ニュース
FiiOから新プレーヤー。576GBまで拡張「X7 II」と“最強エントリー”「X3 III」
2017年11月3日 10:30
Fiioは、新ハイレゾプレーヤーとして「X7 Mark II」と「X3 Mark III」の2機種を発表した。日本での発売時期と価格は未定。「X7 II」はFiioのフラッグシッププレーヤーと位置づけられているが、10万円を切るような、最上位としては購入しやすい価格になる見込み。「X3 III」の価格帯は2~3万円台の見込みで、エントリーモデルとなる。なお、これらの製品はエミライが国内代理店として扱う。
X7 Mark II
ストレージメモリとして64GBを内蔵。拡張用として256GBまでのカードが利用できるmicroSDカードを2基備えており、合計で576GBまでのストレージが利用できる。
DACはESSの「ES9028 PRO」を採用。モバイル向けのチップではなく、あえて据え置き向きのチップを採用。45.1584MHz、49.152MHz、100MHzのサンプリング周波数に応じて、3種類の水晶発振器を搭載してジッタを低減。7種類のデジタルフィルタを備え、ユーザーが切り替えて音の違いを楽しめる。
再生対応データは、PCMが384kHz/32bitまで、DSDは5.6MHzまでサポートする。アナログオーディオ回路には物量を投下。内部基板も高い製造品質を実現したという。
従来モデルと比べ、ベンチマークスコアが40%向上したという応答性を実現。タッチスクリーンでインターフェイスを操作した時の、引っ掛かる感覚を低減するなど、操作性向上に寄与している。インターフェイスは3種類から選べ、将来の追加アップデートにも対応可能。メモリは2GB。
Android 5.1ベースのOSを採用しており、OSモードの切り替え機能を備えているのが特徴。デュアルブート仕様で、汎用的なAndroid端末として起動させると様々なアプリが利用可能。「ピュア・ミュージック・モード」で起動すると、FiiO標準の音楽再生アプリのみが起動し、他のプロセスを停止させ、より高音質な再生ができるという。
PCと接続し、USB DACとしても利用可能。アシンクロナス伝送で、ジッタを抑えた再生ができる。さらにアナログライン/光/同軸デジタル出力のコンボジャックを備え、外部のDAC内蔵アンプと連携する事も可能。
本体下部のアンプ部分が取り外しできるようになっており、別売のアンプモジュールに交換する事で、別の機能を利用したり、出力を強化するといったカスタマイズが可能。標準で装着しているモジュールは「AM3A」というアンプで、3.5mmのヘッドフォン出力(同軸/光デジタル、ライン出力兼用)と、2.5mmのバランス出力も搭載。出力は400mW以上(32Ω)で、対応インピーダンスは16~300Ω。再生周波数帯域は10Hz~70kHz。
Bluetooth 4.1にも対応。コーデックはaptXをサポート。無線LAN機能も備えている。バッテリは3,800mAhで、前モデルから充電速度が2.7倍に高速化したという。
ディスプレイは3.97インチの液晶で、解像度は800×480ドット。外形寸法は128.7×67.2×15.5mm(縦×横×厚さ)。アクセサリとして、PUレザーケース、樹脂ケース、強化ガラス製のスクリーンプロテクタを同梱する。
X3 Mark III
カラーバリエーションは黒と赤の2色。microSDカードスロットを備え、256GBまでのカードがストレージとして利用可能。DACとしてTIの「PCM5242」を採用しているが、エントリークラスのプレーヤーながら、このDACを左右それぞれ独立で、計2基搭載。
さらに、ディスクリート構成のDAC、ローパスフィルタ、アンプ部も独立で搭載。ヘッドフォン出力は3.5mmのシングルエンドに加え、2.5mmバランス出力も備えており「最強のエントリーDAP」とアピールしている。デジタル出力も装備する。
PCMは192kHz/32bitまでに対応。DSDは2.8MHzまで再生できる。USB DACとしても利用でき、PCと接続し、アシンクロナス伝送で高音質再生できる。
CSR8811を搭載し、Bluetooth 4.1に対応。低遅延かつ高品質にワイヤレス音楽再生できるほか、デュアルモードにも対応。Bluetoothで通信している間でも、他のBluetooth信号を受信できる。
2.31インチのディスプレイを備え、解像度は320×240ドット。その下部にスクロールホイールを搭載。ボリュームなどは左側面に搭載する。
PUレザーケース、樹脂ケースが付属。外形寸法は114×59×12.8mm(縦×横×厚さ)。重量は126g。バッテリ容量は2,350mAh。
オーディオブランドの“トヨタ”を目指す
FiiOは2007年に設立し、今年で10年目となる。General ManagerのJames Chung氏は、海外で人気のあるポータブルオーディオのコミュニティ・Head-Fiで、以前からユーザーと交流。新商品の提案、質問への返答なども書き込んでおり、そうしたユーザーニーズの把握や、それに応える製品づくりがFiiOの基礎になっていると説明。
一方で、言葉の壁もあり、Head-Fiに書き込みを行なう日本人は少なく、FiiOからは市場の声やニーズがわかりにくく、日本市場はある種の“ブラックボックス”のように感じていたとのこと。
既報の通り、FiiO製品はこれまでオヤイデ電気が総代理店をしていたが、総代理店契約は終了。オヤイデは引き続き国内代理店としてFiiO製品を取り扱うが、新たにエミライが、オヤイデが扱わない製品を日本で販売する形となる。
Chung氏は、「エミライを通じて、日本の皆さんともっとコミュニケーションとりたい。エミライはおそらく将来に渡って、FiiOの日本展開におけるベストパートナーになるだろうと考えている」とコメントした。
Chung氏によれば、FiiOでは現在、70人のエンジニアが研究開発に携わり、中には25年のキャリアを誇るエンジニアも深く製品に関わっているという。FiiOというブランド名は、中央で分割すると「Fi」と「iO」になるが、「Fi」はHi-Fiのフィデリティ、「iO」は「1と0」と読むこともできるため、デジタルを意味。組み合わせて「デジタルテクノロジーを駆使して、音楽を高忠実再現する」という意味が込められているという。
製品づくりにおいては“ユーザーの声に寄り添う”事をモットーとし、「ハイコストパフォーマンスな製品を作り、良い音を、多くの人に楽しんで欲しい」という。現在、市場には数十万円のハイレゾプレーヤーも登場しているが、「限られたボリュームのユーザーに最高の体験を届けるブランドもあるが、我々はハイコストパフォーマンスで、良い音を沢山の人に届けたい」と語る。
さらにChung氏は、「従来は“高価=音が良い”ととらえられていたが、欧米では高いほど音が良いという図式はもう通用しなくなっており、メジャープライスがリーズナブルになっている。我々はカスタマーオリエンテッドを貫き、オーディオブランドの“トヨタ”になりたい」と表現。
また、ユーザーニーズが高ければ積極的に新技術を採用していく姿勢も特徴。音場の広がりなどで効果を実感できるバランス出力については、「今後発表する製品では全て対応していくというのが、基本方針」だという。
Bluetoothのコーデックも、今後の製品ではLDACとaptX HDをサポートしていく方針。一方で、トレンドではあるが、まだユーザーからの需要がそれほど高まっていないと判断している4.4mmのバランス出力や、MQAフォーマットのサポートなどは、「積極的に対応を進めている段階ではない」という。しかし、4.4mmバランスについては「日本市場においては、4.4mmの需要が高まっていると認識している。アンプ部分のユニットを交換する機構もあるため、(4.4mm出力に対応したアンプユニットを開発するなど)今後についてはエミライと協議しながら進めていきたい」とした。