、そこでも2つの画面を並べられるなど、18:9が大きなトレンド。あるいは18を19にしてほしいなど、長辺が長くなる傾向にある」という。こうしたスクリーンの大型・縦長化にあわせて、FULL ACTIVE液晶を訴求していく。

3枚のFULL ACTIVE液晶をつなぎ合わせた折りたたみ端末風のデモ

 アスペクト比[2:1]と呼称してもいいはずだが、業界では[18:9]と呼ばれているという。18:9と呼称している理由は「私にもわからないが、長く16:9がひとつの標準になっているので、その9を基準にしているのでは」(永岡氏)とのことだった。

 採用例としては中国のシャオミ(小米)がアスペクト比18:9、5.99型/2.160×1,080ドットFULL ACTIVE液晶を採用した「Mi MIX2」を発表。さらに、「第4四半期から'18年度第1四半期にかけて中国メーカーを中心に複数の製品が発売予定」という。

FULL ACTIVEが提供する価値
ARとの親和性も高い

 会場では、6枚のFULL ACTIVE液晶を並べて、1枚の大画面にしたり、3枚のFULL ACTIVE液晶を折りたたみ端末風につなぎ合わせて映像表示するデモなども紹介。チャットしながら、一緒に映画館のチケットを購入したり、店の情報を見ながら2画面にマップを表示して場所を探す、といった応用例を提案し、機器メーカーに採用を呼び掛けていく。

 また、額縁がほぼ要らず、曲面化や折り曲げも可能なため、自動車やHMD、ノートPCなど様々なアプリケーションで導入できる点を強調した。

6枚のFULL ACTIVE液晶を並べた映像連携デモも
FULL ACTIVEロゴ

元アクアの伊藤氏がCMO就任。マーケティング強化

 JDIの東入来信博 会長兼CEOは、8月に発表した構造改革の進捗について説明した。'17年度には自動車や産業機器などの成長領域の強化を図るほか、事業カンパニー制を導入。権限をカンパニーに委譲し、迅速な意思決定とスピードある経営を目指す。

左からモバイルカンパニー社長に就任する永岡一考氏、東入来会長、CMO就任予定の伊藤氏

 '17年度は、構造改革の断行の年と位置づけ、過剰キャパシティの適正化を図る考え。また、「19年後半に有機EL(OLED)の量産を開始し、収益貢献を目指す」というロードマップのもと、「蒸着と印刷をカバーしたOLEDリーディングカンパニーを目指し、グローバル企業とのパートナシップを構築する」とした。

 事業部門の構造改革は、中小型液晶のモバイルカンパニー、自動車向けの車載インダストリアルカンパニー、ディスプレイソリューションカンパニーの3カンパニー制を10月1日付で導入。さらに、マーケティングを強化し、本社にマーケティング&イノベーション統括部を新設。CMO 兼 執行役員にハイアールアジアグループやアクアで社長兼CEOを務めていた伊藤嘉明氏が就任する。

 伊藤氏は、「役職を受けるかどうか悩んだが、JDIには私が知っていた以上に世界に冠たる技術がある」とし、「第2の創業を担うスピード改革」、「モノづくりではないコトづくり」、「顔の見える企業コミュニケーション」の3つの要素でマーケティング改革を行なうとした